次亜塩素酸ナトリウムは、漂白剤などに含まれている成分です。菌の除菌などに効果を発揮しますが、誤って飲んでしまったり、酸素系の漂白剤と混ぜて使用してしまったりした場合には体に害が及びます。今回は身近な生活用品に含まれる次亜塩素酸ナトリウムについて説明していきます。

目次

次亜塩素酸ナトリウムとは?

次亜塩素酸ナトリウムは水に溶かした状態では、透明な緑がかった黄色をしており、プールの消毒薬のようなツンとしたにおいがします。台所用品や洗濯物の漂白剤やお風呂、洗濯層のカビ取り剤などに含まれています。

また大腸菌、サルモネラ菌、ブドウ球菌など細菌の除菌作用を持っており、飲料水や野菜、食品製造工場の機械や器具類、プールや大浴場の水に使われます。インフルエンザウイルスやアルコールが効かないノロウイルスにも有効であるため、ウイルス除去対策の除菌剤として市販されています。

除菌か漂白など目的によって原液を水で薄めて使用します。除菌用スプレーなど製品となっているものは用途に合わせた濃度に薄められています。

次亜塩素酸ナトリウムが体に与える影響とは

発生した塩素ガス-写真
次亜塩素酸ナトリウムは使い方を間違えると体に悪影響を及ぼします。誤用、誤飲した場合に体にどんな症状が現れるのか紹介します。

誤用した場合

濃度の濃い次亜塩素酸ナトリウムを素手で触ると、皮膚炎などの炎症を起こします。またカビ取り剤などの製品を換気せずに密室で使うと、喉や目、鼻の粘膜に刺激感痛みを生じたり、頭痛吐き気がみられたりすることもあります。

次亜塩素酸ナトリウムを含む製品でよく目にするのが「混ぜるな危険!」の文字です。塩素系の次亜塩素酸ナトリウムと、酸性の洗浄剤やアルコールなどが混ざると人に有害な塩素ガスを発生させます。塩素ガスを吸い込むと気道の粘膜が障害されてむくみが生じ、喉の痛み声枯れなどが起こります。

刺激が強いと気道の炎症がひどくなり、呼吸困難胸が焼けるような感じもみられます。重症の場合は肺炎肺水腫を起こし、肺の機能に障害が残ることもあります。気道が炎症によって腫れ上がり、窒息を起こして呼吸が停止する場合や、脳に酸素が行き届かなくなって低酸素脳症を引き起こすこともあります。

誤飲した場合

次亜塩素酸ナトリウムは人の体液に触れると強い酸化を起こします。誤って飲んでしまうと食道の熱傷出血など組織を破壊します。このほか代謝異常臓器の機能障害意識障害もみられることがあり、重症の場合はに至ります。濃度が濃いほど症状は重篤となります。

誤飲、誤用した時の対処法

水で薄めた少量の次亜塩素酸ナトリウムを誤飲した場合は応急処置として、牛乳(200ml程度)を飲ませます。牛乳に含まれるタンパク質に反応して作用が弱まるためです。濃度の濃いものや原液をそのまま多量に飲み、意識障害や呼吸障害がみられる場合は直ちに救急車を呼んで医師の処置を受けます。

有毒な塩素ガスを吸い込んで呼吸困難や意識障害など全身症状がみられる場合も救急搬送が必要です。目に入った場合は大量の水で洗い流し、刺激感や痛みなどの症状が残っていたら医師の診察を受けましょう。

使用上、保管上の注意点

人の皮膚粘膜に対して非常に強い刺激があります。使用時は手袋マスクメガネなどを着用し、直接皮膚や粘膜に触れないようにしましょう。また浴室などで使用する際は換気を行います。塩素ガスを発生させないために必ず単独で用い、他の洗浄剤と混ぜないようにします。酢やアルコールなどもガスを発生させるので注意しましょう。

保管するときは乳幼児や高齢者が飲み物と間違って飲まないよう手の届かないところにしまいます。また中身がこぼれないようキャップをしっかりと締めましょう。

まとめ

次亜塩素酸ナトリウムは除菌や漂白などの作用があるため、正しく使えば便利です。また家庭用製品に多く使われていて、身近なものでもあります。しかし注意を守らずに使ってしまうと体に良くなく、死に至ることもある大変危険な成分です。使うときは素手で触らない目に入らないようにする密室で使わない、他のものと混ぜないなど注意事項を厳守しましょう。