人間ドックを受けて、検査結果が戻ってきた!けれど表の見方が全然わからない…という方はいませんか?検査表は見慣れない用語ばかりで難しいですよね。そこで今回は表の見方を皆さんにご紹介します。

表の見方を確認して、自分の検査結果と照らし合わせてみましょう。

なお、ここで用いられている基準範囲はあくまで参考です。紹介している病気も考えられるものの一部であり、ほかの疾患が原因となって異常値がみられることもありますので、その点に注意しながらご覧ください。

目次

1.身体計測

検査項目 基準範囲(参考)
体格指数
(BMI)
18.5~24.9
体脂肪率 男性:14.0~24.9%
女性:17.0~29.9%
腹囲 男性:85cm未満
女性:90cm未満

体格指数(BMI)

身長に見合った体重を把握する指標です。この値が22のときにもっとも病気になりにくいといわれています。一般的に25を超えると肥満の傾向が、18.5以下だとやせすぎとされます。

体脂肪率

体重に占めるおおよその脂肪の割合を示します。肥満の程度を調べることができます。

腹囲

メタボリックシンドロームの判定をします。基準値以上だと内臓脂肪型肥満の疑いがあります。

2.血圧測定

検査項目 基準範囲(参考)
血圧値 (収縮期血圧)
129mmHg以下
(拡張期血圧)
84mmHg以下

心臓のポンプ機能の動きや、高血圧・低血圧かの判定をします。

3.眼検査

検査項目 基準範囲(参考)
視力 1.0以上
眼圧 7.0~21.0mmHg

視力

裸眼での値が0.6以下であれば、近視や乱視、老眼が考えられ、眼鏡やコンタクトによる矯正が必要です。また、眼鏡などを使用している人は矯正視力も検査します。

眼圧

「目の圧力」つまり「目の硬さ」を調べます。眼圧が21.0以上の場合は緑内障の可能性があります。

4.聴力検査

検査項目 基準範囲(参考)
聴力 (1000Hz)
30dB以下
(4000Hz)
30dB以下

低音と高音の両方が聴こえるかを調べます。難聴や中耳炎を抱えていると聞こえにくくなります。

5.呼吸機能検査

検査項目 基準範囲(参考)
%肺活量 80.0%以上
1秒率 70.0%以上

%肺活量

最大限息を吸い込んだ後に吐き出した空気の量。働きが十分でない場合は間質性肺炎や肺線維症が疑われます。

1秒率

肺活量に対する、最初の1秒間で吐き出した量の割合を示したものです。この値が低い時は肺気腫や慢性気管支炎の恐れがあります。

6.血液検査

肝臓系検査

検査物質 基準範囲(参考)
総たんぱく 6.5~8.2g/dl
アルブミン 3.9~5.0g/dl
AST 9~40U/L
ALT 4~40U/L
γ-GTP 男性:70U/L以下
女性:30U/L以下
ALP 104~359U/L
LDH 120~237U/L
総ビルビリン 0.2~1.2mg/dl
直接ビルビリン 0.4mg/dl以下

総たんぱく

血液中のたんぱく質の送料を示す値です。値が高い時は慢性肝臓病、自己免疫疾患、多発性骨髄腫などが、低い時は肝硬変、ネフローゼ症候群、がんなどが考えられます。

アルブミン(Alb)

血液中のたんぱくの中でもっとも多い物質で、肝臓障害、栄養不足、ネフローゼ症候群で減少します。

AST(以前のGOT)・ALT(以前のGPT)

血清トランスアミラーゼといい、どちらも体内でつくられるたんぱく質の材料になるアミノ酸のつくりかえを仲立ちする酵素ですが、AST(GOT)は肝臓、心臓の筋肉・骨格筋などに存在し、ALT(GPT)は肝臓に非常に多く存在するという点で異なります。

