皮膚がとても痒い、強い痒みのため夜に眠ることもできない…。「疥癬(かいせん)」は皮膚疾患の中でも特に痒みが激しく起こることがある病気です。耳慣れない名前ですが、疥癬とは一体どのような病気なのでしょうか。今回は原因や症状などを解説致します。

目次

疥癬とはどんな病気?

疥癬は、ヒゼンダニという小さなダニが人の皮膚に寄生して起こり、人から人へ感染する皮膚の病気です。疥癬には、通常疥癬と角化型疥癬の二種類があります。

通常疥癬

一般的にみられる疥癬はこのタイプです。寄生するヒゼンダニの数は、数10匹程度で病気に対する抵抗力が低下していない場合でも感染します。通常疥癬の感染力は弱いと考えられています。かゆみが強く、顔や頭を除いた全身にぶつぶつが現れます。

角化型疥癬

寄生するヒゼンダニの数が多いのが角化型疥癬で、100万から200万匹もの数が皮膚にいると考えられています。比較的珍しいタイプですが、患者の免疫力が弱っているときに角化型まで進行してしまうことがあります。数が多いため感染力も強く、症状が全身に現れます。かゆみは不定期に起こります。

疥癬の原因は?

ヒゼンダニが身体に寄生することによって疥癬が起こります。手首、手のひら、指の間、ひじやわきの下などにダニがごく小さい穴を掘ってその中に卵を産み、幼虫から成虫になり皮膚の表面を動き回るようになります。卵から成虫になるまではおよそ2週間かかり、動くようになると他の人の皮膚と接触することによって人から人へとうつっていきます。

ヒゼンダニは肉眼ではほとんど見えず、皮膚の内部に掘った穴や毛包内に隠れていることもあります。診断の際には、線状皮疹(ヒゼンダニの成虫が皮膚の浅いところを進むことでできる1~5ミリの皮疹)を拡大鏡で探します。この皮疹を浅く切り取り顕微鏡で拡大することで、成虫・卵の有無を確認します。

ヒゼンダニの特徴としては、熱や乾燥に弱い、人の皮膚を離れると長く生きることができない、人肌の温度以外では動作が鈍くなる、などがあげられます。

疥癬の症状は?

手のひら-写真

通常疥癬

主な症状は、線状皮疹赤いブツブツと激しいかゆみです。疥癬トンネルは手のひら、指の間や指の側面などに主に見られ、ブツブツはお腹、腕や足などにみられます。

角化型疥癬

灰色や黄白色でざらざらとした厚い牡蠣の殻のようなあかが手、足、ひじやひざなどにみられるようになります。たまに爪にもみられることがあります。手のひらや足だけなど身体の特定の部分だけに症状が出る場合もあります。かゆみの程度は人によって異なり、かゆみがある場合も全くかゆみのない場合もあります。

疥癬と似た病気は?

「湿疹」、「アトピー性皮膚炎」、「皮膚そう痒症」などの皮膚がかゆくなる皮膚病や「虫さされ」と症状が似ています。高齢の方は皮膚が乾燥しやすいので、「老人性乾皮症」「皮脂欠乏性湿疹」などにも似ていることがあります。「悪性リンパ腫」、「乾癬」などの皮膚が赤くなる病気とも症状が似ています。爪の症状が現れるときは、「爪白癬(爪水虫)と間違われることもあります。

疥癬は動物からうつる?

ボールを追う犬-写真
動物からダニがうつることはあります。ヒゼンダニは人だけに寄生して生きていますが、例えば犬に寄生するイヌヒゼンダニは人にも寄生しますが人の身体では繁殖することはできません。イヌヒゼンダニが人にうつることはあってもかゆみなどの症状は一時的に起こるだけで持続はしないのです。

まとめ

疥癬はヒゼンダニが皮膚に寄生することによって起こり、人から人へと感染する病気です。かゆみ、赤いブツブツが主な症状です。通常疥癬と角化型疥癬の二種類あり、感染力や症状に違いがあります。犬などの動物から人に移ることもありますが、ダニの種類が違うためかゆみなどの症状が長く続くことはありません。

原因となるヒゼンダニは、肉眼ではほとんど見ることができません。診察は皮膚科にかかるとよいでしょう。