なんとなく熱っぽくて身体がだるいと感じるときや、喉や頭が痛いときに病院を受診すると、「リンパ節が腫れてますよ」と言われたことがありませんか?リンパ節が腫れるとは、身体にどういう変化が起きていることでしょうか。リンパ節の働きと、そのリンパ節に炎症を起こすリンパ節炎について解説します。
リンパ節の役割
人の身体の中には、リンパ管という管が網目のように張り巡らされています。リンパ管にはリンパ液が流れており、リンパ液はウイルスや細菌などの感染症と戦ったり、不要になった老廃物を処理する役割があります。
このリンパ管の節目にあたるのがリンパ節で、1~25mm程度のそら豆の形をしており、頸部(首)や脇の下、そけい部に多く集まっています。
リンパ節炎とは?
リンパ節の炎症は、ほとんどがウイルスや細菌などの感染症によって引き起こされ、腫れや痛み、発熱などの症状を伴います。
リンパ節はその感染が全身に広がらないように食い止める役割があり、特に頸部のリンパ節は多くの感染症に関係するため、炎症を起こしやすい場所です。
1.感染症によるリンパ節炎
急性化膿性リンパ節炎
急性化膿性リンパ節炎は、咽頭炎や扁桃炎などの感染症がもとで、リンパの流れに沿って感染が広がり、リンパ節に炎症が起きた状態です。
咽頭炎や扁桃炎のほか、口内炎や歯周炎、中耳炎、頭皮や首にできたおできの化膿などからも感染を起こします。通常、感染を起こした左右片側だけのリンパ節が腫脹します。
急性ウイルス感染症
EBウイルスや風疹ウイルス、麻疹ウイルスなどの感染によってリンパ節炎を起こす場合があります。ウイルスの感染によるリンパ節炎は、細菌感染に比べて腫れは小さく、両側にみられます。
*EBウイルスとは?
EBウイルスが唾液を介して感染する伝染性単核球症は、多くの人が感染している病気です。
主な症状はリンパ節の腫れ、痛み、発熱ですが、症状がほとんど現れない不顕性感染も多く、一度感染すると、終生潜伏感染の状態となります。
結核性リンパ節炎
結核菌の感染によって起こるリンパ節炎で、頸部のリンパ節のほか縦隔(肺と胸骨に囲まれた部分)リンパ節に炎症が発生します。縦隔リンパ節の腫れが進行すると気管支を圧迫し、呼吸困難などの呼吸器症状を伴います。
ネコひっかき病
ネコに引っかかれたり、噛まれたりした傷から細菌感染を起こし、リンパ節の腫れ、痛み、発熱などの症状を起こすことがあります。
多くは自然治癒しますが、治癒までには数週間~数か月かかることもあります。
子供に発症することが多く、ほかの感染症によるリンパ節炎との鑑別診断が必要になります。
2.原因が特定されていないリンパ節炎
亜急性壊死性リンパ節炎(別名:菊池病)
亜急性壊死性リンパ節炎は、原因不明の頸部のリンパ節の腫れと痛み、発熱が見られる病気です。比較的若い年代(10~30代)に多く発症し、血液検査と組織の一部を採るリンパ節生検によって診断されます。
亜急性とは急性と慢性の中間を意味し、1~3ヵ月で自然に治癒する良性の病気です。
まとめ
リンパ節炎は感染症の拡大から身を守るため、身体の中で起こる防御作用です。
症状が軽症で自然治癒するものも多くありますが、原因となる感染症が多岐にわたるため、リンパ節の腫れが続く場合は、原因を明らかにするための検査を必要とする場合があります。