腎臓内科は文字通り、腎臓の疾患を扱う科です。腎臓の疾患といっても多くの種類があります。尿に血が混ざっている、または尿が泡立つという場合には、腎臓の病気をお持ちかもしれません。ここでは、血尿・蛋白尿がみられるときにどのような疾患が考えられるかご紹介していきます。
血尿、蛋白尿はなぜ出るの?
血液中の老廃物は尿として体外に排泄されます。腎臓は尿をつくる臓器で、血液から老廃物を除去するフィルターと言えます。フィルターが健全であれば血液中の成分が尿に出てくることはありませんが、フィルターが傷むと血液中の赤血球や蛋白質が尿に出てくるようになります。尿に血液中の赤血球が出る状態が血尿、血液中の蛋白質が出る状態が蛋白尿です。
腎臓でつくられた尿は尿管、膀胱を経由して体外に排泄されます。尿管は腎臓から膀胱まで尿を輸送するパイプ、膀胱は尿をためるダムの役割をしています。尿管や膀胱から出血がある場合にも血尿、蛋白尿が陽性になります。
血尿、蛋白尿のみられる疾患
血尿、蛋白尿が陽性になった場合には、腎臓に入ってくる血管、血管から尿をこし出すフィルター、尿の輸送パイプ(尿管)、尿をためるダム(膀胱)のどこに原因があるか調べる必要があります。
高血圧による腎硬化症、糖尿病による糖尿病性腎症、肥満による肥満関連腎症では、腎臓に入ってくる血管の動脈硬化が原因で血尿や蛋白尿がみられます。糸球体腎炎、ネフローゼ症候群では腎臓のフィルターの異常が原因で血尿や蛋白尿がみられます。
尿管結石では尿管が傷つき出血するため、また膀胱炎では炎症が起きるため、さらに膀胱がんや前立腺がんでは腫瘍から出血するため血尿、蛋白尿がみられます。
病気でなくても激しい運動をした後や風邪で発熱した時にも血尿、蛋白尿が出ることがあります。その場合、日を変えて尿検査を行い、経過を観察する必要があります。また、女性では月経血が混入することを避けるため、月経でない時期に尿検査を受けることをお勧めします。
定期的な尿検査が重要です!
腎臓の病気は症状が出にくいので、予防・早期発見のために尿検査を定期的に受けることをお勧めします。健康診断は必ず受診しましょう。そして尿検査に異常があれば放置せず医療機関を受診し、腎臓の病気の予防・早期発見に努めましょう。
血尿はその程度により、顕微鏡で見なければわからない血尿(顕微鏡的血尿)と肉眼的にわかる血尿(肉眼的血尿)に分けられます。腎臓の病気では顕微鏡的血尿、尿管・膀胱の病気では肉眼的血尿が多いといわれています。
また、尿に蛋白が出ると尿にとろみがつくため、泡が立ちやすく、泡が消えにくくなります。尿の泡立ちが気になるときにも尿検査を受けることをお勧めいたします。
生活習慣病による慢性腎臓病が増えています!
近年、高血圧、糖尿病、肥満、高尿酸血症、脂質異常症による慢性腎臓病が増えています。これらの生活習慣病の管理が悪い方では、腎臓が徐々に障害されていきます。生活習慣病をお持ちの方は、採血で腎臓の機能を示す数値(クレアチニン)が上がっていないかご確認ください。
最後に
血尿、蛋白尿などの腎臓の病気にとどまらず、生活習慣病などの全身の病気を管理し、透析の回避を目指すこと、図らずも透析になってしまった方には安定した透析療法を提供するのが腎臓内科の役割です。腎臓の機能は一度失われると元に戻りませんので、早めに腎臓内科にご相談ください。