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腎臓病の患者は成人の8人に1人の割合(NPO法人腎臓サポート協会より)といわれており、新しい国民病として認知され始めています。
糖尿病高血圧などの生活習慣病や、メタボリックシンドロームとの関係も深く、誰にでもかかる可能性のある病気です。

では、どのような生活を送れば腎臓病を予防できるのか、医師・大坪 茂先生による監修記事で、食生活を中心として見ていきましょう。

腎臓病の症状

腎臓病は“もの言わぬ臓器”といわれ、初期症状はほとんどなく、気づいたときには取返しがつかなくなる場合もあります。病状が進行すると、夜間尿、むくみ貧血息切れ倦怠感などが現れます。こうした症状に気付いたら医療機関を受診してください。

早期発見のためには、定期的に検診を受けることが大切です。尿や血圧に異常がないかを調べ、病気の可能性を探ります。特に、尿検査でたんぱくが陽性の場合は注意が必要です。

とはいえ、まずは腎臓病にかからないように気をつけることが第一です。ここからは、予防法についてご紹介します。

腎臓病を予防する食生活とは?

野菜

腎臓病は生活習慣病と大きく関わっています。ですから、予防のためには規則正しい食事適切なエネルギーコントロールが重要です。

1.エネルギーコントロールをしましょう

生活習慣病や肥満を防ぐためにはまず、暴飲暴食をしないことが一番です。

暴飲暴食は過度のエネルギー摂取につながったり、栄養バランスの崩れた食事になったりしてしまうため、そのような生活をしていると生活習慣病になってしまうリスクが高くなります。
日常生活の身体活動量にもよりますが、標準体重1kgあたり30-35kcalくらいのエネルギー摂取が適切でしょう。糖尿病がある場合は、標準体重1kgあたり25-30kcalとします。

標準体重は、身長(m)×身長(m)×22という計算式で算出します。

計算例

身長160cmの人の場合

標準体重1.6×1.6×22=56.3kg

標準体重1kgあたり、25kcalとすると

56.3×25=1408kcal

2.減塩を意識しましょう

塩分過多の食生活は、高血圧のリスクを高めます。
料理の味付けは薄味にし、出汁や薬味、香辛料などを上手に活用して減塩を心掛けましょう。

加工品や外食では塩分を摂りすぎてしまう場合が多いので、可能であれば自炊をすることをおすすめします。

3.野菜をたっぷり摂りましょう

国が勧める1日の野菜の摂取量は、350gです。

野菜に含まれる食物繊維には血糖値を上げにくくしたり、脂質を吸収したり便通を整える働きなどがあります。

毎食100g以上の野菜を摂取できるように工夫をし、食卓に取り入れてみてください。
1食分の見た目の目安は、生野菜なら両手に乗る量・茹で野菜なら片手に乗る量です。

ただし、腎障害が進行した状態では高カリウム血症になる危険があり、野菜は制限する必要があります。

4.バランスの摂れた食事をしましょう

規則正しく、栄養バランスのとれた食事をすることが何よりも大切です。

食事は毎日のことですし、なかなか計算してまでバランスのことを考えるのは難しいとい思います、しかし、より多くの食材を取り入れることで幅広い栄養素を摂ることができるのです。できれば、1日30品目の食材を取り入れることを目標にしてみてください。

その他の生活習慣

運動

喫煙

喫煙は、腎臓病の発生と進行に関与していると考えられています。

腎臓だけでなく、その他にも様々な病気の原因になるので、禁煙することが必要です。

運動不足

運動は適度な体重を保ち、生活習慣病の発生を予防するためにも重要です。

肥満はあらゆる病気のリスクを高めてしまいます。日常的に体を動かす時間を多くするように心掛けてみましょう。

毎日10分歩くだけでも効果的です。ただし、運動をするときにはこまめな水分補給を忘れずに行ってくださいね。

不規則な生活

不規則な生活を送るとホルモンバランスが崩れたり免疫力が低下したりするため、病気にかかりやすくなります。風邪や泌尿器の感染症にかかると、それが腎臓病の原因になってしまうこともあります。

また、ストレスも健康にとっては大敵です。ストレスを発散させたり、十分な睡眠時間を確保したりすることも重要です。

まとめ

腎臓病にならないためには、まず原因となる生活習慣病にかからないようリスクを減らすことが重要です。
規則正しい生活や食生活が基本ですが、暴飲暴食をしないように意識するだけでも変わると思います。

まずはできることから少しずつ、今の生活を見直して実行してみましょう。