四種混合ワクチンとはジフテリア百日せき破傷風ポリオといった小児が感染すると重症化・後遺症が残る非常にやっかいな病気にかかることを防ぐためのワクチンです。
現在は定期予防接種の一つとなっているため、決められた期間であれば金銭的な負担も少なく受けることができます。ここでは、四種混合ワクチンについて効果や副反応、接種時期を説明していきます。

目次

四種混合ワクチンって?

四種混合ワクチンとは、すでに説明したようにジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオという4つの疾患の予防するために接種するワクチンです。これらの疾患を英語で表記した際の頭文字をとってDPT-IPVとも呼ばれます。
かつては、上記疾患のうちポリオを除いた三種混合ワクチン(DPT)が用いられていましたが、平成24年11月1日よりDPT-IPVが定期予防接種に導入されています。

どんな病気が防げるの?

ジフテリアやポリオといった病気は、現在日本では感染者数が極めて少なくなっているため、耳にしたことがない方も少なくないかもしれません。
まずは、上記の4つの感染症がどのような病気なのか簡単に理解しておくことにしましょう。

1.ジフテリア

ジフテリア菌は、鼻や咽頭(のど)や皮膚などに感染して様々な症状を引き起こします。のどに白い膜(偽膜)が形成される点が特徴的です。発熱呼吸困難などの症状や、まれに神経障害心筋炎(心臓の筋肉の炎症)を引き起こして命にかかわることもあります。

2.百日せき

百日せきはボルデテラ菌(Bordetella pertussis)によって引き起こされます。軽い風邪のような症状を示す時期(カタル期)を経て、せき込みで顔を赤くするほどの非常にしつこい咳を繰り返すのが特徴です。完全に回復するまでには数週間がかかります。また、生後6カ月未満の乳児では肺炎・脳炎などのリスクもあり、特に重症化しやすいので注意が必要です。

3.破傷風

破傷風は破傷風菌(Clostridium Tetani)が原因となります。不潔な環境下で傷などから破傷風菌が体内に侵入して神経を侵すことにより、けいれん全身の硬直を引き起こします。現在でも致死率が非常に高くなっている感染症の一つです。

4.ポリオ

ポリオウイルスは本来感染しても症状を引き起こさない場合がほとんどです。しかし、ウイルスが中枢神経系(脳や脊髄)に侵入すると急性灰白髄炎を引き起こし、手足に持続的な麻痺をもたらします。一般的には小児まひと呼ばれています。

このようにこれら四種類はすべて命を奪う危険性があったり、一度罹患すると長期に渡り症状が出現したり、重い障害が残るなどとても深刻な結果を招く恐れがあるのです。四種混合ワクチンはこれらの感染症にかかるリスクを大きく減らすことができます。

接種の時期は?

現在日本では、四種混合ワクチンの定期接種は生後3ヵ月から90ヵ月(7歳6ヵ月)までの者を対象としています。
また、接種は合計4回(初回接種として20日~56日の間隔で3回、また初回接種終了後半年以降に追加接種として1回)と定められています。

副反応は強いの?

基本的には、注射した部分が赤く腫れたり硬くなったりする程度で重い副反応は生じないとされています。ただし、体質によってはまれに重い副反応(高熱や意識混濁など)が生じることもあります。これらの症状が出た場合は命に関わることもあるので、早急に医療機関を受診するようにしましょう。また、副反応によって生じた不利益は公的に補償される制度(医薬品副作用被害救済制度)もありますので、万一に備えて知っておくとよいでしょう。

まとめ

ジフテリアやポリオは現代の日本で見かけることは非常に少なくなりました。特にポリオは、2000年に西太平洋地域で根絶が宣言されています。ただし、海外ではいまだに流行している地域はありますし、グローバル化が進むなかでいつ再び国内に侵入してきてもおかしくありません。大切なお子さんを守るため、そして社会に感染症を再び蔓延させないためにも四種混合ワクチンはきちんと接種しておくようにしましょう。