ふと首のあたりを触ったら、“あれ?腫れてる?”“何だか触れるんだけど、これはしこり?”首のあたりが腫れる病気として有名なのが、血液のがんと言われている「悪性リンパ腫」です。もしかしてそんな病気になってしまったのではないかと、心配になってしまうかもしれませんね。しかし、首のあたりが腫れるという症状は、他の病気でも出ることがあります。あなたの気が付いた体のサイン、体は一体何を伝えようとしてくれているのでしょうか。今回は「悪性リンパ腫」と、それに似た症状の出る病気について見ていきましょう。
悪性リンパ腫とは?
悪性リンパ腫には,ヒトの免疫システムを構成している“リンパ球”と呼ばれる白血球が関係しています。
この“リンパ球”は、私たちの血液中を流れ、身体の中を巡り、パトロールをしています。
彼らは病原体の侵入を見つけると、それを知らせて仲間を呼び寄せ、戦いを挑んで私たちの体を守ろうとしてくれます。この時に“リンパ球”が増え、それに伴いリンパ節が腫れたりするのです。風邪を引いた時を思い浮かべるとわかりやすいかもしれませんね。腫れるというのは私たちの体が病原体と戦っている証拠なのです。
「悪性リンパ腫」とは、この本来体を守る働きをする“リンパ球”が、無制限に増え続けて腫瘍になったものです。「悪性」と病名についていますが、最近の技術や進歩により、高い確率で年々治癒する患者さんが増えてきています。また、一般的には固形がん(肺がん、胃がん、乳がん、大腸がんなど)に比べてずっとよい治療成績が得られています。
悪性リンパ腫の初期症状
悪性リンパ腫は大きく分けて、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫という2つの型があります。
日本人の場合はほとんどが非ホジキンリンパ腫です。どちらも、多くは首やわきの下のリンパ節が腫れたり,身体の一部にしこりが出来たりします。痛みをともなうことはあまりありません。
他にも、次のような症状が出ることがあります。
特に①~③の3つの症状は「B症状」と言われ、重要視されています。
このような症状が見られるようであれば、早めに医療機関にかかりましょう。
リンパ節が腫れる、他の病気
「悪性リンパ腫」以外にも、リンパ節が腫れる病気があります。そしてその数は意外と多いものです。
■リンパ節炎
- ウイルス性・・・代表的な病気は、インフルエンザです。サイトメガロウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルスによっても起こります。身体のあちこちのリンパ節が腫れます。
- 化膿性・・・・・上気道炎や扁桃腺炎を起こしている黄色ブドウ球菌や溶連菌などで首のリンパ節に腫れが起こります。痛みや発熱を伴います。
- 結核性・・・・・結核菌により起こります。
- 亜急性壊死性・・原因不明の良性のリンパ節炎です。自然治癒が見込まれる病気です。
■猫ひっかき病・・・・ 猫やイヌに引っかかれた傷や咬まれた所から細菌が感染して起こります。
首のリンパ節の痛みや腫れ、発熱などの症状が出ます。
■白血病・・・・・・・・血液を作る細胞ががん化し、正常な血液が減少します。その為、免疫力が低下し、感染症などにかかりやすくなってしまいます。
■膠原病・・・・・・・・リウマチ性疾患や全身性エリテマトーデス(SLE)などで見られます。
■アレルギー・・・・・ 薬剤アレルギーの症状として見られることがあります。
■虫歯や智歯周囲炎・・・炎症が強い場合、炎症が広がりリンパ節まで腫れることがあります。
■咽頭炎、扁桃炎・・・・喉の浅い部分や喉の奥にある扁桃に炎症が起き、腫れて赤くなります。
リンパ節の腫れと間違いやすいもの
症状が似ていることから、リンパ節の腫れと間違いやすいものもあります。
- おたふく風邪:耳下腺や顎下腺が腫れ、嚥下した時に痛みが出ることが多くあります。場所が近いので、リンパ節の腫れと紛らわしいかもしれません。
- 蜂窩織炎:赤くなり腫れて、皮膚の下の深い部分が化膿した状態です。発熱・頭痛・関節痛などを伴うこともあります。下肢に多く見られます。
まとめ
このように、首のあたりが腫れるという症状が出る病気は意外と多いものですね。いずれにしろ、「腫れる」という症状は、あなたの体が戦っているというサインです。
そのサインをキャッチして“ちょっとおかしいな”“心配だな”と思う時は、なるべく早く医療機関にかかりましょう。
あなたの体が出す大事なサインを、いざという時にしっかり受け止めてあげられますように。