痔は成人の半数以上が患っている非常にポピュラーな病気ですが(天藤製薬株式会社より)、人に相談しにくく、また病院へ行くのも勇気がいります。お悩みの症状がある方は、まずは自分が悩んでいるのはどの種類にあたるのかをチェックしましょう。そして、いぼ痔、切れ痔のいずれかに該当した方は、症状が軽い場合はセルフケアをしてみてください。
こんなにある!痔の種類
内痔核(ないじかく)
肛門の内側(直腸側)にいぼがあるタイプで、痛みは少なく、出血や不快感(便が残っている感じ)があります。
脱出
内痔核が進行したタイプで、いぼが肛門から飛び出している状態です。進行するにつれて痛みを伴います。脱出したいぼが下着にあたったり、分泌物や血がつくと痒くなったりします。
外痔核(がいじかく)
肛門の外側にいぼがあるタイプで、強い痛みがあります。
裂肛(れっこう)
切れ痔ともいいます。肛門の出口が裂けたり切れたりしているタイプで、強い痛みや少量の出血があります。
肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)
肛門腺という粘液を出す小さい穴に細菌が入り、化膿して膿がたまっている状態です。痔ではありませんが、放置すると次項の痔瘻になります。腫れて痛みを伴い、熱が出ることもあります。
痔瘻(じろう)
あな痔ともいいます。肛門周囲膿瘍が進行し、肛門より内側である「直腸」と「肛門の外側の皮膚」をつなぐ穴が出来ている状態です。膿が出ると少し体は楽になりますが、常に膿が出続けてしまいます。
自宅でできる対策や応急処置
1.安静
激痛の場合、痛みに耐えるために自然と体や肛門に力が入ってしまいますが、これでは痛みが悪化します。足を軽く曲げ、横向きになってしばらく安静にします。
お尻の力を抜いてリラックスし、しばらくジッとしていると次第に痛みが引いていきます。
2.痛みを減らす
内痔核、外痔核、脱出、切れ痔の場合はお尻を温めます。ぬるいお湯で半身浴、またはお尻だけでも温めると効果的です。タオルを濡らしてレンジで少し温めて(じんわり温かい程度)お尻にあてる簡単な方法もありますが、熱さには気をつけましょう。また、下着の上からカイロで温める方法もあります。
肛門周囲膿瘍、痔瘻は逆に患部を冷やします。温めると悪化するので気をつけましょう。
3.出血をとめる
切れ痔、内痔核の場合、出血する可能性があります。ほとんどは自然に止まりますが、止まらない場合はトイレットペーパーや清潔なコットンで10分くらい肛門を圧迫するように押さえましょう。
便に血液が混ざっている場合は大腸から出血している可能性があります。痔の場合もありますが、がんなどの病気も疑われますので早急に病院を受診しましょう。
4.肛門から出ているものを押し戻す
肛門から何か出ている場合は脱出、つまり内痔核の「いぼ」が排便などで外に出てきてしまっていることが考えられます。無理やり押し込まず、以下の対処法を試してみましょう。
- 便座に座ったまま押し、ゆっくり立ち上がりながら押し戻す。
- トイレの温水やシャワーのお湯で肛門を温めてから押す。ただし肛門に長時間温水を当てることはやめましょう。
脱出と似た症状で、直腸が肛門から出てしまう直腸脱という病気もあります。自己判断せず、病院の受診を勧めます。
5.かゆみを抑える
かゆみには様々な原因がありますので、原因にあった対処をしていきましょう。
温水の使い過ぎ
温水洗浄機能のついたトイレが普及していますが、強い水圧や高い水温、長時間の使用による洗い過ぎは皮膚炎を引き起こします。温水の使い方は10~20秒が目安です。また肛門内は洗わないようにしましょう。
便が残っている
やわらかい便が肛門のシワに入り込んで不衛生な状態になっている人は、お尻を丁寧に優しくふきましょう。
血液や分泌物がついている
患部から出た血液や分泌液でお尻がべとべとしたり、かぶれたりします。また脱出した痔核が下着にこすれて痒い場合もあります。お尻を丁寧にふき、とれない場合は温水洗浄やシャワーで軽く(10秒程度)洗いましょう。肛門周囲の水分はゴシゴシこするのではなく、押し当てるようにして、しっかりふきます。
まとめ
便秘も下痢も痔の原因になります(大正製薬|最大の原因は便通異常より)。日頃から便通に気を配った生活をしましょう。また市販薬には痛みを抑えたり、止血したり、炎症を抑えてくれる効果のある成分が配合されているので薬剤師に相談しながら活用してみましょう。