数値が高い場合には肝炎、脂肪肝、肝臓がんなどが考えられます。

γ-GTP(ガンマ・グルタミル・トランスペプチターゼ)

体内でつくられるたんぱくの元であるビタミン酸の代謝を仲立ちする酵素で、肝臓や胆道に異常があると数値が上昇します。アルコール性肝障害、肝炎、胆汁うっ滞など。

ALP(アルカリホスファターゼ)

肝臓、骨、腸などでつくられる酵素で、値が上昇すると慢性肝炎、閉塞性黄疸などが疑われます。小児や妊娠中の女性は一般に値が高くなります。

LDH(乳酸脱水素酵素)

糖質を分解してエネルギー発生を手伝う酵素です。肝臓病、がん、心臓病などで値が上昇します。

総ビルビリン・直接ビルビリン

胆汁に含まれる色素です。この値の上昇は肝機能障害や胆道の閉塞などが考えられます。

腎臓系検査

検査物質 基準範囲(参考)
クレアチニン 男性:0.6~1.2mg/dl
女性:0.5~1.0mg/dl
尿素窒素 8~25mg/dl
eGFR 60ml以上/分/1.73㎡
尿酸 2.1~7.0mg/dl

クレアチニン(Cr)

たんぱく質の最終産物で、尿とともに体外に排出されます。この値が高いと脱水、むくみ、尿路閉塞性疾患などが、値が低いと肝不全などが疑われます。

尿素窒素

尿素も、たんぱく質が体内で分解されたときにできる物質の一つで、腎臓でろ過され体外に排出されます。値が高いと消化管出血や脱水、発熱、心不全など、値が低いと重度の肝障害などが考えられます。

eGFR(推算糸球体濾過量)

クレアチニン値と年齢、性別から算出した腎機能を表す値です。値が低いと働きが悪いということになります。

尿酸(UA)

タンパク質の一種であるプリン体の残骸のようなものです。その生産・排泄のバランスを調べます。高値の時には高尿酸血症や痛風が疑われます。

脂質系検査

検査物質 基準範囲(参考)
総コレステロール 120~220mg/dl
HDLコレステロール 男性:40~99mg/dl
女性:45~109mg/dl
LDLコレステロール 60~140mg/dl
中性脂肪 30~150mg/dl

総コレステロール(TC)

血液中に含まれる脂質です。数値が高いと動脈硬化や脂質代謝異常、甲状腺機能低下が、低いと栄養吸収障害、肝硬変などが疑われます。

HDLコレステロール

善玉コレステロールと呼ばれている物質で、悪玉コレステロールを吸収します。数値が低いと動脈硬化や脂質代謝異常が疑われます。逆に高すぎるとコレステロールエステル転送蛋白欠損症の疑いがあり、動脈硬化の原因になります。

LDLコレステロール

悪玉コレステロールと呼ばれている物質です。多すぎると血管壁に蓄積して動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳梗塞の恐れを高めます。

中性脂肪

身体の中でもっとも多い、糖質がエネルギーとして変化した物質です。少ない場合には低βリポたんぱく血症や低栄養が考えられます。

糖代謝系検査

検査物質 基準範囲(参考)
空腹時血糖 60~110mg/dl
HbA1C 4.6~6.2%

空腹時血糖

血液中のブドウ糖の値です。数値が高い場合には糖尿病、肝臓がん、ホルモン異常の可能性があります。

HbA1C(ヘモグロビンA1c)

過去1~2か月の平均的な血糖値の値です。この値が6.1%以上かつ空腹時血糖値が126mg/dlの場合は糖尿病とされます。

血液球系検査

検査物質 基準範囲(参考)
赤血球
(RBC)
男性:400~540万個/μl
女性:360~490万個/μl
血色素
(Hb)
男性:13~17g/dl
女性:11.4~15g/dl
ヘマトクリット 男性:38~51%
女性:33~45%
MCV 男性:85.8~102.0fl
女性:82.2~100.0fl
MCH 男性:29.0~35.2pg
女性:27.4~34.1pg
MCHC 男性:33.1~35.0%
女性:32.8~34.9%
白血球
(WBC)
3200~9599個/μl
血小板数 13~40万個/μl

