風邪をひいた時などの一時的な症状ではなく、お子さんで声のかすれ(嗄声/させい)が長く続く時には声帯結節が原因のことが多いです。その場合には、どのような検査を行い、どのような治療が必要なのでしょうか。手術が必要になることもあるのでしょうか。声帯結節の検査・治療について解説します。
声帯結節って何?
声帯結節とは、声を出しているときに声帯の一部が強く接触することにより、左右の声帯の前方近くに硬いしこり(結節)ができる病気です。
多くの場合は左右の声帯に対称的にできますが、ときに片方のしこりが大きくなることもあります。
子供では、大声で泣いたり叫んだりするほか、合唱による無理な発声などが声帯結節の原因になります。学校の先生や歌手など、声をよく使う職業の方にもよく見られます。
声帯結節で見られる症状
声帯結節では、下記のような症状がみられます。
- 声がかすれる
- 声を出すのに力がいる
- 大きな声が出ない
男の子に多くみられますが、声変わりの年齢になると自然に大声を出さない傾向になり、自然に治ることも多いです。
声帯結節の検査は?
声帯結節を疑った場合には、診断のための検査が必要になります。診断するために最も確実な検査は、喉頭(こうとう)ファイバー検査です。
喉頭ファイバー検査は、鼻から細い内視鏡を挿入し、のどの奥(喉頭)を観察する検査です。
この検査では、のどの奥を内視鏡が通過する時に少し痛みがあったり、吐き気が出たりすることがあります。しかし、その刺激は胃カメラに比べて非常に軽いことから子供でも喉頭ファイバー検査はできることが多いです。
激しく泣いてしまうなど、喉頭ファイバー検査が難しい場合には、全身麻酔をして検査することになりますが、そこまでして検査をすることは滅多にありません。学童期に多い病気なので、その年齢になれば全身麻酔までしなくてもほとんどの子供は検査を受けられます。
喉頭ファイバー検査は基本的に、耳鼻咽喉科で行う検査です。
声帯結節は自然治癒する?
子供の声帯結節は、声変わりの時期になると自然に軽快することが知られています。治療において最も大切なことは声の安静です。大声を出さないように患児に注意を促します。
成人ではステロイド剤が処方されることもありますが、子供の場合はまれです。子供の場合、飲み薬は原則としてステロイド以外のものとなります。
また、言語聴覚士による音声治療(発声訓練)も有効です。これによって、腹式呼吸・腹式発声にし、のど(声帯)の負担を減らします。
手術を行うことは多くありませんが、行う場合は顕微鏡下喉頭微細手術と呼ばれる、できている結節を取り除く手術が一般的です。
まとめ
子供の嗄声の原因で最も多い声帯結節を診断するためには、喉頭ファイバー検査が必要になります。
声帯結節の治療は基本的には経過観察です。ただし、声の安静として、日常生活において注意しなければならないことがいくつかあります。
また、言語聴覚士と行う音声治療(発声訓練)も有効です。生活の上で大きな支障がある場合には、手術による治療が選択されることもありますが、多くはありません。