子育てを楽しみながら進めていきたい離乳食ですが、食べさせてよい食品や量、母乳とミルクの量との兼ね合いで不安もあるかと思います。また、乳児期で食物アレルギーと診断される場合もあり、さらに混乱し大きな負担を感じます。

ここでは、卵・小麦・牛乳を除去した離乳食の進め方について、厚生労働省から発行された「授乳・離乳の支援ガイド」に準拠して解説します。

目次

編集部より

アレルギーの症状は個人差が大きいため、自己判断は危険です。
本記事は医学的見地にもとづいて執筆していますが、実際のお子さんの症状に関しては必ずかかりつけ医に相談するようにしてください。

食物アレルギーとは

繰り返しになりますが食物アレルギーは「食物によって引き起こされる、免疫機序を介して生体に不利益な症状」であります。乳児期の3大アレルゲンは卵・牛乳・小麦であり栄養素としても重要であります。これらのアレルゲンの除去が必要となった場合には、栄養素を他食品で代替していく必要があります。

食物アレルギーに関して詳しくは、「小児の食物アレルギー ~多彩な症状とアトピー性皮膚炎との関連~」をご参照ください。

離乳食の進め方

離乳食は、基本的には4段階に分けて進めていきます。乳児の口、舌、歯、あごの発達や消化機能にあわせて、液体に近いドロドロの状態から始めます。次第に形のあるものへステップアップしながら、生えてきた歯で噛んで食べられるトレーニングと考えられます。

乳児の発達には個人差があり、極端に早く進めると胃腸の負担となります。その一方で、アレルギーを心配して離乳食の開始を延長することは望ましくないです。アトピー性皮膚炎などを発症し食物アレルギーも疑われる乳児でも食べたそうにしたら、開始してください。目安としては首がすわっていること、食物に興味を持つこと、哺乳反射が弱くなることです。時期としては4~5か月、遅くとも6か月以内が推奨されます。この理由としては、赤ちゃんの消化酵素の分泌能力の発達や体重・身長などの発育を含めた成長に必要な栄養素等が摂取できるからです。

また、乳児に与える食材には、細菌感染予防目的で必ず加熱をするのが原則です。この加熱処理により、アレルギー症状を起こすたんぱく質(アレルゲン)の抗原性が減ります(「低アレルゲン化」といいます。)アレルギーがあるお子さんでも加熱処理により少量から摂取できる可能性があります。

それぞれの時期で、授乳回数・主食・主菜・野菜摂取の目安を示します。

1.卵小麦牛乳除去の離乳食(ごっくん期:5~6か月)

5~6ヶ月期(ごっくん期)の離乳食-図解
  • 授乳回数:食後+乳児がほしがるだけ(めやすとして1日800ml前後
  • 離乳食の回数:1日1
  • 離乳食のかたさの目安:なめらかですりつぶした状態(ヨーグルトのレベル

主食

  • 10倍粥 30g:すりつぶします。
  • 米粉パン 10g:パン粥で(だし汁、ミルクアレルギーがある場合にはアレルギー用ミルクを使用)
  • 米粉うどん 30g:すりつぶします。

主菜:たんぱく質

  • 白身魚 10g:すり流し(ゆでてほぐしてから、だし汁で伸ばす)
  • 豆腐 10g:だし汁で煮てからすりつぶします。
  • 豆乳ヨーグルトをあげてもよいでしょう(20-30g)

野菜など

  • イモ類 20g:じゃがいも・さつまいも・里いもは、ゆでてペースト状にします
  • 野菜類 20g:にんじん、かぼちゃ、かぶ、ブロッコリー、大根はゆでてすりつぶします。
  • くだもの 20g:りんご、バナナ、みかん缶はすりつぶします。

その他

  • 水分は湯冷まし、麦茶
  • だしは昆布、かつおをおすすめします

2.卵小麦牛乳除去の離乳食(もぐもぐ期:7~8か月)

7~8ヶ月期(もぐもぐ期)の離乳食-図解
  • 授乳回数 食後+乳児がほしがるだけ(めやすとして1日600~700ml前後
  • 離乳食の回数:1日2
  • 離乳食のかたさの目安:舌でつぶせるかたさ状態(豆腐のイメージ

主食

  • 5倍粥 50-80g:おじや・雑炊(だし汁で刻んだ野菜と)
  • 米粉パン 15-20g:パン粥で(だし汁、ミルクアレルギーがある場合にはアレルギー用ミルクを使用)
  • 米粉うどん 50g:アレルギー用のミルクや野菜のだし汁でクリーム煮のレベル。

主菜:たんぱく質

肉を開始してみましょう!

