寒い季節になると温かいお風呂にゆっくりつかりたいですね。よくぬくもった後、お風呂から上がると身体にかゆみを感じることはありませんか?お湯に長くつかることで、かゆみを招くこともあります。今回は入浴後におこるかゆみについてご説明致します。

目次

なぜ皮膚はかゆくなるの?

かゆみとは、掻きたいと思わせる不快な感覚です。「末梢系のかゆみ」と「中枢系のかゆみ」に分けられますが、いまだにそのしくみは正確には解明されていません。

末梢系のかゆみ

末梢系のかゆみは、皮膚に加わったかゆみを起こす刺激が神経を通して脳に伝わって起こります。蕁麻疹や湿疹など多くのかゆみはこちらにふくまれます。

中枢系のかゆみ

オピオイドという物質が脳やせきずいに働いて起こります。がん患者が鎮痛剤として用いるモルヒネによるかゆみなどがこちらに当てはまります。

入浴後のかゆみの原因は?

温熱蕁麻疹

皮膚が急に温められることによって起こる蕁麻疹です。蕁麻疹はアレルギー性のものと非アレルギー性のものがあります。

体内にアレルギーとなる物質などが入ると、細胞が異物とみなして身体の外に追い出そうとするのがアレルギー性の蕁麻疹です。一方、暑さや寒さ、摩擦などの刺激によって起こるのが非アレルギー性の蕁麻疹です。

こうしたいろいろな原因によって、ヒスタミンなどの化学物質が大量に放出され、血管が膨らんで血液中の水分が血管の外へにじみだします。その結果として、皮膚にかゆみや赤みがでるのが蕁麻疹です。

特に寒い冬の季節は、急激な温度変化によって蕁麻疹がでることがあります。寒い脱衣所からいきなり熱いお風呂に入ると、熱さが物理的な刺激となって、蕁麻疹をひきおこすことがあります。反対に暖房のきいた建物から寒い屋外に出たときなども蕁麻疹が出ることがあります。これらは アレルギーが原因ではないのでかゆみがない場合もあります。温熱蕁麻疹を防ぐためには、急激な温度変化に身体をさらさないことです。

凍瘡

凍瘡とは、しもやけのことです。寒い季節に気温が4~5度で一日の気温の差が10度以上になるとしもやけを起こしやすくなると言われています。冷たい外気にさらされて、血行の悪くなりやすい場所(手足の指先、耳たぶ、頬、鼻など)の皮膚が赤く腫れ、水ぶくれを起こすこともあります。かゆみを伴い、入浴などによってかゆみが強くなることが特徴です。

しもやけの治療には、ビタミンEの塗り薬が処方されます。しもやけになりやすい人は冬に外出するときは防寒具でしっかりと冷気を避けるようにしましょう。

乾燥

皮膚は大きく分けて三つの層からできており、一番上の層が「表皮」、真ん中が「真皮」、最下層が「皮下組織」と呼ばれています。表皮の外側には「角質層」と呼ばれる外壁があり、水分を保ち皮脂腺から出る油分が表面を覆って水分を蒸発させないようにしています。しかし皮膚が乾燥するとこのバリアが剥がれ落ちて、知覚神経の末端が皮膚の表皮の中まで伸びてきます。すると感覚が過敏になり、お湯につかったり、洋服が皮膚に触っただけでも刺激となってかゆみを引き起こすのです。

かゆみを防ぐための入浴方法は?

お風呂セット-写真

昔と比べて現代は毎日お風呂に入るようになり、ボディーソープなどの洗浄力も格段に上がりました。ナイロンタオルでごしごし身体を洗っていると皮膚のバリア機能も落としてしまうので注意が必要です。以下のようなことに気を付けてみましょう。

  • 石鹸は低刺激のタイプを選び、泡立ててから身体を軽く洗う
  • ナイロンタオルなど刺激となるものは使わない
  • 髪の毛は毎日洗うが、髪が短い人はシャンプーの量は少なめにする

入浴後、乾燥が気になるところがあればワセリンや保湿剤を塗りましょう。かゆいからといってかくと余計に悪化します。かゆいところを冷やすとかゆみが抑えられます。

まとめ

かゆみには皮膚に異常が現れるものと現れないものがあります。入浴後に身体がかゆくなるときは、温熱蕁麻疹、凍瘡、乾燥などが原因と考えられています。お風呂に入るときは、石けんやナイロンタオルなどの刺激から身体を守るようにしましょう。