声が出にくかったり、かすれたりする原因の一つに、声帯の異常によるものが考えられます。声帯の粘膜が充血したり萎縮したり疲労したりして働きが弱まり、声が枯れるのです。声がかすれたときにはどのように対応すれば良いのでしょうか。日常生活の中でできる対策法と病院で行われる治療をご説明します。声がかれる原因を知りたい方は、「声が出ない!風邪?声の出しすぎ?考えられる原因9つ」の記事をご覧ください。
声がかすれやすい人っている?
日常的に声を使いすぎている人は、声がかすれやすい傾向があります。
- 幼稚園、学校の先生
- 保育園の保育士
- 歌手
- 営業マン
- 掛け声をよくかける野球などの部活少年
声帯は酷使されやすい場所
声帯は2本あり、身体のバランスの影響を受けやすい場所です。声帯そのものにも筋肉が入っていますし、声帯は囲まれる筋肉によって緊張を調整されています。ですから心や身体が疲れたとき、声はかすれます。身体が疲れ切って足が重いときは声が低くなります。肩や首がこる自律神経のバランスが悪い時も声がかすれやすくなります。
そんなときは唾液の分泌も少なく、口の中が乾燥し、声帯も潤いが減って声が出にくくなります。
声枯れの症状改善!家でできる6つの方法

1.原因を取り除く
のどの炎症の原因を取り除きましょう。
沈黙療法
声を出しすぎて炎症が起きたときは、なるべく声を出さないようにしましょう。可能ならば数日、筆談などで過ごせれば症状が落ち着きます。学校の先生などは、できれば数週間お休みを取ると改善することがあります。
ただし、職業歌手などは必要以上に沈黙を取りすぎて声帯の筋肉が弱って声が出にくくなることもあるため、沈黙の期間は音声専門医に良く相談することをお勧めします。
禁煙
タバコの煙に含まれるタールは気管と気管支の粘膜に悪く、炎症の原因となります。
炎症を起こした人は禁煙が原則ですが、どうしてもタバコをやめられない人は本数を減らして控えるようにしましょう。
禁酒
アルコールを飲みすぎて炎症が起きたときは、お酒はほどほどにして喉を労わるようにしましょう。
お酒とタバコがダブルで声帯に影響を及ぼすカラオケ宴会は、声帯にとって最も過酷な空間です。
このように、生活面での原因を数日間取り除くだけで、声枯れの症状が治まることがあります。
2.正しい発声法をマスターする
必要以上に喉を絞って声を出さないように、正しい発声法をマスターしましょう。
あくびため息法
あくびをしたときの喉のように、喉の奥を大きく開けて声を出すようにしましょう。
プッシング法
声帯をしっかり合わせて力を入れて声を出しましょう。
何かを押しながら喉に少しだけ力を入れて、発声の練習をします。
※頑張りすぎると声帯を痛めることがあり、あくびため息法を併用して行って声帯を傷つけないようにする方法もあります。
3.正しい姿勢をする
声帯を正しく使うために、正しい姿勢を保ちましょう。
- 左右均等に体重を乗せる
- 足をがに股にしない
- 猫背にならないで背筋をぴんとさせる、腰は反らさない
- お腹を突き出さない
- 肩を下げる
- 顎を引っ込める
4.唾液の分泌を活発にして、口の中を潤す
口の中が乾燥すると声帯の周りの粘膜も乾燥し働きが弱まることがあるので、水分を保つようにしましょう。
- こまめにうがいをする
- 水分を摂る
- シュガーレスのガムを噛む、飴やトローチをなめる
※適度に行わないと、かえって害になることがあります。のど飴は舐めすぎると口が荒れてしまいます。
- 加湿器を付けたりマスクをしたりして乾燥を防ぐ
5.ストレスを溜めない
精神的ストレスなどによる心因性の原因で声が出なくなることがあります。
日頃からストレスを上手に逃がす方法を身につけましょう。
- 規則正しい生活を送る
- バランスの良い食事を心掛ける
- 睡眠を十分にとる
- 運動や入浴などでリラックスする
学童嗄声ってなんのこと?

学校などで活発に遊びながら大きな声を出しすぎて声がかすれることです。喉を休めれば治るのですが、子供の遊びの場で大きな声を出さないように制限するのは難しいものがありますね。
自宅ではなるべく大きな声を出さないようにして、喉を労わりましょう。
変声期の声がすれにはどのように対応する?
小学校高学年から中学校にかけての男子で声がかすれていたら変声期を疑いましょう。
この時期に男子の身体は大きく変わり、喉仏も大人と同じ形態に変わり、声帯も長く大きく発達します。
発声をするときは、無理をせず声帯に負担がかからないよう心がけましょう。
変声期は高い声と低い声が交互に出てしまい、「声が突然ひっくり返る」ことも多いのですが、熟練した音声専門医にかかると短期間で改善することも多いのです。
病院ではどんな治療をするの?
1.薬物での治療
起きてしまった喉の炎症を鎮めるために、薬物療法が行われます。
ステロイド薬、血管収縮薬を喉から吸入して声帯の炎症やむくみを抑えます。
非ステロイド系の消炎鎮痛薬はそれほど効果がありませんので、自己判断で買い薬を多量に飲まず、音声専門医に受診して正しい治療を受けてください。
2.音声治療
音声専門医や言語聴覚士の指導のもとに音声治療が行われます。
炎症が主体の患者さんの時は、話すときに喉頭に力が入らないようにしたり、腹式呼吸の練習をしたり、あくびやため息などで声を出すような訓練を行って、ソフトな声を出せるようにしていきます。
声帯に力が入らない患者さんの時は、プッシング法を使ったり腹式呼吸を指導してしっかりした声が出るようにして行きます。
3.手術療法
声帯にポリープができていたり、声帯の一部が硬くなって結節になったり、手術以外の治療の効果がない場合は、手術によって原因を取ります。
結節の場合は炎症を抑えたり音声治療をしたりすることによって、声帯の外見が変わらなくても声の出が良くなる人も多いので、手術治療のみに頼らないことが肝要です。
まとめ
大きな声を出したり、声を張り上げたりすることが多い職業の人は特に声が出にくくなる傾向があります。正しい発声方法を習得したり、喉を乾燥しないように湿度を保ったり、規則正しい生活を送ることで、予防をしましょう。大声を出しすぎた以外に、思いあたる原因もないのに声枯れが続くときは、背後に深刻な病気が隠れていることもあります。早めに医療機関を受診するようにしましょう。