ペットとして人気が高く、ブームも起こっているネコ。愛くるしい表情や仕草に癒されてご自宅で飼っている人も多いのではないでしょうか。ただそんなかわいいネコに嚙まれたり、引っかかれたりした後、「猫ひっかき病」にかかって体の調子が悪くなることがあります。今回は「猫ひっかき病」の原因や症状などを紹介していきます。

目次

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猫ひっかき病とは?

猫ひっかき病はバルトネラ菌(バルトネラ・ヘンセレ)に感染して発症する病気です。そのためバルトネラ病とも呼ばれています。原因となる病原体は近年まで特定されていませんでしたが、1992年にこの菌が原因だと分かりました(愛知県衛生研究所より)。

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ネコが菌を持つ理由

ネコは菌を持ったノミに刺されることで保菌します。ネコ自体は菌を持っても症状が出ないため、見た目で判断できません。菌に感染する期間は長く、ネコは菌を18か月以上持ち続けることもあります(愛知県衛生研究所より)。

ネコの5~20%程度がこの菌を保有しているとされています(千葉県獣医師会より)。

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発生する時期は?

7~12月に多いとされます(千葉県獣医師会より)。これはノミが発生する時期や、外が寒くなって室内でネコと触れ合う時間が長くなる秋から冬の季節に関連しています。

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どうやって感染する?

菌を持ったネコが人の体に傷をつけ、その傷口を通して感染します。大きな傷でなく、目に見えないほどの小さな傷でもうつることがあります。また、もともと傷がある部分を舐められて感染するケースもあります。

また菌を持ったノミに直接刺されてうつることがあります。

菌はネコ同士、またネコに傷つけられた場合は犬にもうつるため、猫ひっかき病といっても犬から人へと感染することもあります。普段の接触程度では、人間同士で感染することはありません。

注意したい人は?

免疫を抑える薬を投与されている人(臓器移植を受けた患者さん)や、免疫力が落ちているがん患者さんやHIVに感染している人たちは発症しやすいため、注意が必要です。

感染したときに出る症状は?

リンパ節が赤く腫れ上がる症状が最も知られています。腫れは数週間から、長いと数カ月まで及ぶ場合があります。

腫れはリンパ節がある脇や鼠径部(太ももの付け根)、首、肘関節にみられ、その中でもネコに傷つけられた部位に近い箇所になります。ズキズキとした痛み(疼痛)を伴う場合があります。

また赤く腫れる以外にも化膿したり、水ぶくれができたりすることもあります。このほか発熱やだるさ、頭痛もみられる場合があります。

合併症はまれにですが、意識障害やけいれん発作を伴った脳症を引き起こす可能性があります。また視力障害(網膜炎など)を伴うことも報告されています。

どうやって治療するの?

基本的には自然に治ります。リンパ節の腫れがひどかったり、痛みがひどかったりする場合などは病院を受診し、鎮痛剤や湿布を処方してもらいます。

腫れに対して穿刺(針で穴を開けてから中身を吸い取る)して治療することもあります。また、抗生剤を使用することもあります。

予防法は?

猫ひっかき病に予防接種は実施されていません。肌を傷つけられないよう、日ごろからネコ(もしくはイヌ)の爪をしっかり切っておきましょう。

また、手荒に扱うなどして下手に興奮させてしまうと引っかかれる場合があるので注意が必要です。

感染源となるノミの駆除も非常に重要です。駆除の管理ができていない野良ネコと触れ合うことも避けた方が安全です。

ネコに触った後は手を洗いましょう。また傷つけられた場合は傷口を流水で洗って様子をみてください。消毒に効果があるかどうかははっきりしていません。

まとめ

猫ひっかき病の原因であるバルトネラ菌に感染しているネコは、残念ながら目で見ても判別できません。日ごろから爪の管理やノミの駆除を徹底するなど予防対策を万全にしておきましょう。

症状は出ても自然に治ることが多いですが、痛みがひどい場合などは病院を受診してください。