足の悩みを抱えている人は少なくありません。中でも水虫は、治療に時間がかかるため足の不快感が長く、やっかいな病気といえるでしょう。
水虫の原因である白癬菌(はくせんきん)を退治するためにはどんな治療薬があるのでしょうか。今回は薬の成分と、正しい使い方について説明します。

目次

その症状、本当に水虫ですか?

水虫の治療薬を使う前に、まずは足の症状が本当に水虫なのか確かめましょう

水虫と似た皮膚の疾患は沢山あります。水虫以外の症状に水虫の治療薬を使っても効果はありません。

水虫と間違えやすい病気

  • かぶれ:何らかの物質に触れたことが原因で、皮膚が赤くなり、かゆくなります。小さな水ぶくれができてただれることもあります。
  • あせも:汗をかくことによって湿疹ができます。皮膚に小さな水泡ができたり、皮がむけたりしてかゆくなります。
  • 水虫以外の感染症:白癬菌以外が原因となる感染症でも、かゆみや水疱が出ることがあります。特に皮膚カンジダ症では、指の間が白くふやけるなど、水虫とよく似た症状が出ることがあります。

薬局で買える水虫の治療薬、どう選べばいいの?

水虫に有効なスイッチOTCは、様々な種類が発売されています(スイッチOTC薬とは、医師による処方せんがなくても薬局やドラッグストアなどで購入でき、医療用と同じ成分が入っている一般用医薬品のことです)。

水虫のスイッチOTC薬は、外用薬のみ販売されています。

1.まずは医療機関を受診

水虫の治療は、合わない薬を使うと症状の悪化を招く恐れもあります。また、前述の通り水虫に似た皮膚病には様々なものがあるので、予め専門医に診察してもらったり、検査を受けたりしておくようにしましょう。

2.剤形を選ぼう

水虫のタイプによって、薬の剤形(かたち)を使い分けます。

  • クリーム剤:最も一般的なタイプで、様々な水虫に有効です。
  • 軟膏:ジクジクしている水虫や、ひび割れている水虫に使うと良いでしょう。
  • 液剤:指の間の、乾燥してカサカサしている水虫などに使えます。刺激が強いため、ただれている時やジクジクしている時には別の剤形を使うと良いでしょう。
  • スプレー剤:足の裏など、症状が広範囲に渉場合におすすめです。ジクジクしていたり、ひび割れていたりする場合には他の剤形が良いでしょう。

3.成分を確認しよう

市販の水虫薬には、水虫の原因となっている白癬菌を殺す成分(抗白癬菌成分)やただれた患部のかゆみ止め成分局所麻酔成分などが配合されています。

抗白癬菌成分

水虫の原因となる白癬菌を殺す作用があります。

  • イミダゾール系:クロトリマゾール、硝酸ミコナゾール、硝酸エコナゾール、硝酸オキシコナゾール、塩酸ネチコナゾール、チオコナゾールなど
  • ベンジルアミン系:塩酸ブテナフィンなど
  • モルホリン系:塩酸アモロルフィリンなど

かゆみ止め成分

水虫が起こすかゆみの症状を抑える目的で配合されます。

  • クロタミトン
  • 抗ヒスタミン薬
    など

局所麻酔成分

知覚神経に作用して、水虫によるかゆみや痛みやわらげます。

  • 塩酸リドカイン
  • 塩酸ジブカイン
    など

効果的な薬の塗り方は?

足型

薬は、選んで購入しただけでは意味がありません。正しく使うことが、治癒への近道となります。

ここからは、市販の水虫治療薬の正しい使用法を解説します。なお、ここで解説するのはあくまで一般論ですので、詳細な使用方法については必ず添付文書(薬の説明書)を確認してください。

1.指示通りの期間使う

水虫の治療薬をしばらく使うと、見た目上は症状がよくなります。しかしその後も皮膚の奥の方に真菌が残っているおそれがあるため、指示された期間は薬の使用をやめないでください。

2.お風呂上がりに塗る

水虫の治療薬を塗るタイミングは、入浴後がベストです。足の皮膚は厚いため、通常は薬が浸透しづらいのですが、入浴後は角質が湿ってやわらかくなるため薬が浸透しやすくなります。

足を綺麗に洗い、タオルでしっかり拭いてから薬を塗りましょう。

3.広い範囲に塗る

薬を塗るときは、水虫の症状がある部分だけでなく、足の裏の広い範囲に薄く薬を塗って白癬菌を全て退治しましょう。

4.患部の外側から塗る

水虫の症状がある部分の外側から中心に向けて薬を塗りましょう。患部の中心から薬を塗ると、水虫が広がる恐れがあります。

医療機関ではどんな治療を行う?

塗り薬による治療

白癬菌に有効な抗真菌薬を用いて治療します。イミダゾール系と呼ばれる薬が現在は主流です。この薬は、白癬菌以外にも様々な真菌に有効です。

このほか、下記のような薬を使用します。

  • 塩酸ブテナフィン
  • ラノコナゾール
  • 塩酸ネチコナゾール
  • 塩酸アモロフィン
  • テルビナフィン
    など

薬によって用法・用量が異なるため、医師の指示に従って薬を塗り続けるようにしましょう。

飲み薬による治療

外用薬は爪の中の白癬菌まで届きにくいため、爪水虫には主に内服薬を用いた治療を行います(爪水虫に有効な外用薬で治療を行う場合もあります)。

飲み薬で服用した抗真菌薬は消化管から吸収され、血液を通って足の皮膚や爪に届きます。

保険適用の飲み薬もあります。

  • グリセオフルビン
  • イトラコナゾール
  • テルビナフィン
    などの薬が用いられます。

爪水虫の薬物療法には、下記2種類の服用方法があります。

  • 毎日、1日1回服用する
  • 「1週間毎日薬を飲んだ後、3週間飲まない」というサイクルを繰り返す(パルス療法

まとめ

水虫は白癬菌が原因で発症するので、白癬菌を殺す抗真菌剤が治療の中心となってきます。

医師から処方される薬も薬局などで購入できる薬も外用剤については同じ成分と量が配合されているので、取り扱いには十分に注意し、使用の方法や期間をしっかり守るようにしてください。

また、水虫は完治の判断が難しく、悪化すると細菌感染の恐れもあるので自己判断をせずに医師の診断を受けることも大切です。