還暦を迎える頃になると、自分では「まだまだ若い!」と思っていても、体力がついていけないと感じるときがあります。もしかすると、あなたもロコモティブシンドローム(ロコモ)やサルコペニアなどの予備軍になっていませんか?ロコモもサルコペニアも筋肉が弱くなって起こります。将来、寝たきりを防ぐためにも、今のうちから筋力を低下させないことが大切です。そのためにできることは、「運動」と「アミノ酸(たんぱく質)」の摂取です。

目次

中高年の身体の問題~筋肉の衰え~

ロコモ、サルコペニアは中高年にとって、メタボに次ぐ問題として重要視されています。

視点は違いますが、どちらも「筋肉量の低下」を問題視する考え方で、シニアライフの「質」に関わる問題です。ご自身が該当するかどうかは、「整形外科専門医に聞いてみた②「防ごうロコモ!改善・予防のため大切なこととは」」でチェックしてみてください。

チェックの結果、今現在、ご自身がロコモやサルコペニアに該当しなかったとしても油断は禁物です。「筋肉」は使わないと衰えていきます。そのため「筋肉を使うこと」=「運動」が大切であることはご承知の通り。

しかし、筋肉を使えば消耗しますし、体内で筋肉を作る必要があります。その材料として最も重要なのが「アミノ酸(たんぱく質)」なのです。

アミノ酸(たんぱく質)ってどんなもの?

樽-写真
ここでアミノ酸とはどのようなものか復習しましょう。アミノ酸は20種類あります。アミノ酸がたくさんつながるとたんぱく質になります。たんぱく質は皮膚や筋肉、血液などの身体を作る大事な栄養素。この大元になるのがアミノ酸だというわけです。アミノ酸のうちで体内で作ることができないため食事から摂る必要のあるアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。必須アミノ酸は9種類あります。ところで、木の樽に水を入れるともっとも高さの低い木の部分から水が流れてしまいます。アミノ酸を木の樽の1枚ずつの板と仮定すると、最も短い木(最も不足率の高いアミノ酸)の部分から上は、廃棄されてしまうことになります(「ドベネックの樽の理論」といいます)。そのため、アミノ酸を摂取する際には、アミノ酸の種類に過不足が生じないよう、バランスよく摂取することが大切です。

アミノ酸のバランスのよい食べ物とは?

アミノ酸のバランスのよいたんぱく質源は、肉・魚・卵などの動物性食品です。しかし、歳を重ねると動物性食品に含まれる脂が胃にもたれてしまう等の理由でこれらの食品を食べる量が減ってしまいがちです。そのため、ロコモ・サルコペニアのリスクがますます上昇してしまうのです。

食べられるのであれば、一般的な食事からたんぱく質としてアミノ酸を摂ることが最も望ましいのですが、食の細くなってきた年代にはたくさんの量を食べることは難しいこともあるでしょう。そこで、適宜、アミノ酸を含む補助食品を取り入れるのもよいと思います。

手に入りやすい商品をいくつかご紹介します。商品名をクリックすると、商品の詳しいページに飛ぶことができます(別のサイトに移動します)。

粉末ドリンク

水に溶かして飲みます。

ペムノン

ドリンクタイプ

好みの味のものを選んでください。ブイクレスはゼリータイプもあります。

アルジネード

ブイクレスCP10

サプリナ オレンジグレープ

ゼリータイプのドリンク

パウチタイプです。味がいろいろありますので、好みで選んでください。

アミノケアゼリーロイシン40

リハたいむゼリー

アルジョアゼリー

ゼリープリンなど

スプーンですくって食べるタイプのもの。

プロキュア プチプリン

おいしくサポートゼリー

おかゆに混ぜる

おかゆに混ぜます。

たんぱくんパウダー

いずれも、アミノ酸・たんぱく質の補助食品としての効果は期待できます。その中で私が個人的によく使うのは「たんぱくんパウダー」です。最も安価でおかゆに混ぜるので「かさ」が増えないことから、食の細くなった方にもってこいなのです。また、湯に溶かして飲んでもおいしいので、おやつの時間などの水分補給にも使えます。
さらに、胃ろうを使っている四肢マヒの方に「たんぱくんパウダー」を提供して、褥瘡(床ずれ)が改善した経験もあります。

アミノ酸を含む栄養補助食品を摂りたいときの注意点

歳を重ねると、筋肉の低下と同時に「腎機能」も低下します。「腎機能」の低下を防ぐためには、食塩とたんぱく質の過剰摂取を避けることが望まれます。年齢を重ねた身体は個人差が大きく、筋肉の低下を防ぐことを優先すべきか、腎機能を守ることを優先すべきかは個別の判断が必要です。とくに栄養補助食品を検討する場合には、過剰摂取を起しやすいので、決して自己判断をせず、医師・管理栄養士などの専門家の指示に従ってください