  • 鳥ささみ15-20g:おろし煮(ゆでてほぐしてから、だし汁で煮る)。慣れてきたら豚肉・牛肉を始めてもよいでしょう。
  • まぐろ、鮭 15-20g:ツナ缶やトマト煮
  • 豆乳ヨーグルトをあげてもよいでしょう(30-50g)

野菜など

  • イモ類 20-30g:じゃがいも・さつまいも・里いもは、柔らかく煮てフォークでつぶす
  • 野菜類 20-30g:にんじん、かぼちゃ、かぶ、ブロッコリー、カリフラワー
    大根、玉ねぎは、煮る・ゆでる・炒めてから細かく刻みます。
  • くだもの 20-30g:りんごなどはコンポート(砂糖で煮てからつぶします)。

その他

しょうゆ、みそ、砂糖、塩などの調味料をプラスして味付けをしても差し支えありません。

3.卵小麦牛乳除去の離乳食(かみかみ期:9~11か月)

9~11ヶ月期(かみかみ期)の離乳食-図解
  • 授乳回数 食後+食間。1日3-4(めやすとして1日400-600ml前後)
  • 離乳食の回数:1日3
  • 離乳食のかたさの目安:歯茎でつぶせるかたさ状態(熟したバナナがめやす)

主食

  • 軟飯・全粥 80-100g:ふりかけで味付けも可能です。
  • 米粉パン 25-30g:スティックトースト、ジャムをつけて手づかみ。
  • 米粉パスタ・うどん 50-75g:豆乳・アレルギー用のミルクを併用してパンケーキやグラタン・スパゲッティで。

主菜:たんぱく質

新鮮な白身魚、可能であれば青魚(あじ・いわし)にもチャレンジ。

  • 魚類 20g:蒸す、焼く、煮てからほぐして。
  • 肉類 20g:煮物、煮込みなど。
  • 豆腐・豆乳 40-50g:増量は可能

野菜など

  • イモ類 20-30g:じゃがいも・さつまいも・里いもは、柔らかく煮て一口の大きさで。
  • 野菜類 50g:にんじん、かぼちゃ、かぶ、ブロッコリー、カリフラワー
    大根、玉ねぎは、柔らかく煮て一口の大きさで。
  • くだもの 30g:荒く刻む。

その他

  • ソース・ケチャップ、マヨドレがよいかと思われます。

4.卵小麦牛乳除去の離乳食(ぱくぱく期:12~18か月)

9~11ヶ月期(かみかみ期)の離乳食-図解
  • 授乳回数 食後+食間。1日2-3(めやすとして1日300-400ml前後)
  • 離乳食の回数:1日3回+おやつ1-2
  • 離乳食のかたさの目安:歯茎で噛める状態(肉団子

主食

  • 軟飯 100-120g:チャーハン・カレーでも可能です。
  • 米粉パン 50g:トースト、サンドウィッチ。
  • 米粉パスタ・うどん 100g:豆乳・アレルギー用のミルクを併用して蒸しパン、ドーナツ、クッキー、うどん。

主菜:たんぱく質

揚げ物にもチャレンジしてみたらいかがでしょうか。

  • 魚類 25g :ムニエル・フライ・から揚げ。
  • 肉類 25g:ソテー・から揚げ・ハンバーグ(ハム・ウインナー・ベーコンは卵、乳未使用のものから)
  • 練り物:おでん、煮物、あえ物などから開始。
  • 豆腐 50g:揚げ出し豆腐もよいかと思われます。

野菜など

  • イモ類 20-30g:じゃがいも・さつまいも・里いもは、揚げ煮・フライドポテト。
  • 野菜類 60g:にんじん、かぼちゃ、かぶ、ブロッコリー、カリフラワー
    大根、玉ねぎは、炒め物、サラダ(生でも可能)で。
  • くだもの 30g:食べやすい大きさで

まとめ

食物アレルギーがある乳児でも、離乳食は工夫により栄養素不足がなく摂取・増量を行う事が可能です。ここであげたのは1つの例でありますが、楽しみながら食物をあげ増量することが重要です。また、食物アレルギーがあっても加熱処理をして少量ずつ摂取することにより、「耐性」という該当するアレルゲンを摂取してもアレルギー症状が出ないことも目指せます。