体重がかかる部分である「かかと」。ここに痛みがあると、歩くのも大変ですよね。

今すぐどうにかしたいと思う方も多いと思いますが、かかとの痛みにはどのような原因が考えられるのでしょうか。また、病院には行くべきなのかについてもご説明します。

目次

かかとが痛い原因は?

かかとの痛みの原因

かかとが痛む理由としては、以下のようなものが考えられます。参考までにご覧ください。
いずれも、病院を受診する際には整形外科をおすすめします。

足底腱膜炎(足底筋膜炎)

足底腱膜炎とは?

足底腱膜とは、足の裏のアーチを支え、足底の衝撃を吸収している薄い膜のことです。この足底腱膜が何らかの原因で炎症を起こしたものを、足底腱膜炎(足底筋膜炎)と呼びます。

肥満やふくらはぎの柔軟性低下があるような成人に多く、長時間の立ち仕事や過度のスポーツで足に負担がかかると起こると考えられています。

症状は朝起きて最初の一歩が強く痛むことが特徴です。レントゲンを撮ると、踵骨棘(しょうこつきょく)という、骨の変形が見つかることがあります。
歩行やランニングなど足に負担がかかることを減らせば、自然治癒することもあります。痛みが続く場合は、ストレッチインソールなどの治療もありますので、整形外科に受診しましょう。

足底線維腫症(リダーホーズ病:Ledderhose病)

足底線維腫症

足裏の土踏まずの部分にできる良性の腫瘍です。足の親指を持ち上げるようにすると、足裏に硬結(小さいコブのようなもの)があることでわかります。大きくなると圧迫や歩行により痛みがでます。

手のひらにも同じような硬結が見られることが多く、手の場合は指が曲がったままで伸ばしにくくなることから「デゥピュイトレン拘縮(こうしゅく)」と呼ばれます。

中高年の男性や糖尿病の方によくみられますが、詳しい原因はわかっていません。
日常生活に支障をきたすようであれば、インソールや注射、手術などの方法もありますので整形外科に相談してみましょう。

有痛性踵骨パッド(painful heel pad)

有痛性踵骨パッド

かかとの裏には踵骨パッドと呼ばれる肉厚な脂肪体があり、歩くときにクッションのように働いて衝撃を吸収しています。この踵骨パッドに何らかの炎症がおこり、痛みがでるものが有痛性踵骨パッドです。原因によっていくつかの種類があります。
ランニングなどかかとに衝撃が繰り返しかかるスポーツで生じる踵部脂肪体症候群(heel fat pad syndrome)は、比較的若い方に多く、スポーツ初心者や靴をかえた後に多く見られます。また、加齢によって脂肪体の弾力性が低下することで生じる踵部脂肪褥炎は、中高年に多く、かかとを押すと骨に当たるような感覚があります。

有痛性踵骨パッドは、特に硬い床の上を歩くようなときに強く痛みます。痛みが続く場合は、テーピングやインソールなどの治療がありますので、整形外科を受診しましょう。

※heel fat pad syndromeには邦語がないため、便宜上「踵部脂肪体症候群」と表記させていただきました。

踵骨疲労骨折

足のレントゲン-写真

かかとが痛いときは、疲労骨折の可能性も考えます。ランニングや球技など繰り返しかかとに衝撃がかかるスポーツをやっていて徐々に痛みが強くなってくる、という経過が典型的です。

ただし、骨粗鬆症の方、高齢の方は、日常生活程度の活動でも疲労骨折することがありますので注意が必要です。

最初のうちは運動や長時間の歩行のときに痛むだけですが、進行してくると少し歩いたり静かに休んだりしているときも痛むようになります。

スポーツをしている方は練習量を減らすことが最も重要ですが、痛みが強い場合は正確に診断して治療を行うため、整形外科を受診しましょう。

アキレス腱周囲損傷

アキレス腱周囲損傷

長時間の歩行やランニング、靴との摩擦などが原因となり、アキレス腱やその周囲に炎症が起きると、かかとが痛むようになります。炎症が起こる場所・範囲によって、呼び方が変わります。

使いすぎによってアキレス腱にストレスがかかり小さな損傷が繰り返されると、修復される過程で瘢痕(はんこん)が形成され、だんだん腫れてきます。これがアキレス腱炎です。さらに、アキレス腱の周りをおおうパラテノンという薄い膜まで炎症が及ぶと腫れも大きくなり、アキレス腱周囲炎と呼ばれます。

また、アキレス腱と皮膚、そしてかかとの骨の間には滑液包というクッションの役割をもつ袋があり、長時間の歩行や靴との摩擦で炎症が起きることがあります。これはアキレス腱滑液包炎と呼ばれます。かかとの後ろの方、アキレス腱の下の少しでっぱったところが腫れたり、赤くなったりします。ハイヒールやきついスポーツシューズなど足に合わない靴が原因として挙げられます。

スポーツや歩行を控え、クッション性があってかかとがあたらない靴に変えたり、靴の中にヒールパッドをつけたりすることで改善することが多いです。

その他にも、勢いよく踏み込んだときにポンっとボールが当たったような衝撃を感じてアキレス腱が切れるアキレス腱断裂や、石灰が沈着して突然に激痛と腫れを生じる石灰沈着性アキレス腱炎などがあります。

痛みが表現したときや、長引くときには、正しい診断のもとに治療を行うため整形外科へ受診しましょう。

踵骨骨端症(セバー病:Sever病)

踵骨骨端症

小学校中学年から高学年で、たくさん運動をしている男児によく見られます。子どもはかかとの骨がまだ弱く、運動により骨がアキレス腱で引っ張られたり、かかとに過度の衝撃が加わったりすることが繰り返されると炎症をおこします。最初のうちは運動中に痛むだけですが、徐々に歩くのも痛くなってきます。

痛みが一日程度でおさまるようなら、様子を見るだけで大丈夫です。まずは運動を控え、それでも痛みが長く続く場合は、疲労骨折や骨腫瘍である可能性もあるので整形外科を受診してください。

診断が確定したら、ストレッチやテーピング、ヒールパッドなどの治療法を行います。痛みは何年か続く場合もありますが、将来的にスポーツや日常生活に支障がでるような心配はありません。

まとめ

かかとが痛いという症状で考えられる原因は、今回紹介したもの以外にもたくさんあります。

いずれも、しばらくは患部を安静にする必要がありますが、急に強い痛みがでた場合、痛みが長引く場合、腫れがある場合などは一度病院に行った方が良いでしょう。きちんとした診断には検査が必要ですので、まずはお近くの整形外科に行ってみてください。