耳が詰まっているような感じに悩まされていないでしょうか。耳垢が溜まっていたり(耳垢栓塞)、中耳炎だったり、メニエール病だったりなど様々な原因が考えられます。その一つに耳管狭窄症という病態があります。この耳管狭窄症は鼻や喉の病気によって起こるため、原因疾患の治療が必要になってきます。今回は耳管狭窄症について詳しく説明していきます。

目次

耳管狭窄症とはどんな病気?

耳管は鼓膜の内側にある中耳の先にある通り道のことです。普段は塞がっていて、唾液や食物などを飲み込んだとき、あくびをするときなどに一時的に開きます。そうすることで外との圧を一定に保っています。

耳管狭窄症になった場合、文字通り耳管が狭くなります。その結果、中耳に溜まる空気が閉じ込められて鼓膜の外との圧に差ができます。耳管が完全に詰まった状態が長期にわたると、中耳の粘膜から滲出液と呼ばれる液体が溜まって中耳炎を引き起こす場合があります。この中耳炎を滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)といいます。

滲出性中耳炎は、耳の機能が低下することで起こります。子供と高齢者に多く発症し、耳の聞こえが悪くなります。繰り返した場合は、鼓膜切開などの治療が行われます。

耳管が常に開いた状態になってしまう耳管開放症も、名前の印象とは異なり耳管狭窄症と似たような症状が出ます。

耳管狭窄症の原因や症状とは?

耳をすます人間

耳管狭窄症は耳が詰まった感じがする耳閉感を覚えたり、耳の聞こえが悪くなったりします。また自分の声が響いて聞こえることもあります。

原因は風邪を引いた後に起きる耳管の炎症副鼻腔炎・アデノイド(喉の一番上の部分、咽頭扁桃とも)の肥大腫瘍などが挙げられます。耳と鼻を繋ぐ耳管の長さは大体3~4cm、直径1mm程度でとても細く、炎症や腫瘍などで狭くなってしまいます。

また鼻の炎症や疲労がある場合、先天性異常で口蓋裂を持つ子供の場合は、耳管を開く筋肉が弱いため耳管狭窄症になることがあります。また子供は鼻をすすることでも耳管が狭まってしまう可能性があります。

耳管狭窄症の治療法とは?

耳管狭窄症と診断された場合には、原因疾患を治療することが必要になります。耳管粘膜に炎症が起きている場合は炎症を軽減させる薬を服用します。

中耳や耳管に鼻水のような粘液が溜まったときは滲出性中耳炎を合併している可能性もあるため、粘液溶解剤も使用します。

直接中耳と外耳の気圧を調整する方法として耳管通気療法があります。耳管通気療法とはカテーテルを鼻から入れて耳管にあてて、中耳に向かって空気を入れる方法です。耳管に粘液があったりするとうまくいきません。

まとめ

耳管狭窄症は誰にでも起こり得る病態です。耳の聞こえに不快感があるとストレスとなり、生活に支障を来たす場合があります。また症状が出てから放置すると、悪化して滲出性中耳炎などを引き起こす可能性もあります。

耳管狭窄症を防ぐためには、風邪や副鼻腔炎など原因となる疾患にかからないことが大切になります。ストレスや疲れを溜めない生活を心掛けましょう。