誕生したばかりの赤ちゃんは、免疫機能をほとんど持ち合わせていません。したがって、免疫機能をつけるために様々な予防接種を受けることになります。そのなかでも、麻疹や風疹、水痘などは比較的感染力の強い感染症であり、ワクチン接種が有効です。ここでは、そのなかでも水痘ワクチンについて解説します。

目次

水痘ってどんな病気?

水痘という病名に馴染みがない方も多いかもしれません。水痘は、一般的に水ぼうそうと呼ばれています。こちらの名前でしたら、ご存じの方が多いことでしょう。

水痘は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされます。感染すると2週間程度(10~21日)の潜伏期間を経て、38度前後の発熱全身に広がる発疹などの症状が生じます。発疹は数日にわたって出現し、次第に消失してかさぶた(痂皮)になります。ここまでおよそ一週間の時間がかかり、全ての発疹がかさぶたになったことを確認できるまでは、保育園や小学校は出席停止となってしまいます

このように一度発症してしまうと、水痘は学校(保育園)生活に深刻な影響を与えてしまいます。小さいお子さんを持つご家庭の場合は、ぜひとも感染を防ぎたい病気の一つでしょう。

水痘ワクチンは必要?

このような水痘ですが、感染力も極めて強いのが特徴です。最も特徴的なのが、水痘・帯状疱疹ウイルスは空気感染するという点です。

空気感染を示す感染症はとても感染力が強いため、一度発症すると注意深い管理が必要となってしまいます。実際、家庭内に水痘の感染者がいると、ワクチンを接種していない家族におよそ90%の確率で伝染してしまうというデータもあります(国立感染症研究所より)。

また、水痘・帯状疱疹ウイルスという名前のとおり、帯状疱疹も同じウイルスによって引き起こされます。水痘ワクチンを接種していない場合、帯状疱疹の患者さんに近付くことでも水痘を発症する可能性があります

このように、感染者と接触することで非常に高い確率で感染してしまう水痘だからこそ、ワクチン接種が有効なのです。

水痘ワクチンってどんなワクチン?

水痘ワクチンは毒性を弱めた水痘ウイルスを含む弱毒生ワクチンによって構成されています。現在は、国内で生産されたものが広く流通しています。

なお、他のワクチンにも共通していえることですが、かつてゼラチンアレルギーがある方は予防接種の際にアレルギー反応に注意が必要とされてきました。これは、ワクチンの構成成分にゼラチンが含まれていることによるものでした。しかし現在は、ゼラチン成分の除去などによって、アレルギー反応を起こすケースはかなり少なくなりました。

ただし、ゼラチンをはじめ、何らかの物質にアレルギーを持つ方は必ず接種前にその旨を医師に伝えるようにしましょう。

水痘ワクチンの定期接種期間

水痘ワクチンは現在、定期接種で受けることができるようになりました。定期接種ですと、決められた年齢で接種することができれば金銭的負担が少なく済みます

定期接種の期間は1歳~2歳までの間で、標準的には

  • 生後 12~15か月の間に1回
  • 1回目から6~12か月あけてもう1回

と、2回受けます。

スケジュールについては他のワクチンとあわせて、かかりつけの病院で相談しておきましょう。

水痘ワクチン接種で気をつけること。副反応は?

水痘ワクチンについて気を付けておくべきこととして、「ワクチンを接種したとしても10~20%の確率で水痘にかかってしまうことがある」ということです。ワクチン接種後にきちんと免疫がついていることを確認されていても、発症するケースがしばしば見られます。ただし、ワクチン接種者は発症したとしても、軽症で済むことが多いです。

また、副反応ですが、重い反応ことが起こることは稀であるとされています。接種部位が赤く腫れることがありますが自然に消滅していきます。また、稀に接種部位周辺に水痘の時に現れるような発疹が出ることもありますが、それも基本的には自然に消えていきます。

まとめ

このように、水痘ワクチンは水痘への感染率を低下させ、発症時の症状を軽減する効果を持っています。平成26年より、水痘ワクチンは定期接種の一つになりましたので、決められた期間であれば行政の補助により、お金の負担は少なくなりました。感染予防や流行防止のためにも接種すると良いでしょう。