鼻水が出て止まらない、夜に鼻が詰まって寝苦しい。不快な鼻水の原因ははっきりしていますか。忙しいからといってそのまま放っておくと症状が長引き悪化する恐れもあります。鼻水の原因は風邪?それともアレルギー?今回は止まらない鼻水の原因についてご紹介します。

目次

メンタルヘルスに役立つ記事一覧

鼻の構造って?

鼻は気道の入り口です。気道とは、鼻から喉を通り、気管から肺へと続く空気の通り道のことです。鼻の孔の入り口部分は、皮膚に覆われて鼻毛が密集しており、鼻の孔の奥にある鼻腔はでこぼこした複雑な形をしています。

鼻の機能とは?

花の香り

異物を除去する

鼻は、呼吸するときに肺に酸素を送りこむ入り口の役割をしています。吸い込む空気はいつもきれいとは限らず、病原体、ウィルス、排気ガス、ホコリや花粉などが含まれていることもあります。このときに、鼻毛が身体にとって良くない微粒子をからめとるフィルターとして働きます。そして、でこぼこしている鼻の粘膜が侵入してきた異物を吸着して、喉へ送り出す動きをしています。

加湿器の役目をする

鼻の中の粘膜は常に粘液で湿っていて、粘膜の下には血管が走っているため、外の冷たい乾いた空気を温めて湿らす働きがあります。鼻の中から吸い込んだ空気は、そのまま肺に入るのではなく、身体にとって適切な温度と湿度に調整されてから肺に送られています。鼻の粘膜が常に粘液と水分を分泌して、吸い込んだ空気に湿気を与えているのです。冷たく乾いた空気は肺にとっては強い刺激になり、様々な病原体などが直接喉や肺に侵入しやすくなるからです。

匂いを感じる

嗅覚は、大脳辺縁系が認識された後に感覚中枢へ伝わります。大脳辺縁系は、本能や情動と深い関係を持つ部分なので、嗅覚は人間にとってストレートに伝わる感覚であるといえます。匂いの元が呼吸によって空気と一緒に入って鼻の粘膜に付いて感知し、その情報が大脳皮質の嗅覚野へ伝えられます。また、嗅覚は味覚とも深く関係しています。鼻づまりで匂いを感じないと、食べ物の味がしないことはありませんか?食べ物が美味しいかの判断も嗅覚に頼るところが大きいのです。

なぜ鼻水が出るの?

生体防御反応

鼻腔には沢山の神経反射が集まっています。代表的なものは、くしゃみ反射です。ウィルス、ほこり、化学物質などの刺激に対して、激しい呼気と一緒に身体の外に排出しようとしてくしゃみが出ます。これが生体防御反応と呼ばれるものです。鼻水もくしゃみと同じように神経反射が関係していて、異物が鼻の中に侵入してきたときに、外に出そうとして鼻腺から鼻水が多く分泌されるのです

自律神経支配

血管や内臓など身体の他の部分と同じように、鼻腔も自律神経の支配を受けています。自律神経とは、交感神経と副交感神経から成って、一つの臓器や組織に両方存在していて、互いに正反対の作用を働かせています。片方が積極的に働けば、もう片方は抑制的に働き、バランスを取ることで、身体の機能は偏ることなく正常に働くことができます。

鼻腔は、交感神経が働くと鼻粘膜の血管が収縮されて鼻水の分泌が抑えられます。反対に副交感神経が働くと血管が拡がり鼻水の分泌が促されます。自律神経のバランスが崩れると、鼻粘膜の血管が拡がり、粘膜が腫れて空気の通路が狭くなって鼻がつまりやすくなり、鼻水も多く出るようになるのです。

鼻水の原因はなに?

綿毛

アレルギー性鼻炎・花粉症

鼻水の他にくしゃみ、鼻づまり、目がかゆいなどの症状があれば、身体が何かにアレルギー反応を起こしているのかもしれません。鼻から吸い込まれたアレルギーの原因物質(抗原)が鼻の粘膜に付くことで、鼻の粘液が分泌されて血管が拡がり原因物質を排除しようとしているのです。代表的な抗原は、室内のほこりやペットの毛などのハウスダスト、ダニ、花粉などです。

過敏症による鼻水

症状はアレルギー性鼻炎と同じなのに、アレルギー検査をしても特定のアレルギー抗体が見つからなかった場合は、「血管運動性鼻炎」の可能性があります。血管運動性鼻炎は、周りの環境に鼻粘膜の局所自律神経が過敏に反応して鼻水などの症状が起きると考えられています。暖かい部屋から出て外の冷たい空気に触れたときなど、外気の急激な温度の変化によって、鼻水やくしゃみなどの症状が起きます。しばらくして周りの温度に慣れてくると症状が治まります。

その他、空気の乾燥、たばこの煙、飲酒や精神的なストレスなどが刺激となり、鼻の自律神経の働きが異常になって、鼻水が出ることがあります。

急性鼻炎(鼻風邪)

病原微生物が原因となって発症します。風邪のウィルスに感染したり、疲れが溜まって鼻の粘膜や全身の抵抗力が弱くなっているところに細菌が感染したりして、起こることがあります。症状は、鼻水、鼻づまり頭痛などで、熱が出ないのが特徴です。

風邪

風邪の原因はライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなど様々な種類のウイルスの流行です。冷たい空気と一緒にウィルスや細菌を吸い込んだとき、鼻、喉、気管の粘膜の血管が収縮して、身体に入ってきた微生物を排出する動きが弱まり、ウィルスなどが身体に侵入しやすくなります。風邪をひいている人が咳をしたときにウィルスが飛び散り、周りの人が吸い込むことによって鼻や喉に感染します。鼻水の他に、発熱、咳、喉が痛いなどの症状があります。

副鼻腔炎

風邪を引いた後などの急性鼻炎に続いて、粘膜の炎症が鼻腔から副鼻腔に広がり、どろっとした鼻水が続いて出るようであれば、副鼻腔炎を発症しているのかもしれません。副鼻腔の粘膜が腫れて厚くなり、分泌物が多く出るようになり、細菌の感染も加わって膿となって溜まるようになります。鼻水の他には、頭が重い咳が出るなどの症状もあります。「蓄膿症」とも呼ばれています。

まとめ

鼻は気道の入り口なので、空気と一緒にウィルスや細菌が入ってきて炎症を起こしやすい部分です。鼻水が出る原因は、アレルギーによるもの、風邪によるもの、副鼻腔が炎症を起こしているもの、周りの環境に過敏に反応を起こしているもの、と様々あります。鼻水以外の症状を観察して、鼻水を起こすもとを確かめましょう。また、「つらい鼻水を止めるために、今すぐできる4つの対処法」では鼻水が止まらない時の対処法をまとめていますので、併せて参考にしてください。