高尿酸血症は、名前の通り尿酸値が高い状態にある病気です。しかし、高いこと自体が問題ではなく、ぜいたく病ともいわれる「痛風」やその他の合併症を引き起こすことが恐ろしいのです。この記事では、高尿酸血症の色々な症状や合併症を紹介するとともに、その予防法についても紹介します。

目次

高尿酸血症とは

高尿酸血症は、何らかの原因で血液中の尿酸が正常値を超えて高くなっている状態をいいます。尿酸の数値により基準値が定められており、血中尿酸濃度が7mg/dlを越えた場合を高尿酸血症と定義しています。

体の中で作られた尿酸の多くは、本来は腎臓から尿と共に排泄されていますが、排泄が少なくなったり、尿酸が作られ過ぎることで血液中に尿酸が増えてしまうと高尿酸血症となります。

尿酸は、プリン体から作られます。

高尿酸血症と痛風は同じもの?

痛風は高尿酸血症とは同じものではなく、高尿酸血症の合併症の一つです。まず、高尿酸血症から始まり、その状態が長期化すると、血液中に溶けきれなかった尿酸が結晶化して、足の親指などの関節に激しい痛みを伴う状態を痛風といいます。

高尿酸血症の原因

高尿酸血症の原因は、いくつかのタイプに分けることができます。

尿酸が沢山作られるタイプ(尿酸産生過剰型)の場合には、遺伝や肥満が関係している場合や、腎臓の機能低下によっても起こります。

尿酸の産生量は正常なのに排泄が悪いタイプ(尿酸排泄低下型)の場合には、食品が関係しており、特にプリン体を多く含む食品を食べすぎると起こりやすくなります。また、白血病や炎症性の疾患、そして激しい運動などによっても起こります。

最後に、上記2つのタイプが合体しているタイプ(混合型)の場合には、上記2つの原因がどちらも考えられます。

一般的には、これら3つの比率は、尿酸産生過剰型60%、尿酸排泄低下型10%、混合型30%だといわれています(日本薬学会より)。

高尿酸血症の合併症

痛風

高尿酸血症の代表的な合併症に、痛風があります。痛風は、血液に溶けきれなくなった尿酸が結晶になり、足の親指の関節などに沈着して激しい痛みを生じる状態となった病気です。

痛風患者には男性の方が多く、40代〜50代に特に多い傾向があります。女性でも、女性ホルモンが少なくなる更年期以降に多くなるようです。先にも述べたように「痛風=高尿酸血症」ではありませんが、代表的な合併症です。

腎障害

関節に次いで尿酸の結晶が沈着しやすい内臓として、腎臓があげられます。これにより腎臓内で徐々に結晶が蓄積することで腎臓の働きが低下し、「腎障害」が引き起こされることがあります。また、尿管、膀胱、尿道などの尿の通り道に固い結石ができると「尿路結石」となります。放っておくと腎臓機能の低下の悪化、尿酸の排泄不良などが続き、最悪の場合、「腎不全」などになる恐れもあります。

その他

高尿酸血症が悪化した場合に起こりうる合併症は、上記で紹介した痛風と腎障害などですが、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を合併する可能性もあるといわれています。最近では、メタボリックシンドロームやそれによる動脈硬化とも関係があるとして注目されています。

高尿酸血症の予防

ジョギングする男性-写真

体重管理

高尿酸血症の予防は、日々の生活を改善することが基本です。まず、肥満は大きな原因の1つでもあるので体重を適正にすることが大切となります。食生活を見直したり、適度な運動により体重を管理していきましょう。メタボリックシンドロームなど、生活習慣病の改善にも繋がります。

プリン体を控える

尿酸値を上げないために、アルコール、特にビールには気をつけましょう。ビールに限らず、体内で尿酸に変わるプリン体を多く含んでいる食品は、全て注意が必要です。レバーやカツオ、あん肝などはどれも多いので、プリン体を含む食品には注意して食生活を見直していきましょう。

水分補給やストレス対策

水分を沢山摂ることで、尿酸を尿とともに排泄できるので水分補給はこまめに行いましょう。1日に2Lは水分を飲むと良いでしょう。

また、野菜を食べることにより、尿がアルカリ性になって尿路結石ができにくくなると考えられています。特に、ほうれん草、ごぼう、キャベツなどがおすすめです。

加えて、精神的なストレスも尿酸値を上げるといいます。ストレスを上手に解消するようにしましょう。くれぐれも食事や飲酒でストレスを発散させないように気をつけてくださいね。

まとめ

高尿酸血症は、遺伝的な要因もありますが、肥満や生活習慣が関係している場合が多いので、尿酸値が高めの人は、まず生活習慣を見直すように心掛けましょう。

特に、食事の内容を見直すだけでもだいぶ改善ができるといわれています。高尿酸血症や痛風を予防することは、他の生活習慣病を予防することにも繋がることでしょう。