夏場、長時間屋外にいる時に、気分が悪くなったことはないでしょうか。それはもしかしたら、熱中症になっていたのかもしれません。「体調が悪いような気がするけれど、このくらい平気」と放っておくと、悪化して救急車を呼ぶ事態になってしまうこともあります。熱中症は、早めに気づいて適切な処置を取れば軽症ですみます。ここでは、熱中症のサインを見逃さないよう解説します。
熱中症はなぜ危険?
夏になると、あちこちで熱中症に対する注意喚起がされます。でも、そもそもどうして熱中症が危険なのかご存知ですか?
熱中症は死にいたることのある病気です
熱中症は、気温が高い場所や湿気が多い場所などに長時間いると起こることがあります。大量に汗をかいているのに、水分補給ができなかったり、涼しい場所に移動できなかったりする時に起こりやすいです。
通常、私達の身体は「暑い」と感じると体温調節機能が働き、汗が出ます。汗をかくことで、体内の熱を身体の外へと逃しているのです。しかし、汗が出ているのに水分が補給できない場合は脱水症状を起こしてしまいます。これが悪化するとけいれんを起こしたり、意識障害を起こしたりしてしまうのです。
熱中症の症状は、脱水症状だけではありません。重症になると体温調節機能が働かなくなり、汗が出なくなります。そして体温が異常に上昇してしまった結果、細胞が変性・破壊されてしまい、多機能不全となって死にいたることがあるのです。
高齢者や乳幼児は特に注意
特に、乳幼児と高齢者は熱中症になりやすいとされています。汗腺が少なく汗が出にくいということに加え、体温調節機能が低下しているため体温が上昇しやすいからです。さらに、暑さや喉のかわきを感じにくいためエアコンなどを使用せず、水分補給も少ない高齢者が多くみられます。自宅でも熱中症になる場合があるので注意しましょう。
また、乳幼児も自分で暑さを訴えることができません。そのため、ぐったりしてしまってから気付くことがあります。ベビーカーを利用する人は多いですが、真夏にはアスファルトの照り返しは60℃近くになることがあります。大人と比べて地表に近い高さであるベビーカーは、非常に危険なのです。
熱中症の4タイプについて
熱中症には「熱失神」「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」の4タイプがあります。それぞれのタイプについて簡単に説明します。
1.熱失神
原因:熱を体外に逃そうとして皮膚の血管が広がり、その分脳への血流が減る
症状:めまい・冷や汗・一過性の意識障害など
2.熱けいれん
原因:汗をかいた時に、塩分補給をせず水分だけ取ったため、血液の塩分濃度が低下する
症状:手足のけいれん・筋肉痛・足がつるなど
3.熱疲労
原因:大量の汗をかいているのに水分補給ができない
症状:全身の倦怠感・吐き気・嘔吐・頭痛など。体温上昇は40℃以下
4.熱射病
原因:脱水症状の悪化や体温調節機能が働かないため
症状:40℃以上の体温上昇・発汗停止・意識障害・全身の臓器の障害
熱射病は死に至ることもある危険な状態で、熱疲労は熱射病一歩手前とされています。熱失神・熱けいれんの時点で早めの対応が必要です。早急な手当てが必要になるため、熱疲労、熱射病が疑われた場合には救急車を呼ぶようにしましょう。
熱中症のサインとは
熱中症は、涼しい場所に移動する、日傘や帽子を利用する、水分補給をこまめにするなど小さなことが予防に繋がります。予防対策を取れていない時でも、いち早く熱中症だと気付いて対処すれば重症にならずにすみます。そのために、熱中症のサインを知っておきましょう。
- 口が強く渇く
- めまい・立ちくらみがする
- 生あくびが頻発する
- 頭痛
- 吐き気や嘔吐がある
- 手足のけいれんが出る
- 身体がだるくなる
- まっすぐに歩けない
- 汗が出過ぎたり、出なくなったりする
- 意識がなくなる、混濁する
何かおかしいと気付いたら、応急処置としてまず涼しい場所に移り、水分補給をしてください。熱失神や熱疲労では脳に血液が回りにくい状態になっているため、休ませる時は頭よりも足を高くしましょう。
また、汗をたくさんかくと水分だけでなく塩分も失われます。水分補給をする時は、水やお茶ではなく塩分が入ったものを飲むようにしましょう。ただ、スポーツドリンクには糖分が多く入っているので、水1000mlに塩が3g砂糖40gで、経口補水液を作って飲むのが良いでしょう。
まとめ
熱中症のサインについて、わかっていただけたでしょうか?サインを見逃さないのも大切ですが、まずは熱中症にならないように予防することが大切です。暑い日に長時間外出する予定があるなら、水分補給できるものを持ち、日傘などを用意しておきましょう。