以前、B型肝炎ワクチンは希望者のみが必要に応じて接種する任意接種の一つとして扱われてきましたが、現在では制度改正により定期接種に追加されています。よって決められた期間内であれば、行政の枠組みのもと、基本的に無料でワクチンを接種することができます。

ここでは、B型肝炎とは一体どのような病気なのか、そしてB型肝炎ワクチンの定期接種の時期や副反応について説明します。

目次

B型肝炎ってどんな病気?

まずB型肝炎とは一体どのような病気なのでしょうか?
肝炎とは、文字通り「肝臓に炎症が起こる病気」です。特にB型肝炎では肝臓に慢性的な炎症が起こります。継続的に炎症が加わることによって次第に肝臓は線維状になり、最終的には肝硬変肝臓がんになることもあります。

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染することによって起こります。現在わが国にはおよそ130~150万人のB型肝炎ウイルス感染者がいると推定されています(日本肝臓学会より)。その感染経路のほとんどは、感染者の血液や体液(精液・膣分泌液など)を介するものです。

成人の場合は主に性行為時に体液を介して感染しますが、子供のあいだでは母子感染のほか、ケガなどで生じた出血を不用意に取り扱う(手に感染者の血液がついた状態で自分のケガをした場所を触れてしまうなど)ことによって感染が広がるとされています。

また、最近では汗などを介した感染例も報告されており、実際に保育園内で集団感染が生じたケースもあります。したがって、子供を集団感染から守るためにも積極的なワクチン接種が求められるようになったのです。

B型肝炎ワクチンの接種時期・接種回数は?

現在わが国で利用されているB型ワクチンには、ビームゲンとヘプタバックスの2種類が存在しています。

両者の違いとしては、由来となるウイルスの遺伝子のタイプが異なるという点がありますが、効果に差があるわけではありません。

両方とも、合計3の接種が必要となります。
定期接種の対象者は1歳未満の乳児とされており、生後2~9か月の間に接種するのが一般的です。

接種の間隔ですが、1回目と2回目の間に27日以上の間隔を空け、その後1回目の接種から139日以上経過した時期に3回目を接種するとされています。

乳児期に3回も同じワクチンのために予防接種を受けるのは負担であると感じる親御さんも多いかと思いますが、医師と相談の上接種スケジュールを決めることができるとよいでしょう。

副反応にはどんなものがある?

他のワクチンと同様に、B型肝炎ワクチンも接種後に副反応が生じることがあります。

主に生じる可能性がある副反応としては、発熱、発疹、接種した箇所のずきずきとした痛み、かゆみ、腫脹、発赤、吐き気、下痢、食欲不振、頭痛、倦怠感、関節痛、筋肉痛、手の脱力感などがあります。

ただし、これらの反応が生じる確率は5%以下であるとされており、生じた場合も数日程度で回復するとされています(国立感染症研究所より)。したがって、副反応があるからといってワクチン接種をためらう必要はないでしょう。

まとめ

歴史的に日本では、ワクチン接種による副反応などを危惧するあまり、海外で積極的に接種が求められてきたワクチンが定期接種に含まれていないという問題が生じていました。これをワクチンギャップといいます。

B型肝炎ワクチンもWHO(世界保健機関)の指針では積極的な接種が推奨されるワクチンの一つとされてきましたが、これまで定期接種扱いにはなかなかならず、今回の制度改正によってようやく定期接種の一つに含まれるに至りました。

小さなお子さんをお持ちの親御さんには、このような制度改正の背景についても知っておいていただくと良いかもしれませんね。