食品に含まれているビタミンは、調理や保存の仕方によって失われてしまうものもあります。せっかく同じ食品を摂るのであれば、より効果的に摂りたいと思いますよね。
この記事ではビタミンの安定性や性質についてまとめ、ビタミンの損失を最小限に抑えるための調理のコツを紹介していきます。
ビタミンの安定性
ビタミンは熱や光などの条件によって安定性に違いがあります。特徴を知っておくことでビタミンの損失を抑えることができますよ。
一覧にまとめたので参考にしてみてください。
中性 | 酸性 | アルカ リ性 |
空気 | 光 | 熱 | 調理による 最大損失 |
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脂溶性 ビタミン |
ビタミンA | ◯ | × | ◯ | × | × | × | 40% |
ビタミンD | ◯ | ◯ | × | × | × | × | 30% | |
ビタミンE | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | × | 55% | |
ビタミンK | ◯ | × | × | ◯ | × | ◯ | 5% | |
水溶性 ビタミン |
ビタミンB1 | × | ◯ | × | × | ◯ | × | 80% |
ビタミンB2 | ◯ | ◯ | × | ◯ | × | × | 75% | |
ナイアシン | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 75% | |
葉酸 | × | × | × | × | × | × | 100% | |
パントテン酸 | ◯ | × | × | ◯ | ◯ | × | 50% | |
ビタミンB6 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | 40% | |
ビタミンB12 | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | ◯ | 10% | |
ビオチン | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | 60% | |
ビタミンC | × | ◯ | × | × | × | × | 60% |
参照:国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報を元にいしゃまち編集部が作成
×の数が多いビタミンや調理中の最大損失が高いビタミンは、食事によってとり入れるのが難しいビタミンであるといえます。
これによると一番難しいのは葉酸であると考えられますが、葉酸は腸内細菌からも合成することができるため、不足することはあまりありません。
ナイアシンは◯の数が多く安定しているものの、最大損失が75%となっています。これはナイアシンは水溶性ビタミンなので、水に溶ける性質によるものではないかと推察できます。
脂溶性ビタミンのとり方
脂溶性ビタミンは脂肪組織や肝臓に貯められます。多くとってしまうと排出されないので、適量を守りながら摂る必要があります。
脂溶性ビタミンの特徴は、油になじみやすいということ。油と一緒に摂ると体への吸収力が高まります。
人参やほうれん草などの色の濃い緑黄色野菜に多く含まれており、炒めるという調理法にも適しているものが多いので、油と一緒にとりましょう。
普通の食事をしていれば摂りすぎになることはあまりありませんが、サプリメントやビタミン剤を飲んでいる時は注意しましょう。
また、ビタミンDは体の中で合成できるビタミンです。日光を浴びることによってビタミンDが合成されます。紫外線対策をしすぎず、適度に外気浴を楽しみましょう。
水溶性ビタミンのとり方
水溶性ビタミンは、多くとりすぎても排泄されてしまうため、1日の中でこつこつと分けてとることがオススメです。
脂溶性ビタミンに比べて加熱に弱いので、サラダのような生で食べる料理が適しています。
水溶性ビタミンを逃さない一番のポイントは下処理です。切ってから洗うと細胞からビタミンが逃げてしまいます。材料は「切る前に洗う」、「水にさらすときは短時間に」というポイントを心がけましょう。
また、料理の水分も一緒に摂れるスープや煮物は、溶け出てしまったビタミンもとり入れられるのでオススメです。味付けを薄めにして、最後まで食べられるように工夫しましょう。
ビタミンCはカラーピーマンやブロッコリーなどに多く含まれていますが、加熱によって壊れやすいといわれています。しかし、ジャガイモやサツマイモなどの芋類は、でんぷんがビタミンCを守ってくれるので損失が抑えられます。
ビタミンCをとりたい時には芋類の摂取がオススメですよ。
まとめ
脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンを効率良く摂取する方法について紹介しました。食品によって含まれているビタミンの種類が違うので、全てを摂ろうとするのは難しいかもしれません。
症状や期待する効果に合わせて、不足していると考えられるビタミンを効率良くとり入れていきましょう。