便失禁の自分でできる改善法(セルフケア)や薬物治療法を紹介します。便失禁が軽い場合はセルフケアを試してみましょう。改善しない場合や、そもそも症状が重い方は思いきって病院を受診し、薬などで治療することをおすすめします。

目次

セルフケア

日常生活の改善

便失禁を招きやすい原因として、特に年配の方の場合は「下痢を引き起こす生活状態」があげられます。下痢になりやすい方は食事内容や量、食事の時間を見直してみましょう。

食事については「下痢はどうして起こる?原因とメカニズム」の「食べ物で起きる下痢」の項目が参考になります。具体的には食物繊維を摂取し、香辛料やカフェイン、柑橘類の果物、アルコールを控えましょう。オオバコなどの食物繊維サプリメントも有効です。

冷房の効かせすぎ、体の冷やしすぎも下痢をまねきます。

抗生物質の服用も下痢につながることがありますが、決められた日数しっかり飲み続けないと薬剤耐性菌が出現する原因となるため、処方した医師に相談し、整腸剤を一緒に処方してもらうなどしてください。

骨盤底筋訓練をしてみる

骨盤底筋体操
衰えた骨盤底筋を鍛えて、筋肉をつけると、失禁が改善できることがあります。

腹筋に力が入らないようにリラックスした状態で、肛門を3秒間強くしめます。そしてゆっくりゆるめたら休憩し、再度強くしめます。これを何度か繰り返します。

薬で改善

初期の便失禁にはポリカルボフィルカルシウムという薬が効きます。便の水分を吸収して適度な硬さに固めてくれる働きがあります。

アステラス製薬からはコロネル、日医工からはポリカルボフィルCa細粒が販売されており、いずれも医師の処方箋が必要です。食後に服薬しますが、喉や食道で薬が止まると、詰まったところで膨張してしまうので、十分な量の水で飲むようにしましょう。

同様に、下痢の改善薬としてロペラミド塩酸塩も有効です。ヤンセンファーマからはロペミン、そのジェネリック医薬品としてサワイからロペラミド塩酸塩カプセルが販売されています。小腸の動きが抑制され、また腸の中で便の水分を吸収するので便が固くなります。副作用として便秘になってしまうこともありますので、その場合は処方した医師に相談しましょう。

下痢や軟便ではないのに便失禁がおこる場合は、ストレスが原因のときもあり、抗うつ剤であるアミトリプチリン塩酸塩が有用です。

直腸の感覚が低下し、便が溜まってもトイレに行きたいという感覚が持てない人、または排便しても便がまだ残っている残便感に悩まされている人には、定期的に座薬浣腸を使って、直腸の中を空っぽにすることも効果的です。

まとめ

セルフケアや薬でも治らない場合は外科手術という方法もあり、治療をした人の8割に効果が出ています(オムロンより)。まずは大腸肛門外科、消化器内科などを受診してみましょう。