蛋白尿(たんぱくにょう)とは「蛋白質が多量に含まれた尿」のことです。通常の尿には蛋白質はほとんど含まれておらず、腎臓の機能が障害されると尿中に蛋白質が現れ始めます。そのため、蛋白尿が陽性になった場合は、腎機能に何か異常がある可能性を示しています。

では、蛋白質が尿に出始めると、一体私たちの身体にはどのような影響が出るのでしょうか?また、蛋白尿を食い止めるためにはどのような対策が有効なのでしょうか?蛋白尿の症状と対策法について説明します。

目次

蛋白尿で起こる症状

蛋白尿それ自体に、自覚症状はほとんどありません。なので、検査によって発見されるケースが多いです。
蛋白尿の原因に病気が隠れていれば、その病気による症状が出ることもありますが一概には言えません。

例えば、多発性骨髄腫と呼ばれる血液の腫瘍(がん)では、腫瘍細胞で生み出された多量の蛋白質が尿中に漏れ出すことで蛋白尿となります。この場合は、貧血や感染症への抵抗力の低下などが認められます。
また、尿管がん膀胱がんなどといった泌尿器系の悪性腫瘍でも蛋白尿が認められ、この場合には体重減少などの症状が認められることがあります。

症状がないからと放っておいてしまう方もいるかもしれませんが、蛋白尿は上記のような恐ろしい病気を発見するチャンスになります。また、蛋白尿は腎臓の糸球体という部分に負担をかけるため、放置すると病気を進行させる原因となります。

腎臓に病気があった時のサイン

ちなみに、腎臓に異常があった場合には蛋白尿のほかに下記のような症状も出ることがあります。
ただし、これらの症状が出てきた時にはすでに病状が進んでいることもあるため、健康診断などで、無症状のうちから腎臓の機能を知るようにしましょう。早めの気づきで、人工透析を避けることができるかもしれません。

  • 朝、顔や足がむくむ
  • だるさ
  • 食欲がない
  • のどが渇く
  • 尿が泡立つ
  • 夜中に2回以上トイレに立つ
  • 頻繁にめまいがする
  • 頻繁に頭痛がする
  • 動悸・息切れがする
  • 血圧が高い
  • 顔色が悪い

蛋白尿が出たらどうする?

蛋白尿への対策としては、食事でタンパク質を必要以上に摂らないよう調整したり、腎臓への負担を減らすために疲労を溜めない・感染症にかからないようにするといった方法がとられることがあります。

ですが、何よりも原因となっている病気を特定して治療することが大切です。
食事の調整なども医師の指導のもとで行うことが原則であり、必要な分のタンパク質までとらないでいると、かえって体調を崩す原因となってしまいます。

まずは医療機関を受診し、蛋白尿の原因をつきとめることから始めましょう。
腎臓の病気も初期であれば、働きを回復できる見込みがあります。

まとめ

繰り返しになりますが、蛋白尿自体で自覚できる症状が出現することはあまりありません。ですが、蛋白尿が出ているということは、腎臓が障害されている恐れがあります。腎臓のフィルター機能が破壊されることによって、アルブミンなどの蛋白質が尿中に漏れ出し、低たんぱく血症となりむくみ(浮腫)が生じるのです。

なお、むくみなどの症状が生じるのは、腎機能がかなり障害されてからです。むくみで腎機能の低下に気付く患者さんも多くいますが、その時には腎機能障害は大きく進行しているのです。検査で蛋白尿が指摘されたということは、そうなる前に治療を始めるチャンスが与えられたともいえます。定期健診などで蛋白尿が陽性となった方は、たとえ自覚症状が無かったとしても必ず医師の診察を受けるようにしましょう。