「銅」という言葉には馴染みがありますが、栄養素としての「銅」は、あまり知られておらず、どんな働きをするのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

銅は微量ミネラルに分類され、必要とされる量は僅かですが生きていくためには欠かせないミネラルです。
この記事では、銅がどのような働きをするのか詳しくまとめ、多く含む食品や摂取基準について解説していきます。

目次

銅の働きは?

銅は骨格筋、血液に存在し、体内に80mg含まれています。銅のほとんどは小腸で吸収されてから肝臓に運ばれ、体内に貯蔵されます。

肝臓ではセルロプラスミンというたんぱく質と結合した形となり、体の各組織へ運ばれ、さまざまな生体内反応へ関与しています。

鉄の働きを助ける

銅は血中のトランスフェリン(鉄結合たんぱく質)へ鉄を渡す役割があり、腸管からの鉄の吸収や貯蔵をサポートしています。

ヘモグロビン骨髄で作られますが、このときにも銅は欠かせません。

活性酸素を除去する

生活習慣病老化の原因とされる活性酸素。銅は活性酸素を除去する酵素の補酵素として働いています。

骨・血管の成長をサポートする

銅は骨や骨格筋、血液に含まれているので、乳児の成長をサポートしたり、骨や血管を強くしたりするためには欠かせません。

赤血球や白血球の成熟にも関与しています。

銅の欠乏症と過剰症について

欠乏症

普通の食生活を送っていれば欠乏症が出ることはあまりありません。
人工栄養の未熟児や、高カロリーの輸液を長期使用している場合に見られることがあります。
また、亜鉛やビタミンCを大量に摂ると銅の吸収が妨げられます。サプリメントを利用している時には注意が必要です。

銅欠乏症の症状としては、貧血、コレステロール・糖代謝異常などがあります。

過剰症

銅の過剰症は通常の食生活では起こらないとされています。
化学薬品の誤飲や、人工透析の時に誤って混入するなど、主に医療事故が起きた時に過剰症が起こる場合があります。

症状は消化管障害、肝障害、溶血性貧血などがあります。

銅を多く含む食品と摂取基準

食品 1食あたりの量 亜鉛の含有量
牛レバー 80g 4.24mg
イイダコ 45g(1はい) 1.33mg
シャコ 60g 2.08mg
ホタルイカ 30g 1.03mg
そら豆 50g(10粒) 0.60mg

出典:「改訂新版 栄養の教科書」を元にいしゃまち編集部が作成

銅が多く含まれる食品は、家庭で使われる頻度の少ない食品が多いようです。しかし色々な食品に少しずつ含まれているので、普通の食生活をしていれば不足することはほとんどありません。

亜鉛の摂取基準

単位mg ( )内は耐容上限量

男性 女性
1~2(歳) 0.3 0.3
3~5(歳) 0.4 0.4
6~7(歳) 0.5 0.5
8~9(歳) 0.6 0.5
10~11(歳) 0.7 0.7
12~14(歳) 0.8 0.8
15~17(歳) 1.0 0.8
18~29(歳) 0.9(10) 0.8(10)
30~49(歳) 1.0(10) 0.8(10)
50~69(歳) 0.9(10) 0.8(10)
70歳以上 0.9(10) 0.7(10)

出典:日本人の食事摂取基準 (2015年版)を元にいしゃまち編集部が作成

まとめ

銅は摂取量が少ないときは吸収率が高まり、摂取量が多いときには吸収率が減るという性質もあり、欠乏症や過剰症が起こりにくくなっています。
また、普通の食事をしていれば自然と色々な食品から銅を摂取できています。

このため、特に銅の摂取を意識する必要はありません。ですが、どんな働きをしているのかを知っていれば、その知識が役に立つ時がくるかもしれません。