薬局でよく見かける、水虫のこわ~い写真の載ったポスター。水虫の方もそうでない方も、あれを見るとなんとなく嫌な気分になりますよね。水虫には、「足の裏や足の指の間の皮がぼろぼろになる」「足がかゆくなる」といったイメージがありますが、実はその他にも気をつけないといけないタイプの水虫があるのはご存知ですか?

目次

ところで水虫って何でできるの?

そもそも水虫は、「白癬菌(はくせんきん)」というカビの一種が足の皮膚に住み着いて起こす病気です。

この白癬菌は、人間の皮膚や爪、髪の毛などをつくっているケラチンというタンパク質が好物。ですので、足以外にも、さまざまな所に住み病気を引き起こします。例えば、頭皮に白癬菌がいてかゆみなどを引き起こす「しらくも」、股であれば「いんきんたむし」などです。

白癬菌はほかのカビと同様、高温多湿な環境が大好きで、一般に温度が20~40度、湿度が60%以上の環境を好みます。肉眼で見ることはできませんが、顕微鏡で100倍ぐらいにするとよく見えます。

ときには重い感染症を招く水虫。甘く見てはダメ

クッションを抱えた男性

「水虫は見た目だけの問題だから」「ちょっとかゆいだけだし」などと軽く考えてはいけません。水虫が原因でできた足指の間の亀裂から細菌が侵入し、化膿してしまう蜂窩織炎(ほうかしきえん)と呼ばれる重大な細菌感染症などを起こすことがあります。

また、家族間での感染も気をつけたいもの。足ふきマットなどからの感染が多く、家族のためにも水虫対策をきちんと考えましょう。特に小さい子どもがいる家庭では注意が必要です。子どもの水虫にはなかなか気づきにくく、症状が進んでから見つかるケースも多いようです。

日本人の10%がかかっている「爪水虫」とは?

裸足の女性

「爪水虫」は、この白癬菌が爪に侵入し引き起こします。2008年の調査では、日本人の25%が水虫に、また日本人の10%が爪水虫にかかっているというデータもあります(日本臨床皮膚科医会の調査より)。そう聞くと、他人事とは思えませんね。ではその特徴を見ていきましょう。

1.かゆくない

水虫というとかゆいイメージがありますが、爪水虫(爪白癬)はかゆくなることはありません。

2.爪の変色

爪の症状はケースによって様々です。一概にはいえませんが、一番多いのは爪が白や黄色に濁ったような色になることです。また、爪の厚さが厚くもろくなり、その爪の下がボロボロになるのも爪水虫と判断する特徴になります。縦方向に筋状に黄白色に色が変わることもあります。

3.市販の薬では治らない

爪水虫になると、一番効果的なのは飲み薬です。なぜなら爪は硬く、白癬菌はその奥深くに住み着いているからです。塗り薬ではなかなか有効成分が届きにくいのです。

水虫の飲み薬は、皮膚科で処方してもらい手に入れます。爪が生え変わりながら改善をめざしていきますので、3カ月から半年程度、薬を飲み続ける必要があります

爪水虫の飲み薬は肝機能が悪かったり、併用してはいけない飲み薬があったりと制約もあります。近年では爪に浸透しやすい爪水虫専用の塗り薬も開発されていますが、市販ではなく、こちらも皮膚科で処方してもらう薬です。

飲み薬も塗り薬もいずれにせよ、皮膚科での検査が必要です。

皮膚科を受診して検査をすることは「本当に爪水虫なのか?」「どういった治療がベストなのか?」がわかり完治への近道です。なかには、水虫ではないのに市販の水虫薬を塗り、症状がわかりづらくなってしまったためにかえって治療が長引くケースもあります。また、爪水虫を長く放置しておくと変形した爪が元通りにまで戻らないこともあります。少しでも「爪水虫かな?」と思ったら、迷わずに早めに皮膚科に行くことをおすすめします。

まとめ

爪水虫はかゆくないだけに、何となく違和感があってもほっとがれがち…。重症化してしまったり家族にうつしてしまったりするデメリットを考えれば、皮膚科に行ってしっかりみてもらうのがベストですね。早めの治療が肝心です。