妊娠すれば妊婦健診を受ける必要がありますが、一体どんな診察や検査をするのか、初産婦さんは特にわからないことだらけかと思います。ここでは妊婦健診でどのようなことをするのか、どれぐらいの頻度で健診を受けるのかなどについてお話ししたいと思います。

目次

妊婦健診の内容は?

妊婦健診では下記のような診察や検査を行います。

尿検査

妊婦健診の際には毎回行われます。診察前にトイレで検査用コップに採尿してもらい、看護師が試験紙を使って検査を行います。尿検査でわかることは、妊娠反応(初期のみ)・尿たんぱく・血尿・尿糖の有無などです

尿検査は初期には妊娠反応の有無を確認するのに必ず行います。妊娠がわかった後も尿検査を行うのは、尿に本来出てこないたんぱくや糖・血液成分などが出ていないか検査するためです。試験紙にこれらの反応があれば、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの妊娠合併症の可能性があるため、経過を診ていく必要があることがわかります。

血圧体重測定

妊娠中、血圧や体重は変化していくものですが、異常な上昇や増加はなんらかの妊娠合併症の可能性があるため、毎回測定する必要があります。妊娠中の血圧の上昇は妊娠高血圧症候群の重要な症状の1つですので、厳重な管理が必要になります。体重は異常な増加の場合だけではなく、ほとんど体重が変わらない場合もなんらかの異常がある場合があります

腹囲

腹囲は妊娠の経過と共に大きくなっていきます。赤ちゃんの成長によって大きくなっていきますが、羊水過多(羊水がなんらかの異常で多すぎる状態)の場合は急激に腹囲が増すことになります。腹囲測定は病院によっては行われないこともあります。

問診

産婦人科の医師から前回の健診からなにか異常がなかったかなどについて問診を受けます。初診では、問診票の内容を元に安全な妊娠・出産となるように医師と妊婦さんの情報の共有が行われます。

内診

基本的に、何も症状がない場合は、14週以降の妊婦健診時に内診はほとんど行いません。内診では不正出血の有無やおりものの状態のチェックが行われるほか、出産が近い週数になると子宮口の硬さや開き具合などを膣から指を挿入して触診を行います。内診の時に必要に応じて、おりもの検査や子宮がん検診が行われます。

エコー検査

妊婦健診でのエコー検査には、経腟エコーと経腹エコーの2種類があり、週数によって使い分けられます。だいたい妊娠12週未満は赤ちゃんが小さいため、経腟エコーで確認することになります。妊娠12週以降は経腹エコーで確認ができることが多いですが、病院や医師の判断で経腹エコーになる時期は違います。

経腟エコーは内診の際に行われ、赤ちゃんがいる位置や赤ちゃんの大きさ、心拍の状態などが確認できます。妊娠10週前後の赤ちゃんの大きさからはっきりとした予定日がわかるようになります

経腹エコーは診察室で行われる場合が多いです。赤ちゃんの大きさや推定体重・大きな奇形の有無、胎盤や臍帯の状態、羊水量などをチェックします。赤ちゃんがあくびや指吸いしている姿を見れる場合もあり、お腹の中で動く赤ちゃんを見れる大切な時間でもあります。病院によっては写真だけでなく、赤ちゃんが動く様子をDVDに記録してもらえるところもあります。

採血

妊娠初期に必ず1度、妊娠28週頃と34週頃にも採血があります。妊娠初期に行う採血では、一般的な血液検査に加えて血液型や感染症の検査(感染症に罹った経歴があるか、また現在罹っていないか)、血糖のチェックなどが行われます。妊娠28週頃と34週頃の採血では、ヘモグロビンや血小板、肝機能の数値に異常がないかを重点的にチェックします。これらの血液成分の異常は妊娠高血圧症候群、HELLP症候群などの重篤な妊娠合併症の可能性を示すためより詳しい検査が必要になることがあります。

頻度はどれぐらい?

妊娠検診-写真

初診がいつかによりますが、妊娠がわかってから妊娠11週目までにおよそ3回妊婦健診を受けることになります。妊娠12週から23週では4週に1回、24週から35週までは2週に1回、36週から出産までは毎週、妊婦健診を受けることになり、41週を越える場合は状態によって週に2回健診を行う場合もあります。妊婦健診の頻度は妊婦さんの状態によって頻度が増える時がありますので、医師の指示に従って健診は受けるようにしましょう。

内診が始まるタイミングは?

妊娠したかもと産婦人科を訪れた最初の診察から内診がある場合がほとんどです。妊娠が確定するのは、妊娠検査薬で陽性が出た場合ではなく、経腟エコーで子宮内に赤ちゃんの袋(胎嚢といいます)が確認できて初めて妊娠確定となります。

子宮内に胎嚢が確認出来始めるのが妊娠4週の終わり~5週目なので、妊娠検査薬で陽性が出て初診を受ける頃と時期が重なります。そのため、初診で経腟エコーはほぼ必須となります。

服装や持ち物について

妊娠初期では毎回経腟エコーで赤ちゃんを確認するため、内診室で下着までサッと脱げるスタイルが望ましいですおすすめは裾の広いスカートやワンピースですが、ストッキングやタイツを合わせる場合は脱ぐのに手間がかかるためやめておくのが無難です。パンツタイプでも問題ないですが、スキニーは脱ぎにくいためゆとりのあるシルエットがおすすめです。妊娠後期やそれ以前でも状態によっては内診がある場合があります。

経腹エコーができる週数になれば、服装はワンピースやカバーオールはやめておきましょう。横になってお腹を出した状態でエコーをするため、タオルなどは掛けてもらえますがショーツが見えた状態で検査することになります。上下分かれた服装で行きましょう。

まとめ

妊婦健診は妊娠すれば必ず受ける必要があります。妊婦健診を受けることで、お母さんや赤ちゃんの状態を確認することができ、必要な検査や治療を受けることができます。その週数毎で必要な検査が違ってくるため定期的に健診を受けることが非常に大事です。妊婦健診を受けないまま出産となってしまった場合、赤ちゃんやお母さんの妊娠中の経過がわからず、必要な治療が後手に回って非常に危険です。必ず医師の指示に従って健診を受けるようにしましょう。定期的な妊婦健診以外に状態によってはさらに精密な検査を受ける場合もあります。「羊水検査、出生前診断は何がわかるの?問題点とは?」も併せてご覧ください。