亜鉛は成長発達に関わる重要なミネラルです。また、正常な味覚の形成にも必要とされています。

あまり馴染みのない栄養素のように感じるかもしれませんが、体の中の多くの酵素反応に関わり、ホルモンや神経機能、免疫機能を正常に維持するための重要な役割を担っています。

それでは実際に亜鉛が体の中でどのような働きをしているのか詳しく解説し、摂取基準値や多く含まれる食品などについてまとめていきます。

目次

亜鉛の働きは?

体内にある亜鉛の量は2.3gで、95%以上は細胞内に存在しています。さまざまな酵素の成分となり、その数は100種類を超えるようです。

亜鉛の主な働きには次のようなものが挙げられます。

  • 酵素成分…体の中のさまざまな反応に関わる
  • 免疫機能…侵入してきた細菌やウイルスから身体を守る
  • DNA・RNA合成…細胞全ての中にある遺伝物質を合成する
  • 創傷治癒…皮膚や粘膜の健康を維持する
  • 抗酸化作用…活性酸素除去に働くSOD酵素の補酵素となる
  • 味覚の形成…舌の表面にある「味蕾(みらい)」の味を感じる細胞を作る

亜鉛は微量ミネラルで、他のミネラルに比べると体内にある量は多くはありません。しかし、さまざまな重要な役割を担っており、健康な体を維持するためには欠かせない栄養素です。

亜鉛の欠乏症と過剰症について

体の中には亜鉛を貯蔵することはできないため、毎日適正な量を摂り続けていく必要があります。

欠乏症

亜鉛が不足すると、発育が遅れる、食欲不振、免疫機能への影響などがみられます。重症になると脱毛や下痢、性機能への影響、味覚障害や無気力症状などが見られる場合もあります。

菜食主義者、消化器疾患がある人、妊婦や授乳婦、アルコール依存症の人などは特に亜鉛不足のリスクが高いことがわかっています。

過剰症

大量に亜鉛を摂取すると、悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、頭痛などの急性症状が見られる場合があります。慢性的な症状としては、免疫機能への影響、銅の減少、HDLコレステロールの低下などが挙げられます。

亜鉛を多く含む食品を摂取する時や、サプリメントを服用している時には注意しましょう。

亜鉛を多く含む食品と摂取基準

亜鉛が多く含まれる食品

食品 1食あたりの量 亜鉛の含有量
豚レバー 80g 5.5mg
和牛肩肉 90g(角切り3個) 5.1mg
カキ 40g(2個) 5.3mg
カラスミ 25g(1/4個) 2.3mg
糸引き納豆 50g(1パック) 1.0mg

出典:「改訂新版 栄養の教科書」を元にいしゃまち編集部が作成

カキやレバーは特にオススメの食品です。上記の他にも、豆類やナッツ類からも摂ることができます。なるべくサプリメントではなく自然の食品から補給していけるのが理想ですね。

亜鉛の摂取基準

単位mg ( )内は耐容上限量

男性 女性
1~2(歳) 3 3
3~5(歳) 4 4
6~7(歳) 5 5
8~9(歳) 6 5
10~11(歳) 7 7
12~14(歳) 9 8
15~17(歳) 10 8
18~29(歳) 10(40) 8(35)
30~49(歳) 10(45) 8(35)
50~69(歳) 10(45) 8(35)
70歳以上 9(40) 7(35)

出典:日本人の食事摂取基準 (2015年版)を元にいしゃまち編集部が作成

まとめ

亜鉛は体に必要な量は僅かですが、さまざまな部分で重要な働きをしており、生命を維持するためには欠かせない栄養素です。特に成長期や病気の治療中は亜鉛の需要が高まるとされています。普段の食事から、不足しないように意識してとり入れていきましょう。