マンガンは微量ミネラルに分類され、体内では多くの酵素の構成成分となっています。
普通の食生活を送っていれば不足することはあまりないとされていますが、多く含まれる食品や働きなどをチェックしてみましょう。
マンガンの働きは?
マンガンは食品だけではなく、岩石や土壌、海水などに広く分布しており、食事から摂るだけではなく、経皮的に摂取される場合もあります。
食事からマンガンを摂取すると、胃酸によって溶けて腸管細胞で吸収されます。吸収された後は肝臓に運ばれ、胆汁や膵液に含まれて、ほとんどが便として排出されてしまいます。
酵素の成分となる
マンガンはアルギニン分解酵素、乳酸脱炭酸酵素の構成成分となり、体の中で起こるさまざまな反応に関与しています。
酵素の補酵素となる
また、酵素の働きを活性化させる補酵素としての役割もあります。糖質や脂質の代謝、たんぱく質やDNAの合成に関与している酵素の補酵素となり、成長や生殖機能に関与しています。
骨の発育を促進する
マンガンは成人の体内では約12mg存在していますが、その多くは骨に多く含まれています。骨の発育を促進する他、結合組織や内耳の発育もサポートします。
抗酸化作用を持つ
スーパーオキシドジスムターゼの成分となり、抗酸化物質として働きます。
マンガンの欠乏症と過剰症について
欠乏症
普通の食生活をしていれば不足することはほとんどありません。
そのため研究も不十分ではっきりと症状が解明されてはいませんが、骨格異常、糖質・脂質の代謝異常、生殖機能の低下、運動失調などが起こると考えられています。
過剰症
食事からマンガンを摂りすぎることはあまりないのですが、マンガンは経皮的にも摂取されてしまうため、気道から吸収されて中毒症状を起こすことがあります。
症状としては強い精神障害、パーキンソン病様の中枢神経障害、マンガン肺炎があります。
マンガンは他のミネラルとのバランスで吸収率が変化します。カルシウムと鉄との併用ではマンガンの吸収が低下し、亜鉛との併用ではマンガンの吸収が増加すると考えられています。
マンガンを多く含む食品と摂取基準
マンガンが多く含まれる食品
食品 | 1食あたりの量 | 亜鉛の含有量 |
アマランサス | 40g | 2.46mg |
イタヤ貝 | 70g | 3.43mg |
干しずいき | 10g | 2.50mg |
栗(生) | 50g(小3個) | 1.64mg |
出典:「改訂新版 栄養の教科書」を元にいしゃまち編集部が作成
マンガンは動物性食品よりも植物性の食品に多く含まれています。植物性の食品を幅広くバランスよく食べることを心がけましょう。
マンガンの摂取基準
単位mg ( )内は耐容上限量
男性 | 女性 | |
1~2(歳) | 1.5 | 1.5 |
3~5(歳) | 1.5 | 1.5 |
6~7(歳) | 2.0 | 2.0 |
8~9(歳) | 2.5 | 2.5 |
10~11(歳) | 3.0 | 3.0 |
12~14(歳) | 4.0 | 4.0 |
15~17(歳) | 4.5 | 3.5 |
18~29(歳) | 4.0(11) | 3.5(11) |
30~49(歳) | 4.0(11) | 3.5(11) |
50~69(歳) | 4.0(11) | 3.5(11) |
70歳以上 | 4.0(11) | 3.5(11) |
出典:日本人の食事摂取基準 (2015年版)を元にいしゃまち編集部が作成
まとめ
マンガンは骨や関節を強くしたり、糖尿病を予防したりする効果のある微量ミネラルです。食品からの摂取で過剰症は起こりにくいとされていますが、マンガンに暴露されやすい仕事をしている人は、経皮摂取に気を付ける必要があります。