鼻かぜを引いたと思っていたが、鼻水鼻づまりがなかなか治らず、だんだんひどくなってきている。頭痛もしてきた。こんな症状でお悩みの方は、もしかすると副鼻腔炎にかかっているのかもしれません。副鼻腔という少し耳慣れない名前は、鼻の一部のことを指しています。蓄膿症といえば聞き馴染みがある方も多いかもしれませんが、副鼻腔炎とは蓄膿症のことで、蓄膿症はこの副鼻腔が炎症を起こす疾患です。では、副鼻腔炎(蓄膿症)とは具体的にどのような疾患なのでしょうか。今回は、副鼻腔が炎症を起こす原因に触れつつ、副鼻腔炎の症状、種類について解説します。

目次

副鼻腔ってどこにあるの?

鼻は、「外鼻」、「鼻腔」、「副鼻腔」から作られています。外鼻は普段私たちが「鼻」と呼んでいる部分、鼻腔は鼻の穴の中です。そして鼻腔の奥にはさらに、鼻腔を囲むようにして副鼻腔という空洞があります。副鼻腔は眉間から上顎まで及ぶので、このあたりが炎症すると、頭痛や歯痛が起きたように感じます。

どうして副鼻腔炎になるの?

犬と人

鼻腔と副鼻腔は小さい孔で繋がっているので、空気に混ざった細菌やウィルスが鼻腔から副鼻腔に入ることがあります。通常であれば、副鼻腔に入った細菌などは鼻腔に戻り、外に排出されますが、風邪などが原因で鼻腔の粘膜が炎症を起こして腫れてくると、細菌などが外に排出されずに増えてしまい、副鼻腔の粘膜も炎症を起こしてしまいます。副鼻腔が炎症を起こすと、膿や鼻水を外に出す力も弱くなるので、中に溜まっていくのです。

どんな症状が起こるの?

副鼻腔に細菌などが入ることによって、炎症を起こして鼻水が多く出るようになり、鼻腔の粘膜が脹れて空気の通りが悪くなり、鼻がつまって口で呼吸をするようになります。副鼻腔の炎症が起きた場所によって、頭痛や歯痛などの痛みが生じることもあります。

副鼻腔炎の種類は

パソコン

急性副鼻腔炎

風邪をひいたときに、急性鼻炎にかかり鼻腔の粘膜が炎症し、副鼻腔まで炎症が起きたもののことをいいます強く鼻をかんだり、鼻うがいをすることで、細菌やウィルスが鼻腔から副鼻腔に入ってしまい、副鼻腔の粘膜が脹れて厚くなり、鼻水などの分泌物が多くなります。

慢性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎が長引いたり、繰り返したりするうちに慢性副鼻腔炎になります。細菌やウィルスによって副鼻腔の粘膜に炎症が起きて、膿や鼻水が慢性的に副鼻腔の中に溜まってしまった状態です。

慢性化する理由は、粘膜の炎症が悪循環を起こしているからです。鼻の粘膜が脹れると鼻腔と副鼻腔をつなぐ孔がふさがり、鼻水と一緒に細菌などを外に追いやる力が弱くなります。副鼻腔の中では、細菌が増えて膿や鼻水が溜まり、粘膜を炎症させます。粘膜が炎症するとますます過敏になり、細菌が増えて膿や鼻水も増えてどんどん溜まっていく…というように、副鼻腔の組織が壊されてしまうのです。

片側性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎は、通常は鼻の両側で起こりますが、片側だけに鼻づまりの症状が起こることを、片側性副鼻腔炎と呼びます。

  • 鼻の片側だけ慢性の副鼻腔炎の症状がある
  • 鼻にポリープができた
  • 片側の視力が急に落ちてきた
  • 鼻の片側だけ繰り返し出血する

このような症状があれば、片側性副鼻腔炎が疑われます。治療をしても鼻の片側だけ繰り返し副鼻腔炎を起こすときは、注意が必要です。片側性副鼻腔炎の原因は、鼻の構造上の欠陥、虫歯、がん、悪性リンパ腫など様々な疾患が影響している可能性があるからです。症状が続くようであれば、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

好酸球性副鼻腔炎

血液の中の白血球の一種である好酸球が活性化して副鼻腔に炎症が起きたものです。

  • 臭いを感じにくくなった
  • 鼻にポリープが沢山できて鼻がつまる
  • 粘りのある鼻水が出る
  • 喘息が悪化する
  • 喫煙者や中高年が多くかかる
  • 再発して治療が長引く

好酸球性副鼻腔炎は、鼻水、鼻づまりの症状は軽めで嗅覚異常が多いのが特徴です。また、根本的な治療法はまだ確立されていないので、厚生労働省の「難治性疾患克服研究事業」の対象となっています。

まとめ

鼻の副鼻腔が炎症して、鼻水、鼻づまりなどの症状が起きることを副鼻腔炎と呼びます。鼻からの呼吸で細菌やウィルスが鼻腔に入り、副鼻腔に溜まって増えて粘膜を炎症させたことが原因となって起こります。

副鼻腔炎には、「急性副鼻腔炎」、「慢性副鼻腔炎」、「片側性副鼻腔炎」、「好酸球性副鼻腔炎」の四種類があります。「片側性副鼻腔炎」には、深刻な病気が潜んでいる可能性があるので、症状を感じたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。