「マタニティブルーズ」という言葉を聞いたことはありますか?
出産後、精神が不安定になった状態のことです。
赤ちゃんが生まれた直後、わけもなく泣いてしまったり、ささいなことでイライラしたりした方はもしかするとマタニティブルーズの症状が出ていたのかもしれません。

多くは心配の要らない生理的な現象ですが、いつもと違う不安を感じているかもしれませんね。
この記事ではマタニティブルーズとはどんなものか、対処法についても詳しくご説明しますので、ぜひ読んでみてください。

目次

マタニティブルーズの症状

マタニティブルーズは、出産直後から数日のうちに発症することの多い心と身体の変化です。通常は2週間以内に自然に改善していきます。マタニティブルーズという呼び方に示されているように、子供が生まれて嬉しいはずの時期にネガティブな精神状態になります。

以下はマタニティブルーズの主な症状です。

気分の変化

  • 気分が沈む
  • 不安な気持ち(自分や育児に対する不安感、自信の欠如)
  • イライラする
  • 涙もろくなる、涙が出る
  • 気が散って集中できない

身体の変化

原因は何?

妊娠と出産はとても大きな出来事です。
赤ちゃんが生まれると、お母さんの身体は子宮や乳房、心臓、ホルモンバランス等、さまざまなところで変化がおきています。こういった急激な身体の変化が精神にも影響し、マタニティブルーズを引き起こすと考えられています。
また、出産した方は母親としての役割を感じ、これからの育児の問題、生活の変化などに戸惑うことも仕方ありません。特に初産の方は娘から母親へと家庭内の立場が変わっていきますし、女性の社会進出が多くなってきた昨今では、「働きながら子育てをする」ことにプレッシャーや不安を感じてしまうこともあるでしょう。

身体の変化、社会的な環境の両方が、マタニティブルーズに関わっていると考えられます。

まずは悲観しすぎず、2週間の経過観察を

授乳-写真

マタニティブルーズは、基本的に自然治癒します。一過性なので特に治療は必要なく、様子観察だけとする場合も多いため、あまり悲観はしすぎないようにしましょう。

ただしマタニティブルーズの症状が産後うつ病(産後1か月以内に発症する精神病のひとつで、医療機関での治療が必要なもの)に移行するケースも稀にあります。
マタニティブルーズと思われる症状が2週間以上続くようであれば、一度医療機関に相談しても良いかもしれません

マタニティブルーズへの対処法

ご本人ができること

  1. 出産が大きな出来事であることを自覚し、自分に責任はないことを知る
  2. 一過性のものであり、多くは自然に治ることを意識する
  3. 赤ちゃんとスキンシップをとる
  4. 誰かに不安をうちあけ、不安を一人で抱え込まない
  5. 家事も育児も「やりたくない時はやらなくてよい」と理解し人を頼る

周囲の人ができること

  1. お母さんの不安に耳を傾ける
  2. 家事・育児などの手伝いを申し出る
  3. (赤ちゃんに兄弟がいる場合)他の子にも関心を示す
  4. 行動するよう説得、勧めることはしない
  5. お母さんと赤ちゃんをあまり二人きりにしないよう心がける

まとめ

マタニティブルーズの多くは、時間が経つことで自然に治っていきます。
症状があるうちは不安を一人で抱え込まず、周囲の人に打ち明けることが大切で、周囲の方は本人の声に耳を傾けることが何よりの応援になります。どこに相談したらよいのか分からない、という時には、出産した病院の助産師さんまたは居住地域の保健師さんへ連絡すると適切なケアが受けられます。出産経験のある友達に自宅に遊びに来てもらって話を聞いてもらうだけでも楽になる場合があります。最近は、産後ケアの施設や、産後ケアを専門とする助産師さんや看護師さんも増えていますので、退院後も自宅に戻るのではなく1~2週間そういった中間施設に入るのもよいでしょう。
逆に、本人に何かを無理強いする行為(サプリメントや健康法を勧めるようなこと)は逆効果にもなりますので、干渉しすぎず、見守るスタンスが良いでしょう。

2週間経っても症状が続いている場合は、信頼できる産婦人科の医師、もしくは精神科を受診してみてください。また、妊娠前から精神的に不安定になりやすいなどの症状があった場合は、産後すぐに心療内科や精神科とつながっておくのもいいでしょう。治療をすることに抵抗があるかもしれませんが、赤ちゃんの健康には、お母さんの精神状態が良好であることが不可欠なのです。