生後6か月から2歳ぐらいのお子さんが高熱を出し、3~4日続いて熱が下がったと思ったら全身に発疹がでてきた…このような症状が現れた場合、突発性発疹の可能性があります。今回は「突発性発疹の症状は?」「保育園でうつる?」「かかった場合のお風呂は?」といった疑問にお答えするほか、一般的に赤ちゃんが高熱を出したときにどのように対処すればよいか解説します。

目次

突発性発疹の症状は解熱後の全身発疹

突発性発疹とは、38~39度ぐらいの高熱が3~4日ほど続き、熱が下がったころから発疹が現れる病気です。多少下痢気味になることがありますが、その他の症状は見られません。

高熱の割には元気があり、比較的機嫌が良いことが多いです。熱が下がるころから体幹(胸やお腹、背中)を中心に発疹が現れ、全身に広がりますが、手足と顔は少なめです。むしろ、熱が下がって発疹が出るころの方が不機嫌になることが多いです。

また、突発性発疹は2、3歳までにはほとんどの子供が感染する病気で、そのうち6~8割の子供に症状が現れます(国立感染症研究所 感染症情報センターより)。感染症発生動向調査によると、突発性発疹の症例は0歳と1歳で99%を占めており、それ以外の年齢で発症することは稀ですが2歳以上でもかかることがあります。

基本的には自然治癒する病気ですが、まれに脳炎や脳症、劇症肝炎、血小板減少紫斑病などの重篤な合併症を起こすことがあるので注意しましょう。

突発性発疹はうつる?原因ウイルスと感染経路

親子

突発性発疹はウイルスが原因の感染症の1つで、感染力は弱いですがうつる病気です。発熱中は周囲の子供にうつることがあるので注意しましょう。突発性発疹になった場合の保育園への登校の目安は「解熱後1日以上経過して全身症状が良い」ことです(厚生労働省「保育園における感染症対策ガイドライン」より)。

また、突発性発疹はヒトヘルペスウイルスの6型と7型という2種類のウイルスが原因となることがわかっています。1度感染すると抗体が得られますが、6型と7型は異なるウイルスですので、2度突発性発疹にかかることもあります。

感染経路はやくしゃみによる飛沫感染、感染者の唾液が口から入ることによる経口感染、皮膚や粘膜の直接的あるいは手などを通じた間接的な接触感染の3つがあります。ただ、感染力が弱いため、一般的には伝染病の扱いではなく、保育園内で流行することは通常ありません。

両ウイルスとも初感染以降は潜伏感染状態となり、断続的に唾液中から排泄されるので、過去に感染したことがある親や兄弟から感染する家庭内感染が多いと考えられています。感染力が弱いので、経口感染のような濃厚な接触機会がないとうつりにくいということです。

突発性発疹の対処法って?

笑顔の子供

突発性発疹に対する特効薬はなく、突発性発疹であることがわかれば特に治療する必要はありません。また、抗生剤を使用する必要もありません。以下で解説する「赤ちゃんが熱を出した時の一般的な対処法」に沿って、様子を見てあげてください。

ただし、突発性発疹は、発疹が出るまでは何の病気かはっきりとわかりません。そのため、高熱が出た場合は赤ちゃんの様子を見ながらかかりつけの医師の診察を受けるようにしましょう。

発熱の症状が現れている段階ではほかの病気の可能性もあるので、日本小児科学会「子どもの救急」で赤ちゃんの状態をチェックして、救急の必要性を判断するとよいでしょう。

子供が熱を出した時の一般的な対処法

ここからは、赤ちゃんが発熱した時の一般的な対処法についてまとめます。

突発性発疹以外にも、赤ちゃんの発熱の原因となる疾患はたくさんあります。どのような原因にせよ、赤ちゃんが発熱した時には以下の点に気をつけて看病してあげてください。

  • 体力を消耗しているので、高熱がある間はお風呂は控える。
    ただしおしり洗いや温かいタオルで体をふいてあげるなどは、熱があっても全身状態が良ければかまいません。
  • 脱水症状を起こさないよう、こまめに水分補給をする。
    一度にたくさん飲む必要はありません。少量ずつをこまめに与えると良いでしょう。その方がお子さんも飲みやすいです。
  • 汗をかくので衣類が湿ったら着替えをする。
  • いわゆる3点クーリングをする。
    3点とはどこでしょう?首の前側とわきの下、足の付け根(そけい部)の3つです。この3か所の共通点とは何か、「脈の触れるところ」です。動脈を冷やさないと全身に巡りません。
    おでこで脈は触れませんね?おでこを冷やす目的は気持ちいいかどうかですので、体温を下げたければ3点クーリングが効果的です。
    体用の熱冷ましシートや保冷剤をガーゼなどでくるんで、3点にあてます。
  • 寒気がある時は温め、熱が上がって暑がっている時は涼しくするなど、服やふとんで体温調整する。
  • 小児科を受診するときには、「いつから」「何度の熱が」「どのくらい続いているか」を医師に伝える。

また、以下のような場合は早急に小児科を受診してください。

  • 39度以上の発熱で、不機嫌ぐったりしている
  • 嘔吐下痢を繰り返している
  • 顔色が悪く、苦しそうである
  • けいれんが止まらない
  • 呼吸がおかしい
  • 3ヶ月未満の乳児である

まとめ

今回は、突発性発疹という病気と、赤ちゃんが発熱した時の対処法について紹介しました。

ポイントは、

  • 突発性発疹は解熱後に全身の発疹が現れる病気であること
  • 感染力が弱く保育所内では流行りにくい病気であること
  • 親から子どもへの経口感染が多いこと

です。赤ちゃんに高熱がみられた時は本記事を参考に、医師の診断を受けるようにしてください。

この他、お子さんに発疹や蕁麻疹がみられた場合は「痒くて眠れない。そんな子供の蕁麻疹、効果的な治療法とは」をご覧ください。