赤血球(RBC)

身体の活動のもとである酸素を運びます。赤血球が多すぎれば多血症、少なければ貧血が疑われます。

血色素(Hb)(ヘモグロビン)

赤血球に含まれる蛋白質と鉄からなる、酸素を運ぶ物質です。少ない場合は鉄欠乏性貧血が考えられます。

ヘマトクリット

一定の血液量に対する赤血球の割合を示したものです。数値が低い場合には鉄欠乏性貧血、高い場合には多血症、脱水の可能性があります。

MCV(平均赤血球容積)

赤血球の大きさを示す、1個あたりの容積の平均です。低値は鉄欠乏性貧血、サラセミア、高値は巨赤芽球性貧血、過剰飲酒などの可能性があります。

MCH(平均赤血球血色素量)

赤血球1個あたりのヘモグロビンの平均量です。低すぎると、鉄欠乏性貧血やサラセミアが考えられます。

MCHC(平均赤血球血色素濃度)

赤血球の容積に対するヘモグロビンの量の比です。低値は鉄欠乏性貧血やサラセミアが疑われます。

白血球(WBC)

体外からの細菌に対抗します。値が高い場合には細菌感染症や炎症、腫瘍の存在が、低い場合には鉄欠乏性貧血や慢性炎症による貧血、ウイルス感染症が疑われます。喫煙者では値が高い傾向があります。

血小板数

血液を凝固させ、出血を止めます。数値が高い時は血小板血症や鉄欠乏性貧血などが、低い時は再生不良性貧血、突発性血小板減少性紫斑病などの可能性があります。

感染症系検査

検査物質 基準範囲(参考)
CRP 陰性(-)
0.3mg/dl以下
梅毒反応 陰性(-)
HBs抗原 陰性(-)
HCV抗原 陰性(-)

CRP(C反応性たんぱく質)

炎症が発生したときに血液中に増加する急性反応物質です。数値が高い場合には細菌感染やウイルス感染が考えられます。

梅毒反応(希望者のみ)

梅毒に感染しているかを調べます。ただし、梅毒以外でも結核や膠原病に感染している場合は陽性を示すこともあります。

HBs抗原(希望者のみ)

B型肝炎に感染しているかを調べます。

HCV抗原(希望者のみ)

C型肝炎に感染しているかを調べます。

7.尿検査

検査項目 基準範囲(参考)
尿たんぱく 陰性(-)
尿ph 5.0~7.0
陰性(-)
潜血 陰性(-)

尿たんぱく

尿の中のたんぱく質の量を調べます。陽性の場合は腎炎や糖尿病性腎症などの腎臓病が疑われます。

尿ph

尿の酸性度の検査です。通常は中性~弱酸性ですが、アルカリ性に傾いた場合はアルカローシスといって腎盂腎炎や尿道炎・膀胱炎を疑います。酸性に傾いた場合(アシドーシス)では飢餓やフェニルケトン尿症の疑いがあります。

尿の中の糖の量を調べ、陽性の場合には糖尿病や腎疾患の恐れがあります。

潜血

尿に赤血球が含まれているかを調べます。陽性だと、結石や腎臓・尿路の炎症(糸球体腎炎や尿路感染症など)が存在する可能性があります。

8.便検査

検査項目 基準範囲(参考)
便潜血 2回とも陰性(-)

便に血が混ざっているかを調べます。陽性の場合は大腸がん、大腸ポリープ、痔などが考えられます。

まとめ

人間ドックは受診して終わりではなく、きちんと結果を確認してこそ意味のあるものです。ぜひ上記の検査表を活用して、自分の検査結果を確かめてみてくださいね。