生活リズムが不規則である、ストレスを抱えている…忙しい生活が毎日続いていると、身体を休めることもおざなりに。そんなときは、お風呂につかってリフレッシュしてみませんか?今回は日本人が大好きなお風呂の知られざる効能についてご紹介します。

目次

お風呂が身体に良い4つの理由

1.温熱作用

お風呂にゆっくりつかると肩こりが楽になったという経験をした方も少なくないのでは。これはお湯の温熱作用によるものです。

皮膚がお湯で温められると血管が拡がって血流量が増え、温められた血液は身体中をめぐり全身が温まります。このように血液の循環が良くなると身体の老廃物や痛みの原因となっている物質が洗い流されて、酸素や栄養を十分に含んだ新鮮な血液と置き換わります。このために、肩こりなどの筋肉疲労が改善されると考えられています。

2.物理作用

お湯につかることで水圧による作用が働き、皮膚のマッサージ効果があり手足のむくみの改善などに役立ちます。お風呂の中で手や足を動かすことによって、水の抵抗を利用した筋力アップなども行うことができます。

3.ストレス発散

37~39℃のぬるいお湯にゆっくりと10分以上つかると、副交感神経が刺激されて精神の緊張がほぐれ筋肉もゆるみます。家庭のお風呂では一人だけの空間でのんびりと湯船につかり、大きな入浴施設では広い非日常的な空間を楽しむなど、入浴は手軽に生活に取り入れることができるのでストレス発散に役立ちます。

42℃以上の熱いお湯は反対に交感神経を刺激して心拍数を増やし、血圧を上げてしまうので、ぬるいお湯につかることがポイントです。

4.疲労回復

お風呂につかっている部分には、お湯の水圧がかかっています。みぞおちまで浴槽につかる半身浴は、足の静脈から心臓へ戻る血液の量を増やし心臓からの血液量が増えるために、全身の血行が良くなって疲労回復に繋がります。

入浴方法の種類

1.全身浴

肩までお風呂につかる入浴方法です。身体が温まりやすく、心地よさがストレスの解消に繋がります。

湯温が41℃くらいであれば、体温が10分間に1℃くらいの速さで上がるので長湯するとのぼせやすくなります。お湯の圧力でお腹が押されて横隔膜が持ち上がり心臓に負担がかかるので、心配な方は全身浴は控えましょう。

2.半身浴

みぞおちより下の部分を浴槽につける入浴方法です。水圧から胸が解放されるので、心臓にかかる負担が少なくなります。全身浴よりは体温が上がるのは遅いのですが、長い時間お風呂に入ることで下半身で温められた血液が循環して身体を内側からゆっくりと温めていきます。

半身浴は、長めの入浴がお勧めです。寒いときは、浴室内の温度に気を付けます。浴室暖房をつける、シャワーでお湯をまく、肩にタオルをかけるなどの工夫を行います。高齢の方、高血圧、心臓の弱い方、肺の慢性疾患を持っている方にお勧めの入浴法です。

3.部分浴(足浴・手浴)

最近の温泉地などでは足湯スペースを見かけることも多くなりました。足浴は、ふくらはぎより下を少し温度の高いお湯につけて温めながら行います。衣服を着たままでも、靴と靴下を脱いでパンツの裾を上げるだけで簡単に入浴を楽しむことができます。足の血流をよくすると足にたまった老廃物が流れてむくみの解消に繋がります。
全身浴に比べて時間はかかりますが、足浴で温まった血液が身体を循環して全身を温めます。

手浴は洗面器などにお湯をはり手だけを温める方法です。手から温まった血液は首や肩の近くを通るので、首や肩が温まり、肩こりの解消に効果的です。

入浴事故を防ぐために気を付けたいこと6つ

風呂桶

気持ちが良くリフレッシュできるはずの入浴も、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こすことがあります。高齢の方は特に注意が必要です。

1.飲酒をした後の入浴は避ける

お酒によって浴槽の中で眠ってしまったり、転んでしまう可能性があります。

2.食後すぐの入浴は避ける

満腹時は胃が持ち上がって心臓を圧迫して負担になります。血液が胃に集まらず全身を巡るので食べたものも消化が悪くなります。

3.熱いお風呂はなるべく避ける

湯温が熱いお風呂に入ると血圧が急に上がり、心筋梗塞や脳梗塞を起こす場合があります。42℃を超える熱いお風呂に入ることはなるべくやめましょう。

4.入浴後に水分を補給する

入浴中は汗を多くかき、血流量が多くなるので血液がドロドロしてきます。お風呂から上がったあとは、コップ一杯程度の水分をとるようにしましょう。

5.浴室を温める

脱衣所や浴室の気温が低いと、洋服を脱いだときに血管が縮んで血圧が上がり、その後浴槽につかると身体が温められて血圧が低下します。急激に血圧が変化しないように、脱衣所や浴室に暖房を入れられると効果的です。

6.浴槽にはゆっくり出入りする

血圧の急な上昇を防ぐために、入浴前には心臓に遠い場所からお湯をかけて毛細血管をゆっくりと拡げて血圧の上昇を防ぎます。また、お風呂から出るときは、立ちくらみを起こしやすいので浴槽のへりにつかまってゆっくりと立ち上がります。

まとめ

入浴は心地よいだけでなく、温熱作用・物理作用、ストレス解消や疲労回復などの効果があり健康に良いと考えられています。入浴は全身浴、半身浴、部分浴の種類に分けられるので、身体の状態に合わせて良いものを選びましょう。特に冬はヒートショックなど浴室で起こる事故もあるので、入浴中の事故を防ぐための注意も必要です。