ビタミンEは、体のさまざまな部位の生体膜に存在しており、生体膜を作っているリン脂質を酸化から守る働きをしています。脂質が酸化して生成された過酸化脂質は、動脈硬化などの生活習慣病の原因となります。

ビタミンEは抗酸化作用を持ち、活性酸素によって引き起こされる、さまざまな症状を予防する効果があります。ビタミンEの効果や多く含まれる食品を知り、健康づくりに役立てていきましょう。

目次

ビタミンEの働きは?

ビタミンEは活性酸素を減らす働きがあります。過酸化酸素は、ストレスや喫煙やアルコール、紫外線、排気ガスなどによって発生し、動脈硬化を進行させる過酸化脂質を生成する原因となります。

過酸化酸素は、細菌やウイルスを撃退する働きがあり、体にとってなくてはならないものです。しかし、私たちが呼吸からとり入れている酸素のうち2%は、活性酸素に変わり、さらに増えると体に害をもたらします。

活性酸素は正常な細胞や遺伝子を酸化させてしまい、老化の原因になり、悪玉コレステロールと結びついた酸化LDLは、動脈硬化の原因にもなります。

活性酸素が関連して起こるとされる病気

ガン・動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病・肺炎・胃潰瘍・認知症・アトピー性皮膚炎・関節性リウマチなど

ビタミンEは、体内で発生した活性酸素を減らすほか、発生そのものを抑える効果があるともいわれています。つまり、ビタミンEを摂ることによって、上記のような病気にかかるリスクを減らす効果が期待されています。

ビタミンEの欠乏症について

それではビタミンEが不足するとどうなるのか?詳しく見ていきましょう。

ビタミンEが不足すると、細胞膜が傷つきやすくなります。そうすると赤血球の溶血が起こりやすくなり、不妊筋肉の萎縮が見られるようになるといわれています。溶血性貧血では、赤血球が破壊され、黄疸(色素成分のビリルビンが、皮膚や粘膜に過剰に沈着した状態)などが起こります。また、生活習慣病や、老化を早めてしまう原因にもなります。

ビタミンEは脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収が高まります。熱や酸にも強いので、炒めても効果が失われることはありません。β-カロテンビタミンCなどの他の抗酸化成分と一緒に摂ると、さらに効果がアップします。

ビタミンEの多く含まれる食品と摂取基準

ビタミンEが多く含まれる食品

食品 1食あたりの量 ビタミンEの含有量
うなぎの蒲焼 100g(1串) 4.9mg
ツナ油漬缶詰 40g(1/2缶) 3.3mg
モロヘイヤ 60g(1/4袋) 3.9mg
かぼちゃ 50g 2.5mg
赤ピーマン 40g 1.1mg
アーモンド(フライ味付け) 10g(10粒) 2.9mg
ピーナッツ(炒り) 10g 1.1mg
ひまわり油 4g(小さじ1) 1.5mg
サフラワー油 4g(小さじ1) 1.1mg

出典:「改訂新版 栄養の教科書」「からだにおいしいキッチン栄養学」を元にいしゃまち編集部が作成

ビタミンEは、ナッツ類や緑黄色野菜、植物油に多く含まれています。加熱にも強いので、炒め物や焼き物にしてもOKです。

ビタミンEの摂取基準

単位mg ( )内は耐容上限量

男性 女性
1〜2(歳) 3.5(150) 3.5(150)
3〜5(歳) 4.5(200) 4.5(200)
6〜7(歳) 5.0(300) 5.0(300)
8〜9(歳) 5.5(350) 5.5(350)
10〜11(歳) 5.5(450) 5.5(450)
12〜14(歳) 7.5(650) 6.0(600)
15〜17(歳) 7.5(750) 6.0(650)
18〜29(歳) 6.5(800) 6.0(650)
30〜49(歳) 6.5(900) 6.0(700)
50〜69(歳) 6.5(850) 6.0(700)
70歳以上 6.5(750) 6.0(650)

出典:「改訂新版 栄養の教科書」を元にいしゃまち編集部が作成

まとめ

活性酸素は、さまざまな病気の原因の一つとされていますが、食事以外でも、ストレスや、喫煙アルコールの習慣など、気を付けるポイントはたくさんあります。普段の生活習慣を見直しながら、ビタミンEなどの抗酸化作用を持つ食品をとり入れ、健康的な体作りをしていきましょう。