現在肥満に対する漢方は市販薬でも様々な名前で販売されており、より身近なものになってきています。その肥満にも色々と種類があり、それぞれの体質に合ったものを選ぶ必要があります。

肥満改善の漢方として一番有名なのは「防風通聖散」(商品名:ナイシトールコッコアポEX錠など)だと思いますが、このお薬はがっちりとしておなか周りの脂肪が多く、体力がある方向けの漢方で、中年の男性に向いているといわれています。

しかし女性に多いのは水太りのぽっちゃりタイプです。

そこで今日は、この女性に多い肥満タイプに適応した「防已黄耆湯」について詳しく見ていきたいと思います。

目次

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)とは

防已黄耆湯とは以下の生薬が組み合わさってできている漢方のことです。

  • 防已(ボウイ)
  • 黄耆(オウギ)
  • 白朮(ビャクジュツ)または蒼朮(ソウジュツ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 大棗(タイソウ)
  • 甘草(カンゾウ)

体力が中程度以下の方向けで、医療用としても処方されるほか市販薬としても多く販売されています。コッコアポL錠も中身は防已黄耆湯です。

どんな人に、どのような効果があるのか?

ぽっちゃり水太りしている方や、筋力がなく疲れやすい方汗をかきやすい方むくみがある方に用いられます。そんなに食事の量を取っていないのに太るといった方は、体内の代謝が悪くなり、脂肪が付きやすくなったり疲れやすくなったりします。そこで防已黄耆湯を服用することで代謝がよくなり、肥満などを改善してくれます。

どうして肥満やむくみに効くのか?

肥満

先ほども述べたように、肥満の原因は身体の代謝が悪くなったことが要因の一つとして挙げられます。代謝が悪くなると、疲れやすくなり動かなくなります、そうするとまた筋肉量が落ち、さらに代謝が悪く疲れやすくなり、摂取したエネルギーが余って蓄積して脂肪になってしまいます。

そこで防已黄耆湯がエネルギーの作られている胃腸の機能を高め代謝を活発にして体を引き締めます。また消化機能を助けることで余分な水分を排出して、むくみなどを改善します。

防已黄耆湯を服用するうえでの注意点

成分に「甘草(カンゾウ)」が入っているため、妊娠中の方は医師に相談するか控えた方が良いでしょう。一部の研究では早産の危険性を高めてしまう恐れがあるとされています。

また、この「甘草(カンゾウ)」は色々な漢方薬に含まれているため、漢方を何種類も服用している方は重複していないか、または多量に飲みすぎていないかなど医師に確認する必要があります。あの有名な「葛根湯」にも甘草は含まれています。

さらに、市販薬の解熱鎮痛剤や風邪薬の中にも「甘草」もしくは「グリチルリチン酸(甘草の成分)」が含まれている場合があります。主に炎症を抑えるためです。そのためこれらの市販薬を購入する際は成分をチェックして、甘草(グリチルリチン酸)が含まれているものは控えるか、薬剤師などに防已黄耆湯を服用中であることを伝えて相談してください。

なお、1カ月以上服用しても効果があらわれない場合は、漢方が体に合っていない可能性がありますので、服用を中止して医師・薬剤師に相談してください。

さらにこんな効果も…

実は防已黄耆湯は肥満やむくみだけではなく、腫れた関節の余分な水分を排出することで関節痛などにも用いられたりします。

最近では一見漢方とはわからない名前で販売されていることも多いので、薬の箱の裏面をチェックしてどのような成分が入っているかなど確認した方が良いでしょう。効かないからといって別のお薬に変えてみたけれど、結局中身は同じ漢方だったということを防げます。

まとめ

女性の肥満の味方「防已黄耆湯」はいかがでしたでしょうか?ところで、肥満の漢方を服用する際に「漢方を飲んでいるから食事制限や運動はしなくてもよい」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、より効果をあげて持続させたいのであれば、普段の食生活を見直し、また軽い運動も取り入れる必要があります。そうすることで、体内のバランスを整え、お薬なしでも代謝をよくして太りにくい体にしてくれるのです。以上のことに注意して、漢方と上手に付き合っていきましょう。