夏が来るたび暑さで体調が悪くなったり、だるくなったりしている方って結構いらっしゃるのではないでしょうか?とはいえ夏だって毎日仕事や学校、家事育児は避けられません。一番暑い時期に備え、早い時期から体調管理にも気をつける必要があります。

ところで、そんな夏の暑さの体調不良に効果的な漢方があることをご存知でしょうか?あまり聞いたことはないかもしれませんが、清暑益気湯というお薬で、医師から処方されたり、市販のお薬としても販売されています。

今回はこの「清暑益気湯」について詳しく見ていきたいと思います。

目次

清暑益気湯とは?

清暑益気湯は「せいしょえっきとう」と読み、主に夏バテの症状に用いられる漢方です。漢方はいくつもの生薬が組み合わさってできていますが、清暑益気湯は以下の様な生薬の組み合わせで構成されています。

  • 人参(にんじん)
  • 蒼朮(そうじゅつ)
  • 麦門冬(ばくもんどう)
  • 陳皮(ちんぴ)
  • 黄耆(おうぎ)
  • 黄柏(おうばく)
  • 当帰(とうき)
  • 五味子(ごみし)
  • 甘草(かんぞう)

清暑益気湯の「清暑」とは暑さを清める、つまり暑さを涼しくするという意味であり、「益気」とは生命のエネルギーである「気」を増やすといった意味があります。

この「益気湯」という名前が含まれた漢方には他にも「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」といった有名な漢方があり、こちらも夏バテなどに用いられています。

清暑益気湯の効能効果

それでは清暑益気湯は具体的にどのような症状に効くのでしょうか?添付文書に書かれている効能効果は以下の通りになっています。

  • 暑気あたり
  • 暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠感
  • 夏やせ

夏バテによる様々な症状に対応していることがわかりますね。比較的体力の低下した人で、尿の量が減っていたり、口が乾く軟便手足の熱感などを伴う方に出される漢方です。

清暑益気湯はどのようにして夏バテに効くのか?

夏空
夏は温度・湿度とも高いため体温も上がりがちですが、人間の体はこの暑さに対抗して体温を一定に保とうとするため大きなエネルギーを消費します。また、冷房の効いた室内から外へ出たりなどを繰り返すと、その温度差で強いストレスを受け自律神経がうまく働かなくなり、体温調節がうまくできなくなります。冷たい飲み物や食べ物などを食べ続けることで胃腸の調子が悪くなり、結果として食欲不振や下痢などにつながることもあります。

そこで、夏バテを解消するにはこのような自律神経のバランスを整え胃腸の働きを改善する必要があります。

清暑益気湯は生命エネルギーである「気」を補う漢方と考えられており、含まれている生薬は、滋養強壮作用胃腸の調子を整える作用消化作用体の熱を冷ます効果汗の調整や水分の循環を改善する効果を持っています。これらの生薬が合わさって、自律神経や胃腸の働きの不調による症状に効くようになっています。

清暑益気湯の副作用

清暑益気湯に限らず漢方にはよくあることですが、飲み始めに胃のむかつきや食欲不振が起きる場合があります。飲み続けることで慣れていくことも多いので、しばらく様子をみて、それでもよくならないようであれば医師に相談してみましょう。

また甘草(かんぞう)が入っているため、血圧上昇むくみなどにも注意が必要です。高血圧の方はもちろん、持病をお持ちの方は医師に相談してから服用する方が好ましいでしょう。加えて、甘草は他の漢方のお薬にもよく入っており、甘草の主成分である「グリチルリチン」は炎症を抑える成分として鼻炎薬や点眼剤、またかぜ薬などの様々な市販薬に入っています。知らないうちに重複して服用してしまうことが多いため注意が必要です。

わからない場合は、市販薬を購入する際に清暑益気湯を服用中であることを薬剤師に伝えてください。

まとめ

夏はだるくてやる気がしない、食欲がなくなって力がでない…といった症状に悩まされている方、ぜひ清暑益気湯の服用を考えてみてはいかがでしょうか。また漢方だけではなく、

  • エアコンの設定温度を高めに設定し、外と室内との温度差をなるべく5℃以内にする
  • 冷たいものの食べ過ぎ飲みすぎを控え胃腸を冷やさない
  • 塩分やミネラルの含んだ水分補給を心がける

などの夏バテ対策も同時に行うとよいでしょう。生活習慣の改善と漢方の服用の2つの夏バテ対策で、快適な夏を過ごせたらと思います。