お子さんが急な咳が出たり、長引いて止まらなくなったりすると心配になりますよね。子供の咳は、発育年齢によって様々な原因が考えられます。咳が出る主な原因を知り、子供の症状を正しく見極めて、当てはまりそうな病気の可能性があれば、近くの小児科専門医を探して受診しましょう。
子供の咳が出る主な原因
咳は、気管に入ったほこり、ウイルスなどの異物を外に出すためにおきる体の防御反応です。このため、咳が出たからといって、安易に咳止めを使うのは、病状を悪化させることもあります。
子供の急性な咳はほとんどの原因は、鼻炎・鼻咽頭炎などのウイルス性上気道感染症(いわゆる風邪症候群)です。その場合、1週間で半数、2週間で90%の症状が回復していきます。
鼻炎鼻咽頭炎以外の咳の原因は?
鼻炎・鼻咽頭炎などの上気道炎以外の原因としては、幅広い年齢層でみられる病気と、発育期によって特徴的な咳があります。発育期によって、新生児期(~出生4週間)、乳児期(1ヶ月~1歳)、幼児期(1~6歳)、学童期(6歳~12歳)、青少年期(男12歳~、女10歳~)に分けて、主な症状と考えられる病気を表にまとめました。
年代 |
症状 |
考えられる原因 |
幅広い 年齢層 |
感冒様症状 (風邪のような症状で 発熱あり) |
ウイルス感染症 (上気道炎) |
鼻水がノドに流れていく | 後鼻漏症候群 | |
咳払い、鼻すすり、鼻汁、 くしゃみ、いびき |
アレルギー性鼻炎 | |
家族の家庭内喫煙 | 受動喫煙 | |
呼気の喘鳴 (呼吸時にぜいぜい、 ひゅうひゅうと鳴る音) |
気管支喘息 | |
呼気性の呼吸困難 | ||
発作性の咳込み (顔を赤くするくらい) |
百日咳 | |
吸気性笛声 (てきせい:息を吸うときに 「ひゅう」となる) |
||
咳き込み後の嘔吐 | ||
新生児 (生後 4週間) ・乳幼児 (1ヶ月 ~1歳) |
感冒様症状 (風邪のような症状で 発熱あり) |
ウイルス感染症 (上気道炎) |
鼻水がのどに流れていく | 後鼻漏症候群 | |
呼気の喘鳴 (息を吐く時の喘鳴) |
急性細気管支炎 (RSウイルス感染症 など ) |
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多呼吸・哺乳低下 | ||
家族の家庭内喫煙 | 受動喫煙 | |
誤嚥 (食べ物を誤って気管に 入れてしまうこと) |
咽喉頭逆流症 | |
胃食道逆流症 | ||
発作性の咳込み (顔を赤くするくらい) |
百日咳 | |
呼気性笛声 (てきせい:息を吸うときに 「ひゅう」となる) |
||
咳き込み後の嘔吐 | ||
犬吠様咳嗽 (けんばいようがいそう :犬の吠える声に似た 乾いた咳) |
先天性の気道異常 (喉頭軟化症など ) |
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吸気性喘鳴 (息を吸う時の喘鳴) |
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(乳児)喘鳴の反復 | 気管支喘息 | |
アレルギー素因 | ||
発熱、家族内発症 | 結核 | |
幼児期 (1~6歳) |
感冒様症状 (風邪のような症状で 発熱あり) |
ウイルス感染症 (上気道炎) |
鼻水がのどに流れていく | 後鼻漏症候群 | |
運動時の喘鳴 (呼吸時にぜいぜい、 ひゅうひゅうと鳴る音) |
気管支喘息 | |
呼気性の呼吸困難 | ||
咳払い、鼻すすり、 鼻汁、くしゃみ |
アレルギー性鼻炎 | |
家族の家庭内喫煙 | 受動喫煙 | |
犬吠様咳嗽 (けんばいようがいそう :犬の吠える声に似た 乾いた咳) |
クループ症候群 | |
嗄声 (させい:しわがれ声) |
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吸気性喘鳴 (息を吸う時に 音が鳴る) |
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誤嚥 (食べ物を誤って気管に 入れてしまうこと) のエピソード |
気道異物 | |
呼吸音の左右差 | ||
持続性の湿性咳嗽 (黄色い痰をともなう咳) |
遷延性の 細菌性気管支炎 |
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活動中の咳込み | 胃食道逆流症 | |
発作性の咳込み | 百日咳 | |
呼気性笛声 (てきせい:ひゅうひゅう、 ぜろぜろと鳴ること) |
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咳き込み後の嘔吐 | ||
学童 (6~12歳)・ 思春期 (男12歳~、 女10歳~) |
感冒様症状 (風邪のような症状で 発熱あり) |
ウイルス感染症 (上気道炎) |
運動時の喘鳴 (呼吸時にぜいぜい、 ひゅうひゅうと鳴る音) |
気管支喘息 | |
呼気性の呼吸困難 | ||
咳払い、鼻すすり、 鼻汁、くしゃみ |
アレルギー性鼻炎 | |
黄色い鼻汁、 鼻閉、鼻声 |
副鼻腔炎 | |
胸部X線で浸潤像 (細胞成分、液体成分が 溜まって起こる) |
マイコプラズマ肺炎 | |
クラミジア肺炎 | ||
睡眠中は消失する 奇異な咳 |
心因性咳嗽 | |
家族の家庭内喫煙 | 受動喫煙 | |
発作性の咳込み | 百日咳 | |
呼気性笛声 (てきせい:ひゅうひゅう、 ぜろぜろと鳴ること) |
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咳き込み後の嘔吐 | ||
持続性の湿性咳嗽 | 気管支拡張症 | |
発熱、家族内発症 | 結核 |
まとめ
子供の発育時期と症状によって、考えられる病気は様々あります。なかなか症状が回復しない場合は、近くの医療機関を受診しましょう。特に新生児期に症状が出る場合は、先天性の疾患の可能性があるので、小児科専門医にかかる必要があります。小児科の専門医を探す場合は、日本小児科学会の専門医検索を参照してください(2016年3月時点で全国15,840名が登録されています)。