お腹が張ってしまって苦しい!その原因は、腸内ガスの過剰か排泄低下です。原因によっては病院に行った方が良いこともありますが、日ごろからできる解消法もあります。今回はお腹が張った時の解消法について、医師・高山 哲朗先生による監修記事でまとめていきます。

目次

お腹が張っている原因は?

お腹が張っている原因は、食事中に空気を過剰に飲み込んでしまうことによる呑気症や、各種の病気による胃腸の動きの低下などがあります。

大きく腸内ガス過剰型腸内ガス排出低下型と分けることができます。

それぞれによってできる解消法が違うので、まずはどのような原因があるかみていきましょう。

1.腸内ガス過剰型

食事中に話しすぎたり、早食いをしている場合は過剰に空気を飲み込みすぎている可能性があります。

また、緊張などの自律神経のバランスの乱れで必要以上に空気を飲み込んでしまう人もいます。

便秘は腸内に異常なガスの産生を招きます。

食事に関しては炭酸飲料の飲みすぎ、糖質の摂りすぎ、イモ類などのでんぷん質の食品を食べすぎていると腸内ガスの産生が過剰になることがあります。これらの原因で、腸内ガス過剰型のお腹の張りを起こす可能性があります。

2.腸内ガス排泄低下型

暴飲暴食、胃腸に何らかの炎症や血流障害がある場合や、過剰な緊張によって胃腸の動きが悪くなる場合に腸内ガスの排泄低下が起こります。

胃腸の動きを悪くするような病気は、この腸内ガス排泄低下に関わっていることがほとんどです。

 

お腹が張る原因について、さらに詳しくは「お腹がぽっこり張っている…原因は一体何?」をご覧ください。

腸内ガス過剰型でお腹が張っている場合の解消法

女性の立ち姿

1.呑気症を防ぐ

ものを食べるときに一緒に空気を飲み込んでしまうことでお腹が張ったり、不快な症状が起こることを呑気症といいます。炭酸飲料を飲み過ぎたり、流しこむような食べ方をすることが原因となります。

食事をする時は、面倒でも何度もしっかり噛んで食べるようにしましょう。また、緊張・ストレスが呑気症の原因となることもあるので、できるだけストレスの少ない生活を送るようにしましょう。

2.生活習慣を改善する

乱れた生活は、消化管内のガスの産生量と排泄量のバランスを崩してしまう原因となります。食べ過ぎや飲み過ぎに気をつける、食後は安静にするなど、ちょっとした心がけでお腹の張りも改善することがあるのです。

また、お腹の張りを感じるときは、食物繊維の多い食品(豆類・イモ類など)や肉類は極力控えるようにしましょう。人によって効果は異なりますが、ヨーグルトや乳酸菌飲料などが有効な人もいます

このほか、体を締め付けるようなベルト・下着の着用は控えてください。

3.薬物療法

消化管の運動を良くする薬や、消化酵素薬などが有効なことがあります。

また過度な緊張による呑気症が疑われる場合には、抗不安薬の内服も一時的には試してみる価値があります。ただ薬に頼りすぎるのは良くありません。できれば生活習慣や食習慣の改善を心がけましょう。

腸内ガス排泄低下型でお腹が張っている時の解消法

1.急性胃炎、慢性胃炎

急性胃炎は、暴飲暴食、ストレス、ウイルス感染、ピロリ菌感染、食中毒、アレルギーなどが原因です。病院に行くとまず、制酸剤、胃の粘膜保護薬、胃の蠕動運動改善薬が処方されることが多いです。しばらく、食事は消化の良いものを摂り安静にしましょう。

慢性胃炎の8割はヘリコバクターピロリ菌感染によりますが、それ以外では解熱鎮痛剤や慢性的なストレスによる胃の粘膜の障害も原因になります。ヘリコバクターピロリ感染症に対する抗生剤による除菌治療は保険診療になり、胃がん予防としても注目されています。頭痛や生理痛に対して市販の解熱鎮痛薬を多用している人は、慢性的に飲みすぎないように注意してください。

2.胃下垂胃腸虚弱(機能性胃腸症)

胃下垂・胃腸虚弱は体質ですので、食生活の見直しによって症状を改善させるようにしましょう。暴飲暴食は症状を悪化させます。食事は適量、もしくは少量をこまめに摂るようにしてみてください。

3.過敏性腸症候群(IBS)

ストレスにより下痢と便秘を繰り返す病気です。中学生でも発症する可能性があり、症状が重いと通学や通勤に支障が出ます。

腸内のガスに対する感受性が高まりすぎているためという説もあります。

最近では、過敏性腸症候群に効く良い薬があります。お医者さんに相談してみてください。また、詳しくは「急な下痢や繰り返す便通異常。その悩み過敏性腸症候群(IBS)かもしれません」をご参照ください。

4.腸閉塞

腸閉塞は、がんによる閉塞、開腹手術後の腸管の癒着などによって起こる病気です。腸が詰まってしまい、詰まったところ以降に腸内の食事やガスが運ばれなくなり腹痛、嘔吐をきたします。自然に治ることもありますが、病院に早めに行きましょう。原因を確定すべきですし、病院では管を鼻から腸に入れて腸内のものを排出させることができるので早めに症状の改善が望める可能性があります。

5.大腸がん

最初は無症状で、健診で初めて便潜血を指摘されて気付くことも多いです。進行するとお腹の張り、便秘、下痢を繰り返すことがあります。治療は手術になりますが、早期に見つかり切除できればその後も生存できる可能性が高いがんと言われています。

6.胆嚢炎肝炎膵炎腹膜炎など

胃腸以外の臓器に炎症が起こるため、胃腸もその影響を受けて動きが悪くなりお腹のはりを感じます。

それぞれの疾患によって発熱、腹痛、黄疸などの症状が出るので、そのような場合には早めに病院に行き、点滴、抗生剤、手術などの処置が必要です。入院治療を要することが多いです。

お腹が張った時は何科に行けばいい?

お腹が張る症状が何日も続いたり、下痢や嘔吐などの他の症状が伴う場合は近くの内科か消化器内科(消化器科でも可)に行きましょう。

頑固な便秘の場合も一度相談してみても良いです。

まとめ

自分でできそうなバランスの良い食事、適度な運動などお腹の張りに対しての解消法がありそうですね。

胃腸は、ストレスや生活習慣と直結している臓器と言っても過言ではありません。思い当たる悪い生活習慣があるようであれば、今日から1つずつ改善してみませんか。