側弯症は背骨が左右に曲がってしまう病気で、特に女子に多く通常では子供の頃に現れる脊柱変形のことをいいます。体の変形だけではなく、高度に進行すると腰痛や息苦しさなどが出現することがあります。ここでは側弯症の症状や原因、治療について説明していきます。

目次

側弯症とは

側弯症は、背骨が左右に曲がっている状態で、日本での発生頻度は1~2%程度です(日本整形外科学会より)。背骨は曲がるだけでなく、ねじれを伴います。

側弯症になると外見にも異変が現れ、左右の肩の高さが違う、肩甲骨が飛び出している、ウエストラインが非対称になる、肋骨が隆起するといった変形がみられます。軽度の変形であれば症状はありませんが、重度な変形になると胸郭の変形から肺機能が低下し、ついには心不全に至ることもあります。

したがって、早期発見が重要なので、学校検診でも施行が義務付けられています。背中や肩の高さ、ウエストラインなどを見るだけでなく、前屈みの姿勢をとらせることで、肋骨や腰の高さに左右差がないかどうか調べます(前屈テスト)。

ただし、側弯症の正確な診断には直立した状態でのレントゲン検査が必要です。

どんな原因があるの?

原因として先天的な異常(先天性側弯症)、神経や筋肉の異常などもありますが、患者さんの80%以上は原因不明とされています。原因不明のものは特発性側弯症と呼ばれています。

特発性側弯症

側弯症の多くを占めるのが原因不明の特発性側弯症です。家族内での発生が多いため、遺伝的要素も考えられていますが、詳しくは解明されていません最も多い側弯症の発症は思春期の女子で、骨の形成が未熟な時は進行しやすいと考えられています。

先天性側弯症

生まれつき脊椎に変形(奇形)があるために側弯症になる場合があります。

そのほかの側弯症

その他、神経や筋肉の病気、結合織異常などに合併する症候性側弯症、外傷などが原因となることがあります。

治療方法はどんなことをするの?

背伸びする女の子-写真
乳幼児期に発症したものの一部には自然に改善するものがありますが、通常、真の側弯変形は自然消失することはありません。

変形が軽度の場合には経過観察のみ行います。日常生活の制限は不要です。中等度の変形には装具療法がおこなわれます。

装具療法は、側弯症に対して手術以外で唯一効果の認められている治療法です。装具は装着時間が長いほど効果があることが知られています。装具療法は骨成長が終了するまでおこないます。

通常、骨成長の終了により側弯変形の進行は止まりますが、高度の変形では成長終了後も進行するため、手術療法が必要になります。

最後に

側弯症は、ときに心不全や肺機能の低下など、重大な症状をきたすことがあります。真の側弯症は自然に治ることはありません。しかし残念ながら、体操、マッサージ、整体やカイロプラクティックなど民間療法も効果はなく、側弯症を予防する方法もまだわかっていません。

一定の効果が認められている治療法としては、重症の患者さんに行う手術療法・装具療法があります。そのため、進行する前に早期発見し、病院で適切な治療を受けることが重要です。学校検診の結果だけでなく、子供の背骨について何か気になることがあれば、近くの整形外科を受診してみましょう。