顔や手などの保湿はばっちりだけど、案外忘れがちなのが「かかとの乾燥」。素足にサンダル・ミュールを履く夏はもちろん、空気が乾燥してくる秋・冬も気になります。ケアをしているのになかなか改善されない…と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
なぜ皮膚は乾燥するの?~肌の機能と役割~
皮膚の表面「角質層」の役割
皮膚は表皮・真皮・皮下組織の三層構造になっており、一番外側にあるのが表皮です。表皮もまた層の構造になっていて、一番外側の層は角質層(角質)と呼ばれています。
角質層は、肌の内部からの水分の蒸発を防ぐと同時に、外部の刺激から肌を守っています。
角質層をカバーする「皮脂膜」
角質層は肌を守るために重要な役割を担っていますが、その厚さはたったの0.02mm(ラップと同じくらいの薄さ)です。
そのため、角質層の表面は皮脂と呼ばれる油分に覆われています(皮脂膜)。皮脂は皮脂腺から分泌され、薄く角質層をカバーすることで肌を刺激から守ります。
皮膚が乾燥する理由
本来は、角質層と皮脂が肌を守ってくれているのですが、何らかの原因で角質層が弱くなってしまったり皮脂の分泌が不足したりすると、乾燥の原因となります。
角質層・皮脂のはたらきが弱まる原因には、以下のようなものがあります。
- 加齢
- エアコンなどによる室内の乾燥
- 洗いすぎ(石鹸類の使いすぎ)
- 寝不足
- 喫煙
- 不規則な生活
なぜ、かかとは乾燥する?3つの理由
外からの刺激が多い
足はほぼ一日中何かと接触しています。また歩いているときなどは、靴・靴下との摩擦が起きます。足の皮膚はもともと、たくさんのダメージを溜め込みやすい環境にあるといえます。
保湿などを怠りがち
さらに、足は保湿などのケアを怠りがちな部位でもあります。入浴後もクリームなどを塗ってしまうと動きにくくなるため、ついついケアを後回しにしてしまったり、ケアを忘れてしまったりすることがあるのではないでしょうか。
足の裏には皮脂腺がない!?
かかとを含め、足の裏には皮脂腺がありません。そのため、角質層を守る皮脂膜がもともとないのです。
さらに、乾燥が悪化する理由とは?

さらに、いちど乾燥したかかとがなかなか治らない、あるいは悪化してしまう理由はなぜでしょうか?
これには、ターンオーバーが遅いことが原因としてあげられます。かかとの角質層が、顔などの他の部位に比べて分厚くつくられているためです。
外部から刺激を受けて角質が乱れると、肌は新しい角質細胞を作ろうとします。しかし肌へのダメージが大きいと、もともとターンオーバーの遅い場所にもかかわらず、無理な速さでターンオーバーをしようとしてしまいます。
急いで作られる細胞は形がいびつになり、不完全な角質が作られてしまいます。こうして肌を守る機能の低い角質によりダメージが蓄積し、さらに乾燥を悪化させてしまうのです。
かかとケアのポイント
かかとのケアのため、次のような工夫ができます。
1.やっぱり保湿をする!
やはり、保湿ケアが基本です。入浴後は肌の水分が蒸発することで乾燥しやすくなるため、なるべく早めに保湿クリームを塗るようにしましょう。
ガサガサが強い場合は、入浴や足浴でかかとの角質がやわらかくなったときに、余分な角質をかかとやすりで除去してもいいでしょう。ただし、角質ケアをした後は保湿を忘れないこと、かかとやすりの使用は多くても週に1回程度でやりすぎないようにしましょう。
2.靴下を履く
保湿クリームを塗った後、靴下を履くとさらに保湿の効果を高めることができます。また、靴下を履いていることで、皮膚への刺激を避けることも可能です。特に綿素材のものは保湿性が高く、かかとケアに適しています。
3.かかとへの負担を減らす
靴下の項目でも述べましたが、かかとの皮膚への刺激を減らすことも有効です。足に合わない靴を避けるほか、姿勢を見直すことも大切です。重心が後ろ寄りになっている場合かかとにかかる負担が大きくなります。長く履いている靴を見てかかとの磨り減り方が大きい場合、重心がうしろ寄りになっている可能性があるので、確認してみましょう。
じつはそのガサガサ、水虫かも…
しっかりケアをしているはずなのに、いつまでもかかとのガサガサが治らないときは、水虫の可能性もあります。
水虫はかゆみの症状のイメージが強いですが、かゆみがない場合もあります。かゆみがなかったとしても、足の裏・かかとの乾燥やひび割れ、皮が剥けているといった症状がある場合には、注意しましょう。
水虫の場合、塗り薬や飲み薬により治療します。市販の薬でも治療が可能ですが、まずは正しく診断してもらうことが重要なので、皮膚科への受診をおすすめします。
まとめ
なかなか治らないイメージがある「かかとの乾燥」。セルフケアはもちろんですが、ひび割れなどのひどい症状がでている場合には、皮膚科の受診を検討してもいいかもしれません。
また、水虫の場合にも、乾燥肌と似たような症状がでる場合があります。まずは正しく診断してもらうことが、回復への近道です。