子供が発熱し、さらに発疹を伴うような場合には、どのような病気が考えられるでしょうか。今回は、発熱と発疹がみられる病気について、発症しやすい年齢や発熱の程度、発疹の種類や特徴、発疹の広がり方などと併せて詳しくご紹介していきます。

目次

発疹が出る場合は感染症の可能性が高い

子供は免疫力が未熟なため、さまざまな感染症にかかりやすいものです。発熱とともに発疹がみられる病気には、発疹以外ほとんど症状のないものもあれば、腎炎動脈瘤などの合併症を起こすものもあります。

考えられる病気から確定診断へとつなげるためには、どれくらいの熱が何日間続いたか、発熱と発疹は同時に出現したか、どちらかが先行したか発疹はどこから始まりどのように広がっていったか、という点が手掛かりになります。

発熱と発疹が出る病気

麻疹(はしか)

麻疹ウイルスによる感染症で、乳幼児も成人もかかりやすい病気です。

麻疹ウイルスは感染力が非常に強く、空気感染によって、保育園や幼稚園で一気に流行します。はじめは発熱や鼻水などの風邪のような症状が2、3日続き、熱は一旦下がります。その後、口の中、頬の内側あたりにコプリック班と呼ばれる白い斑点が現れます。

その後さらに再度39度以上の高熱が出現し、それと同時に赤い発疹が出現します。発疹は首や顔から始まり、胸やお腹、背中まで全身に広がっていき、発疹同士が融合していきます。通常、かゆみは伴いません。

5、6日ほどで消退していきますが、発疹があった部位には褐色の色素沈着が残ることがあります。

肺炎や中耳炎、脳炎などを合併することもあり、予防のためには2回の予防接種が重要です。

水疱瘡

水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症で、2~8歳の子供に多い病気です。

37~38度の発熱、全身倦怠感と同時に、体幹を中心に発疹が出現します。発疹は紅斑(赤く平らな発疹)から丘疹(盛り上がった発疹)、水疱(水ぶくれ)へと数時間のうちに変化し、最終的に痂疲(かさぶた)となって消退します。これらの発疹が混在していることが特徴です。

また、水疱から痂疲にかけてはかゆみを伴います。すべての経過として5日程度かかります。

風疹

ぬいぐるみを抱く少女-写真

風疹ウイルスによる感染症で、1歳から小学校低学年の子供がかかりやすい病気です。

冬から春にかけて多発します。初め、咳や鼻水など軽い風邪のような症状が現れ、その後37~38度の発熱と同時に赤い発疹が出現します。

発疹は顔、首、耳の後ろから始まり、頭や手足の先まで全身に広がります。通常、かゆみは伴いません。この他、首や後頭部、耳の後ろのリンパ節が腫れることも特徴です。

風疹は3日はしか」とも呼ばれており、子供の場合は発熱も発疹も3日程度でおさまります。

伝染性紅斑(りんご病)

ヒトパルボウイルスB19による感染症で4~5歳の幼児に多い病気です。冬から夏にかけて比較的多いといわれています。両頬に赤い発疹がみられることから、「りんご病」とも呼ばれています。

顔の発疹はべたーっと融合していますが、腕や太もも、お尻にみられる発疹は斑状または円形で、レース状と表現されます。

発疹にはかゆみや熱感が伴います。1週間ほどで消退しますが、日光やお風呂をきっかけに再発することもあります。また、発疹が出る前に発熱や咳、くしゃみ、関節痛、筋肉痛などの症状が先行することもあります。

この疾患の場合には、発疹が出ている時期には感染力はほとんどありません。

突発性発疹

ヒトヘルペスウイルス6、7型による感染症で、6ヶ月~2歳の乳幼児に多い病気です。

風邪などの前駆症状は伴わず、突然38度~40度の高熱で発症します。発熱は3日ほど続き、解熱と同時に体幹を中心に赤い発疹が現れ、首や顔、手足へ広がっていきます。

このとき、嘔吐や下痢が伴うこともあります。高熱の割に赤ちゃんは比較的元気で、ぐったりしている様子がみられないということも特徴的です。

猩紅熱(溶連菌感染症)

A群溶血性レンサ球菌による感染症で、4~6歳の幼児に多い病気です

10月~3月と初夏に多いといわれています。突然の発熱とのどの痛みで発症し、赤くぶつぶつしているイチゴ舌と呼ばれる特徴的な舌を示します。

発熱から1、2日後、発疹がみられ、頬や脇の下、ふとももの内側から全身へと広がっていくことがあります。無治療の場合には、血尿を主体とする急性糸球体腎炎リウマチ熱のリスクがあります。

手足口病

主にコクサッキーウイルスA16やエンテロウイルス71による感染症で、夏風邪の1種です。10歳以下の子供に多い病気です。

名前の通り、掌や足の裏、口の中にかゆみのない水疱(水ぶくれ)が生じます。口の中に潰瘍がみられる場合、痛みで食事が進まないこともあります。

患児のうち1/3程度の割合で発熱がみられるといわれており、38度程度の発熱が2~3日程度みられることがあります。

ヘルパンギーナ

コクサッキーウイルスAによる感染症で、代表的な夏風邪の1つです。晩春から夏にかけて、5歳以下の子供に好発します。

突然高熱を発症し、のどの痛みや食欲不振を伴います。口の中やのどに小さい水疱がみられることが特徴的です。

川崎病

原因不明の血管炎で、4歳以下の乳幼児に多い病気です。

5日間以上発熱が続き、発熱から2,3日後には全身に発疹が現れます。手足は赤く腫れあがり、10日ほど経つと指先から皮がむけていきます。この他、首のリンパ節の腫れや両目の充血、唇の発赤、イチゴ舌などの症状がみられます。

合併症として、心臓に血液や酸素を運んでいる冠動脈に動脈瘤(血管のこぶ)が出来てしまうことがあり、適切な治療・管理が重要です。

まとめ

今回ご紹介した病気は一般に子供に多い病気ですが、まれに大人になってから発症することもあります。発疹以外ほとんど症状のないものもあれば、恐ろしい合併症を起こすものもあり、診断のためには皮膚科あるいは小児科への受診が欠かせません。

また、注意が必要な病気として、妊娠中に風疹や伝染性紅斑にかかると、ウイルスが赤ちゃんにまで感染し、心疾患、難聴、精神発達遅延や血液の病気など、さまざまな先天性疾患を引き起こすことが知られています。

感染予防のためにはワクチンがある病気に対してはワクチン接種を行い、風疹や伝染性紅斑が疑われる場合には他の人、特に妊娠中の方にうつしてしまわないよう注意が必要です。