気温が高くなってくると、熱中症の危険性も出てきます。体が暑さに慣れていないと、熱中症は起こりやすくなります。直射日光に当たり続ける以外に、実は車の中でも注意が必要です。
なぜ車の中で熱中症が起きるのか、今回はその原因や気を付けたい点、いざ熱中症になってしまったときの対応について紹介します。
熱中症とは
体温が高くなると、人は汗を出すことで体温を下げて調整しています。しかし様々な要因によって汗が出なくなり、体温が下げられなくなると、体の中に熱が蓄積されて高温状態になります。これが熱中症です。
汗がかけなくなる原因には、高温、風が弱い、多湿など環境に問題がある場合と、水分不足や塩分不足などの脱水症、体調不良など体の問題といったものが挙げられます。特に脱水症は知らず知らずのうちに陥ってしまいやすいので注意が必要です。
熱中症のメカニズムなどについて詳しくは「熱中症はどうして起こる?原因とメカニズム、4つの種類とは」をご覧ください。
症状
熱中症の症状は段階があり、めまいや立ちくらみから吐き気やだるさ、そして意識障害や運動障害と重症度が増していきます。熱中症の症状について詳しくは「こんな症状が出たら要注意!熱中症のサインとは」をご覧ください。
車内で熱中症が起きる理由
夏の車内は温度が上がりやすい
JAFによると、高温(気温35度)の状態で車をエアコンをつけずに置いておくと、窓の開閉に関係なく車内温度は40度まで達します。またエアコンをつけていた状態から消すと、15分後には熱中症指数(WGBT)が危険の範囲まで上昇します。
このように車内はエアコンをつけない状態だと気温以上に熱がこもりやすく、この環境のもとに人がいた場合は熱中症にかかるリスクがあります。
車内は脱水しやすい環境
長距離運転中や渋滞中は、トイレに行くことをなるべく避けたいという心理が働き、普段より水分を飲む量が減る人も少なくありません。また、エアコンを使用していると車内は乾燥状態になるため、汗をかいていてもすぐに乾きます。
このように、車内では知らず知らずの間に脱水に近い状態に陥っていることがあります。
特に注意したい「子供の車への閉じ込め」
乳幼児は脱水しやすい
乳幼児は成人と比べて体重あたりの水分量、特に細胞の外にある水分が多いという特徴があります。細胞の外の水分は呼吸や皮膚からの蒸散によって失いやすく、多くの水分の補給が必要となります。
また、健康な大人であれば腎臓で必要な水分や塩分などのミネラル成分を再吸収できますが、腎臓の機能が未熟な乳幼児は水分を体に保持する力が弱いため、水分を常に補給していないと脱水のリスクが上がります。さらに乳幼児は喉が渇いたと訴えることが難しいです。
乳幼児の機嫌が悪い、しきりに泣く、顔色が悪い、活気が低下しているという兆候があれば脱水症のサインと思うなど、気にかけてあげてください。
危険な車内
先程述べたように、エアコンが効いていない状態で乳幼児を放置してしまうと熱中症の危険性は高まります。また、エアコンをかけていても故障で止まる恐れもあります。車内に置きざりにしないようにしましょう。
「少し出るだけだから」と車内に鍵をかけずにそのままにして、子供を置いていくケースもあるかもしれません。しかし、誤って子供がドアロックを押してしまう危険はあります。夏の場合は5分という短時間でも車内の温度が上がるため、こうした点にも注意が必要です。
万が一熱中症になってしまったら
前述の通り、子供は絶対に車内に置き去りにしてはいけません。ただ万が一閉じ込めてしまってぐったりしている場合は、即座に救急車を呼びましょう。救急車を待つ間にも応急処置に取り掛かることが大切です。
涼しい場所に移動したり、体を冷やしたりするなどして体温を下げ、意識があって飲めるようなら水分を補給させます。さらに吐き気や嘔吐がなければ、スポーツドリンクや経口補水液を飲ませます。
熱中症による脱水は、汗によって水分と塩分が失われている状態であり、速やかに失われた水分と塩分を補給する必要があります。さらに水分と塩分に加えてブドウ糖も補給することで腸からの吸収スピードが上がります。
詳しくは「熱中症のサインが見られたら?すぐ行える応急処置方法」をご覧ください。
まとめ
熱中症は屋外だけでなく車内でも、エアコンを停止してしまうと高温になりやすく、短時間でも熱中症を発症するリスクがあります。乳幼児であればそのリスクは大きいため、どんな理由であれ車内に置きざりにすることがないようにしましょう。
また熱中症を予防するためにも車に乗っているときは大人も子供も意識して水分補給しましょう。もし熱中症を疑うケースで、特に声掛けにも反応しない、意識が正常でない場合はすぐに救急車を呼びましょう。