リンパ節炎は感染症の拡大から身を守るため、身体の中でおこる防御作用です。リンパ節が多く集まる頸部(首)、わきの下、そけい部などが腫れたり、抑えると痛みがある場合は、リンパ節に炎症を起こしている可能性があります。

リンパ節が腫れる原因については、「リンパ節が腫れてる!リンパ節炎はなぜ起こる」をご参照ください。

では、リンパ節が腫れてきたらどのような対処をすればいいのでしょうか?

目次

リンパ節が腫れてきたらは何科を受診?

リンパ節炎はそのほとんどが、何らかのウイルスや細菌の感染によって引き起こされます。

リンパ節の腫れ、痛みの他、発熱や他の部分の痛みや創などの症状を伴うことが多く、それらの症状によって原因となった感染症が特定できることがあります。

2、3日で症状が治まり、自然に治癒することも多くありますが、症状が長期化するものの中には原因が特定できないリンパ節炎や、悪性腫瘍や白血病などにより免疫機能が低下することによって起こるリンパ節炎もあり鑑別が必要です。まずは内科を受診し、総合的な検査や診察を受けましょう。

急性化膿性リンパ節炎

最も多いものは急性化膿性リンパ節炎で、咽頭炎や扁桃炎、口内炎、歯周炎、中耳炎、身体にできた化膿創からの感染によって起こります。

感染を起こした場所に近いリンパ節が腫れることから、咽頭炎や中耳炎のように、頭部や頸部に感染を起こした場合は頸部のリンパ節が腫脹し、下肢のケガからの感染の場合は膝裏やそけい部のリンパ節が腫脹します。

これら感染症によるリンパ節炎を疑う場合は、内科、耳鼻科、口腔外科、整形外科等の受診が適切です。

急性ウイルス感染症によるリンパ節炎

伝染性単核球症(EBウイルス)、風疹、麻疹などによってリンパ節炎が起こる場合があります。

これらの感染症の場合は、リンパ節の腫れ以外にも発熱や発疹などの症状を併発し、リンパ節の腫れは両側にみられる特徴があります。

これらの症状があるときは内科または小児科を受診しましょう。

結核性リンパ節炎

結核菌の感染によって起こるリンパ節炎で、頸部のリンパ節の他、身体の中の縦隔(肺と胸骨に囲まれた部分)のリンパ節に炎症が起こる場合があります。

結核を疑う場合は、内科または呼吸器内科の受診が必要です。

なお、結核の予防と治療に関してはこちらの記事「結核かも…何科にかかればいい?予防法は?」をご参照ください。

亜急性壊死性リンパ節炎

原因不明の頸部のリンパ節の腫れ、痛み、発熱あり、比較的若い年代(10~30代)に多く発症する病気です。病気の診断には血液検査や組織の一部を採るリンパ節生検が必要です。

内科でなんらかの急性の感染症が疑われ、検査や治療の過程でこの病気と診断されることがあります。

こんな症状がみられたら、悪性疾患の可能性も

ここまで様々な病気を紹介してきましたが、以下のような症状がみられる場合は悪性疾患(悪性リンパ腫がんの転移など)の可能性も考えられます。

  • 押しても痛くない
  • 固い
  • 徐々に大きくなる

本当に悪性疾患なのかどうかは、実際に組織の検査などを行ってみないと分かりません。慌てることなく、まずは受診してみることをおすすめします。

リンパ節炎の治療法

リンパ節炎は原因となる感染症の治療と症状に応じた対症療法が行われます。

原因に対する治療

錠剤

急性化膿性リンパ節炎

リンパ節炎の症状は、その原因となっている感染症に対する治療を行うことで軽減、緩和します。

薬物治療として、感染の原因となった細菌の種類に応じて抗生物質の投与が行われます。

また痛みや発熱などの症状を抑えるために、消炎鎮痛剤が用いられることもあります。

伝染性単核球症

EBウイルスの感染によっておこる伝染性単核球症は、消炎鎮痛剤の服用と安静により、自然経過で治癒に至ります。

ウイルス感染症であるこの病気には抗生物質は無効で、特にペニシリン系の抗生物質は、服用すると副作用として発疹が出やすくなるため禁忌とされています。

結核性リンパ節炎

抗生物質は無効で、抗結核薬による治療が行われます。

亜急性壊死性リンパ節炎

抗生物質は無効で、リンパ節の腫れや痛み、発熱などの症状に応じて消炎鎮痛剤が用いられることがあります。この病気は自然経過で治癒に至りますが、症状が強い場合はステロイド剤が使用されることもあります。

外科的治療

炎症によりリンパ節に膿がたまり膿瘍ができてしまうことがあります。膿瘍は、症状に応じて切開して排膿が必要な場合があります

まとめ

リンパ節炎の多くは感染症が原因であり、2、3日で自然に治癒する場合もあります。細菌感染の場合は抗生物質が有効ですが、ウイルス感染や慢性の経過を辿るものは抗生物質は無効であり、症状に応じた対症療法で経過をみるほかないものもあります。また、症状によっては悪性疾患の可能性もあります。

リンパ節炎の症状があるときは、早めに受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。