「無添加」と聞くと、自然にやさしくて体に良さそうと感じることから、少し値段が高くても商品を手にとりたくなってしまいます。ところが、この「無添加」という言葉があいまいで、よく分からないのになんとなくで選んでいることも少なくないように思います。そこで今日は「無添加」について説明します。

目次

無添加って何?

「無添加」とは読んで字のごとく「添加していないこと」ですが、いったい、何を添加していないことを「無添加」というのか気になったことがある人も少なくないと思います。
実は「無添加」には詳細な定義がありません。そのため、メーカー各社の良心に従って記載されることが一般的です。

例えば、みそを例にとると、みそを作る際の最小限の材料は「大豆」「麹(米、麦、大豆に麹菌を繁殖させたもの)」「塩」の3つです。この3つさえあればみそを作ることはできますし、腐敗することも考えにくいです。
ただし、みその場合、醗酵途中で空気に触れている表面に酵母やカビが発生することがあります。これらの酵母やカビは人体への影響はないのですが、素人目には病原性の酵母やカビと見分けがつきません。見た目も大きく損なわれてしまいます。また、最悪のケースではこれらの酵母やカビが製品のみそに混入した場合は、「異物混入」として商品回収の対象になりかねません。

そのため、みそが腐敗することはまず稀ではありますが、商品を粗悪に見せてしまう可能性がある酵母やカビの発生を抑える目的で保存料やアルコールを添加することがあります。この保存料やアルコールなどが添加されていない商品を一般的に「無添加」と称していることが多いようです

無添加なら安全?安心?

「無添加」と書かれていると、上記のような食品添加物を一切使わずに製造してあると感じてしまいますが、実はそうとは限りません

「保存料無添加」と書かれている商品があったとします。

消費者としては、「わざわざ保存料無添加と書かれているのだから、他の商品は保存料が使ってあるけれど、この商品には使っていないのだな」と解釈しがちです。ところが、もともと保存料を添加しなくても保存性の高い商品に「保存料無添加」と記されていることもあります。また、「保存料無添加」と書かれていたとしても、保存料以外の添加物は使用している可能があります。もともと製造工程で保存料を添加する必要がないにも関わらず、「保存料無添加」と記されているなんて、詐欺なのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、現在の表示方法には「無添加」についてのルールがなく、メーカーの良心に任されているところも大きいです

「無添加」「保存料無添加」だけでなく「化学調味料無添加」「着色料無添加」……、といった「○○無添加」とパッケージに記されていても同様です。

添加物は悪なのか?

豆腐

実際問題として、添加物は悪なのか? という疑問が沸いてくると思います。実は日本人は昔から添加物を食品に利用して生活してきました

たとえば、豆腐を作る際の「にがり」。豆腐は大豆をすりつぶして得た豆乳をにがりで固めて作ります。この「にがり」もれっきとした食品添加物の一種です。「にがり」を使いたくないなら他のもので固めることはできますが、代用となる「すまし粉」「塩化カルシウム」「グルコノデルタラクトン」なども食品添加物の仲間です。豆腐は「ヘルシーだ」と喜ばれることの多い食品ですが、食品添加物を使わなければ作ることができません。

このように食品添加物なしでは作れない食品も存在します

消費者としては、使っても使わなくても製品の大勢に影響のない添加物については極力控えた商品を選びたいところではありますが、上記のように、すべての食品添加物が悪いとは言い切れません。各企業がこの微妙な部分を突いているのが「無添加」という言葉の真相だと思います。

食品を選ぶ際、本当にその商品に書かれている「無添加」は有意義なのかどうなのか、よく考えながら商品を選べるようになりたいものですね。