空気を飲んでしまうことはありませんか?緊張したり、不安にかられたりするとき、唾液をごくりと飲むことは誰しもあることですよね。

しかし、それが癖になる状態を呑気症とよびます。一緒に飲み込む空気の量が多すぎると、体調を崩してしまうのです。呑気症の原因や症状、改善方法について説明します。

目次

呑気症とは

空気嚥下症噛みしめ呑気症候群ともよばれます。本人の意思とは関係なく空気を飲み込んでしまうため、胃や腸が空気でいっぱいになる病気です。

20~30代の若い女性に多くみられる病気ですが、発症し始めは10代が多く、約40%の人は一般内科や消化器科で「異常なし」と診断されています日歯心身 第22巻2号2007年 73-83より)。

呑気症の原因は「噛みしめ」

上下の歯は通常、離れていますが、上下の歯または舌と上あごがくっつくと喉の奥に空気と唾液が溜まります。喉の奥に唾液が貯まると嚥下反射がおこります(反射:本人の意思とは無関係に体が動く動作)。唾液を飲み込むときに空気も一緒に飲み込んでしまい、胃に空気が溜まっていくのです

上下の歯がくっついている噛みしめは、正常な人も食事の際などに行うものです。しかし、日常生活で無意識かつ慢性的に噛みしめを行ってしまうと、呑気症が起こってしまいます。

噛みしめを起こす原因としては習慣、ストレス、うつむき加減の姿勢、パソコン作業の姿勢などが挙げられます。

げっぷやおならなどの他、頭痛や肩こりなどの症状も

呑気症では、胃の中が空気で膨らむので胃の不快感お腹の上の方の痛みがあります。

胃の空気が食道を通って口から出ると「げっぷ」、逆に小腸や大腸を通ってお尻から出ると「おなら」になり、それらの回数が増えます。

噛みしめを繰り返していると口の筋肉が常に緊張している状態になり、あご、こめかみに痛みが生じます。またさらに進行すると肩や首が凝ったり痛みがはしったり、頭痛や腕のしびれもおこります。

ストレスが原因で呑気症になる人は過敏性腸症候群(IBS:消化管粘膜に異常がないのに機能が低下し、便秘や下痢の症状があらわれる疾患)を併発しやすい傾向があります。

また、重度の呑気症が原因で腸捻転(腸がねじれて腸が詰まったり血行不良になったりする病気)を発症したケースもあります(日本小児外科学会誌第46巻6号899より)。

改善方法

リラックス

1.噛みしめの改善

現在の呑気症の主な治療法は「スプリント療法」とよばれる薄いマウスピースの装着です。装着することで噛み合わせがかわり、あごの緊張がとれます。

また「歯を離す」と書いたメモを良く目にするところに貼るだけでも効果があります。意識的に上下の歯を離すと唾液と空気を飲み込む回数が減り、胃に入る空気も減ります。

2.ストレスの軽減

日常生活にストレスはつきものです。しかしストレスを軽減する術をもっているか否かでストレスの蓄積度は異なってきます。散歩、映画鑑賞、読書、睡眠など試してみましょう。

中でも睡眠時間は重要で、夜12時前には就寝し6~7時間の睡眠時間を得るのが適当といわれています。

そしてさらに「自分のためだけの時間」を確保するようにしましょう。気分転換になります。

3.食事の見直し

ビールや炭酸飲料は胃や腸で空気を増やしますので避けた方が良いでしょう。早食いは食べ物と一緒に空気を飲み込む量が増えますので、ゆっくりと食べるようにしましょう。

イモ類、マメ類、根菜は腸内ガスを増やします。呑気症ではないけれどお腹が貼るという人もこれらの摂取を減らしてみましょう。

4.薬物療法

ストレスを感じて自分では解消できない人には抗不安薬、睡眠がとれない人には睡眠薬、胃の膨満感が強い人には消化管運動機能改善薬が処方されることがあります。

また呑気症が原因で過敏性大腸症候群など他の病気になっている人はそれらの治療薬が処方されます。

まとめ

胃の不快感、食欲低下など明らかに体の不調があるにもかかわらず、どこの病院にいっても「異常なし」と診断されると、別の病院を受診せざるをえなくなります。

ドクターショッピングは当人にとって時間、金銭的、体力的にも辛いものです。記事を読んで呑気症の疑いのある方は心療内科を受診しましょう。