お子さんの声が気になったことありませんか? 風邪をひいたり、大きな声を出したりすると声がかれることがありますよね。どうして声がかすれるのでしょうか? そして、声がかすれる病気にはどのようなものがあるのでしょうか。

目次

声を出す仕組みについて

声の異常を理解するためには、声がどのように出ているのかという声が出る仕組みを知る必要があります。

空気は 口から入って、咽頭(いんとう)→喉頭(こうとう)→気管→気管支と流れて肺へ到達します。喉頭にある声帯(せいたい)が震えることで声が出るのです。

声帯は左右1対のヒダです。このヒダは閉じたり開いたりします。普段息をしている時は開いていますが、声を出す時には、ヒダが閉じて、ヒダとヒダの隙間を吐いた息が通ります。この時にヒダを震わせて、声が出ています。

嗄声って何?

声がかすれることを医学的には嗄声(させい)といいます。

声の異常には、声の「大きさ」「高さ」「音質」の異常などがありますが、嗄声はこのうちの「音質」の異常に当てはまります。

嗄声は、その聞こえ方によってガラガラした声(粗糙性/そぞうせい)、かすれた声(気息性/きそくせい)、弱々しい声(無力性)、力んだ声(努力性)に分類されます。

このうち、子供で多いのはガラガラした粗糙性の嗄声です。小児期・学童期に多いこの嗄声を学童嗄声といいます。

嗄声の原因となる病気

マスクをする女の子

多くの方は、風邪をひいたときに声がかすれたことがあるのではないでしょうか。これは咳や鼻水の症状と同じで、ウイルスの感染によるものです。声帯の粘膜が炎症を起こすことで声がかすれます(喉頭炎)。

他にも、クループ症候群といわれる喉頭に炎症の起こる病気も嗄声の原因になります。

子供の場合、生まれつき、声帯を動かすのに働く神経が麻痺していることがあります(声帯麻痺)。声帯麻痺も嗄声の原因になります。また、喉頭や気管・気管支の異物が原因になることもあります。

この他に、大人では喉頭のがんや何らかの病気による声帯麻痺などが嗄声の原因になることが多いですが、このような病気は子供ではほとんど起きません。子供の嗄声(学童嗄声)で最も多い原因は声帯結節です。

「声帯結節」ってどんな病気?

声帯結節は、声の使いすぎや無理な発声が原因で声帯に小さいイボのようなもの(結節)ができる病気です。声帯への刺激が持続することで、声帯の中央部が腫れたり、部分的に厚くなったりした状態で、多くの場合、左右の声帯に対称的にできます。

学校の先生や歌手など声をよく使う職業の方にもよく見られます。子供では、スポーツの時などに大きな声を出したり、合唱などでの無理な発声が声帯結節の原因になります。

男の子で多く、79歳頃がピークといわれています。

日本耳鼻咽喉科学会 学校保健委員会は、学童嗄声を「幼稚園から小学校低学年にかけて多発するもので、無理な発声が習慣となり、声帯に炎症を生じて嗄声を来し、慢性の経過をたどるもの」としています。

まとめ

ここでは、かすれた声(嗄声/させい)について、嗄声の原因について、声帯結節についてまとめました。風邪をひいた時に声がかすれてもあまり気にならないと思いますが、かすれた声が続く時には気になると思います。長引くようであれば、早めに医師に相談することをおすすめします。