」というと、大人がなる病気というイメージがありますが、実は子供でもなることがあります。治療をせずに放置すると、慢性化してしまうこともありますので、注意が必要です。子供のお尻のトラブルは、どのようなものがあるのでしょうか?困ったときに何科を受診すべきでしょうか?今回は子供のお尻に起こり得る病気を紹介します。

目次

子供のお尻トラブル、どんな病気がある?

「痔」には大きく分けると「いぼ痔(内痔核)」、「あな痔(痔)」、「切れ痔(裂肛)」があります。子供の場合、殆どが「切れ痔」で、稀ですが「あな痔」も認められます。また、よくある子供のお尻トラブルとしては、お尻の痒みの症状も挙げられます。それぞれ詳しくみてみましょう。

1.「切れ痔(裂肛)について」

排便時に出血したり、痛みのため排便をするのを嫌がる場合は、裂肛(切れ痔)が考えられます。原因として最も多いのが便秘です。必要以上に下痢止めや整腸剤を連用すると便秘になることがあるので気を付けて下さい。

便秘になると便が硬くなります。硬くなった便が肛門から出るときに肛門を傷つけてしまい、切れ痔になってしまうのです。

一度治ったとしても、根本的な原因である便秘を治さなくては、何度も繰り返してしまいます。偏食しない、水分や繊維質の十分な摂取、規則正しい生活、緩下剤による排便コントロールが治療の中心になります。

小児の裂肛は大部分が浅くて一時的なものですが、慢性化すると、肛門の横に「でっぱり(肛門皮垂)」ができることがあります。これはいぼ痔ではなく、きれ痔の炎症で起きた皮膚の「たるみ」です。炎症がとれると多少小さくなります。特に、お尻を拭きすぎたり、洗いすぎるのは症状を悪化させますので注意が必要です。

2.「痔瘻(あな痔)について」

殆どが乳児期(生後3カ月まで)の男児だけにできます。これは肛門の中にある小さな穴からばい菌が入り炎症を起こすもので、切開をして膿(うみ)を出し様子をみます。

乳児痔瘻は幸い浅いことが多いので、切開は容易です。繰り返す場合もありますが、1歳以上になると殆ど自然に治ってしまいます。何年間か経過して治らない場合だけ、手術を考慮することがあります(手術となる確率は低いです)。痔瘻は早期なものほど治療は簡単で済みますので、早めに専門医を受診して下さい。

3.お尻の痒み

大抵は肛門周囲の皮膚炎によるものです。お尻に色々な薬をつけて、薬かぶれを起こしてしまうことがよくあります。 また最近のお子さんは温水便座をよく使っています。洗いすぎ、拭きすぎ、こすりすぎで、お尻の症状を悪化させてしまいます。

皮膚炎は正しい衛生管理と薬で治ります。 間違った判断でかわいい赤ちゃんのお尻を真っ赤にしないようにしましょう。

何科を受診すべき?

便秘やお尻を痛がるような素振り、血便などの症状が見られるようであれば、早めに病院を受診するようにしましょう。

大人の場合は、肛門科などを受診しますが、子供の場合は何科を受診すれば良いか分からないという人も多いようです。近くに肛門専門のクリニックがあればよいのですが、何科に行けば良いか分からないという場合には、まずは小児科を受診するようにすると良いでしょう。

まとめ

子供にもお尻のトラブルがあることは意外だったことと思います。保護者の方は、異変に気付いたら早めに病院を受診するようにし、誤った判断で症状を悪化させないように注意しましょう。

また、お子さんが一人でトイレに行けるぐらいの年齢になると、保護者の方がいつでも見てあげられるわけではありません。お尻の拭きすぎや洗いすぎ、擦りすぎなどが原因となるものもあるので、しっかりと教えてあげる必要があります。