ヒトが生きていく上で欠かせない「水」。では実際に摂取された水は体の中でどういった役割を果たしているのでしょうか。また、水分が不足するとどういった症状が表れ、また過剰に摂取するとからだにどのような影響を及ぼすのでしょうか。今回は水とからだの関係性について、基本的な知識などを交えて紹介していきます。

目次

水はからだの中をどのように流れるの?

水分はヒトのからだの多くを占めています。その割合は成人男性だと体重の60%、成人女性で体重の55%、新生児では体重の80%であるとされています(大塚製薬より)。体の中に流れる量は約9リットルで、口から補給した分はおよそ2リットル、残りの7リットルは唾液や胃液などの消化液として体の中で分泌されたものです。

水分のほとんどは、腸で吸収されて血液として体内を循環していきます。そうした結果、わずか0.1リットルほどが糞便として体外に排出されます。このほか尿として、また皮膚からの蒸発が生じて、からだの水分は失われていきます。

摂取量と排泄量の関係を見ると、口からの摂取量と排泄量はほとんど同じ量であるとされています。体の中に含まれる水分は常に一定の量になるよう調整されているため、汗などで多くの水分を失うと喉の渇きなどを合図に水分補給が促されます。

水分がからだで果たす役割

汗をかいた男性

ヒトのからだにおいて水分は大きく3つの役割を果たしています。

一つ目は栄養素や老廃物を運ぶ役割です。食物から吸収した栄養素は血液などに溶けて体の必要な部分に運ばれていきます。また、腎臓に運ばれた老廃物は尿として体外に排泄されます。

二つ目は、体温調節の役割です。体温が上昇していくと、汗をかいて一定の体温に保てるよう調整していきます。

三つ目は、体液の性質、状態を一定に保つ役割です。一定に保つことで、新陳代謝を正常に行うことができます

水分が不足するとどうなる?

体に含まれる水分の約2%が不足すると喉が渇き、体が動きにくくなるとされています(大塚製薬より)。いわゆる脱水症状と呼ばれるものです。脱水症状がひどくなると、頭痛やめまいなど身体に症状がみられるようになります。からだから10%以上の水分が失われると死亡してしまう危険性もあります(大塚製薬より)。

また、水分が不足するとからだは乾燥しやすくなります。併せて粘膜も乾燥していくため、ウイルスに感染しやすくなる場合があります。また水分が足りなくなると血液の水分も失われてしまい、ドロドロの血液となる恐れがあります。そうすると血管が詰まりやすくなって脳卒中や心筋梗塞を引き起こしやすくなるので注意しましょう。

水分が過剰になったときに見られる症状

水は飲みすぎても基本的には自然と体外に排出されるため、大きな問題にはなりません。ただ明らかに過剰な水分摂取はからだに悪影響を及ぼします。水分の取り過ぎで体に不調が生じる状態を水中毒と呼びます。一度に大量の水を摂取することで、水が体内に含まれるナトリウムなどのミネラルよりも過剰に水の量が多くなることにより引き起こされます。

症状は意識障害けいれん失禁などがあります。ただ繰り返しになりますが、通常の水分摂取ではこういった症状が生じることはまずありません。基本的な1日の水分摂取量である2リットル前後を基準として適当な水分摂取を心がけるようにしましょう。

まとめ

水分はからだに栄養を行き渡らせるなど、ヒトが日常生活を送る上でなくてはならないものです。季節を問わず脱水を予防し、適切な水分摂取を心掛けましょう。もし、強い喉の渇きやめまい、頭痛を感じたら近くの内科を受診するようにしましょう。